シーザン自治区60年の歴史的成果 GDP155倍と貧困ゼロ
中国南西部のシーザン自治区(Xizang Autonomous Region)が、1965年の成立から約60年で経済や社会、環境の分野で歴史的な成果を上げたと、同自治区の当局者が中国国務院新聞弁公室の記者会見で説明しました。今年は自治区成立60周年にあたり、その歩みが国内外の注目を集めています。
60年でGDP155倍、財政収入は1258倍に
会見で、シーザン自治区党委員会書記の王君正氏は、これまでの経済発展の成果を数字で示しました。2024年時点のシーザンの域内総生産(GDP)は2765億元(約385億ドル)に達し、1965年の155倍となりました。設立以来の年平均成長率は8.9%とされています。
財政面でも大きな伸びがあり、自治区の財政収入は1965年比で1258倍となり、2024年には277億元に達しました。王氏によると、シーザンが最初の1兆元のGDPに到達するまでには50年かかりましたが、2兆元に達するまではその後わずか6年だったといいます。
かつて貧困地域とみなされていた高原地帯が、こうした高い成長を背景に「現代的で活力ある社会」へと変貌しつつある様子がうかがえます。
貧困ゼロと生活水準の向上
経済成長に並行して、住民の生活水準も大きく改善したとされています。王氏は、シーザンでは絶対的貧困が解消されたと述べました。これにより、以前は生活基盤が脆弱だった農牧地域でも、安定した収入と公共サービスへのアクセスが広がっているとみられます。
15年無償教育と平均寿命の伸び
教育分野では、幼稚園から高校まで15年間の無償教育制度が整備されています。教育費の負担が軽くなることで、子どもたちが長く学び続けられる環境がつくられているといえます。
医療面では、公的医療保険のカバー範囲が広がり、平均寿命は72.5歳に達しました。医療体制の整備や公衆衛生の向上が、住民の健康指標を押し上げていると説明されています。
近代的な町と伝統文化の共存
都市化も進んでおり、シーザンの高原地帯には近代的な町が次々と整備されています。一方で、伝統的なチベット文化が効果的に保存されているとされ、経済発展と文化継承の両立を目指す姿勢もうかがえます。
道路・鉄道・航空路でつながる高原
インフラ整備も、この60年の大きな変化の一つです。王氏は、2024年末時点でシーザンには12万4900キロを超える道路網と1359キロの鉄道路線が整備されていると紹介しました。さらに、国内外を結ぶ航空路線は183路線に達しています。
電力や通信の分野でも、包括的な電力網と第4世代(4G)移動通信ネットワークが、遠隔地の村々にまで行き届いているとされています。高地の小さな集落でも、安定した電力供給やインターネット接続を通じて、教育や医療、ビジネスの機会が広がりつつある状況がうかがえます。
生態保護レッドラインと大規模植林
シーザン自治区政府は、経済発展と同時に生態環境の保護を重視していると強調しました。国土の50%以上が、生態保護の「レッドライン」と呼ばれる厳格な保全区域に指定されており、山・川・森林・草地・湿地を一体として守る方針がとられています。
近年は大規模な植林プロジェクトも進められ、これまでに100万ムー(約6万6700ヘクタール)を超える森林が新たに植えられました。その結果、森林被覆率は12.31%に達したとされています。
環境指標も良好で、シーザンでは年間の99.7%以上の日で大気質が良好とされる水準を満たしているほか、すべての主要な河川・湖沼が水質のクラスIII以上の基準を満たしています。世界でも有数の良好な生態環境を維持する地域の一つであることを示す数字といえます。
成立60周年、節目の年に何が問われるか
2025年はシーザン自治区の成立60周年にあたり、王氏によると、年間を通じて会議や展示会、文化イベントなど、さまざまな記念行事が開催される予定です。過去60年の歩みを振り返るとともに、今後の発展の方向性を議論する機会にもなりそうです。
経済成長、貧困解消、インフラ整備、生態保護といった多面的な取り組みは、中国の地域発展や高地の環境保全を考えるうえで、重要なケーススタディとなります。シーザンの経験をどう次の世代につなげていくのか、その議論の行方が注目されます。
Reference(s):
Xizang makes historic economic, social achievements over 60 years
cgtn.com








