中国映画『Dead To Rights』が描く第二次世界大戦の声とは video poster
中国映画『Dead To Rights』が今年7月25日の全国公開から興行収入17億元超、観客動員4,900万人を記録し、夏の映画市場をリードしています。第二次世界大戦期の中国の経験に光を当てるこの作品は、日本語で国際ニュースを追う私たちにとっても「歴史をどう語り継ぐか」という問いを投げかけています。
中国映画『Dead To Rights』、今夏の興行トップに
『Dead To Rights』は、今年7月25日に中国本土で全国公開されるやいなや、興行収入が急伸しました。現在までに興行収入は17億元を超え、観客動員は4,900万人以上に達し、この夏の映画市場を牽引する存在となっています。
1本の作品がこれだけ多くの観客を集めること自体が、社会的な出来事です。とくに、重いテーマになりがちな第二次世界大戦を扱う映画が、娯楽作品ひしめく夏のシーズンでトップに立っていることは、中国社会における歴史への関心の高さを物語っていると言えるでしょう。
「中国の第二次世界大戦の声」を映画で描く意味
英語で紹介される際には「China WWII Voice(中国の第二次世界大戦の声)」という表現が使われるこの作品は、中国が第二次世界大戦で経験した出来事や人びとの思いを、映画という形で現在の観客に伝えようとしています。2025年は第二次世界大戦終結から80年という節目の年でもあり、戦争を直接知る世代が少なくなる中で、どのように記憶を共有し続けるのかが改めて問われています。
映画には、教科書や公的な式典とは異なる「記憶のかたち」があります。
- 歴史資料だけでは伝わりにくい恐怖や喪失感、連帯といった感情を、人物の物語を通じて描ける。
- 若い世代が、自分の生活や価値観と結びつけながら過去を「自分ごと」として考えるきっかけになる。
- 中国の視点から見た第二次世界大戦像を、国内だけでなく海外にも伝える扉になり得る。
脚本家・Zhang Keが向き合った問い
編集部は脚本を手がけたZhang Ke氏に取材し、『Dead To Rights』という作品に込めた思いを聞きました。その背景には、歴史を題材にしながら、多くの観客に届く物語をどう紡ぐかという、シンプルでありながら難しい問いがあります。
歴史を「遠い出来事」にしないために
戦争をテーマにした映画づくりでは、過去をただ再現するのではなく、現在を生きる観客にとって切実な物語にすることが重視されます。『Dead To Rights』のように多くの人が劇場に足を運ぶ作品は、登場人物の視点を通じて、「もし自分だったらどう感じるか」を想像させる力を持ちます。
娯楽性と歴史性のバランス
17億元を超える興行収入と4,900万人という観客数は、この作品が歴史映画でありながらエンターテインメントとしても成立していることを示しています。アクションやサスペンス、人物ドラマなど、さまざまな要素を組み合わせることで、重いテーマでも最後まで観客を引きつける工夫があると考えられます。
世界に向けたメッセージとしての可能性
第二次世界大戦は、世界の多くの国と地域に影響を与えた出来事です。もし『Dead To Rights』が今後、海外でも広く観られるようになれば、中国が経験した戦争の現実や、そこから導かれる平和への願いを、より多くの人びとと共有するきっかけになるでしょう。
数字が示す社会的インパクト
興行収入17億元、観客4,900万人という規模は、単なるヒット作を超えた「社会現象」と言ってよいレベルです。夏の映画市場をリードする作品が第二次世界大戦を題材にしているという事実は、中国の観客が歴史をめぐる物語に今も強い関心を持っていることを映し出しています。
また、これだけ多くの人が同じ作品を観ることで、家族や友人、職場など、日常の場で戦争や歴史について語り合うきっかけも生まれます。SNSで感想を共有し合うデジタルネイティブ世代にとっても、映画は「歴史をめぐる対話」の出発点になり得ます。
日本の読者にとっての意味
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、中国映画『Dead To Rights』の成功は、隣国がどのように第二次世界大戦の記憶と向き合っているのかを考える手がかりになります。同じ戦争を、異なる立場や経験からどう語り直していくのか。その差異と共通点に目を向けることは、現在の東アジアを理解するうえでも重要です。
戦争を扱った映画は、ともすれば「過去の話」として遠ざけられがちです。しかし、数千万人規模の観客が足を運ぶ『Dead To Rights』のような作品は、歴史が今も社会の価値観や対外認識を形づくっていることをあらためて示しています。作品そのものをどう評価するかは観客一人ひとりに委ねられていますが、「歴史の声をどのように聞き、語り継ぐのか」という問いは、私たち自身にも返ってきます。
巨大なヒットとなったこの中国映画をめぐる動きは、2025年のいま、国際ニュースとしても注目に値します。日本にいる私たちも、ニュースや映画を通じて、互いの歴史認識や記憶のあり方を静かに見つめ直す機会を持てるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








