PAGE X:中国アニメ監督が語る「わからない時代」を生きる力 video poster
中国のアニメーション監督Weng Mingさんが、ある小説の一節に励まされながら、自分たちの時代をどう生きてきたか、そしていまの若いクリエイターに何を伝えたいかを語りました。国際ニュースとしてだけでなく、働く私たち一人一人に響くテーマです。
名作小説の一節が映した、時代の不安
Weng Mingさんが強く共感しているのは、中国の小説家Zhang Muyeさんの筆名Tian Xia Ba Changによる小説『The Street Guitar Band』の一文です。
その一節は、次のような意味を持ちます。大きな時代の転換が始まる前、人々はたいてい、その変化がどれほど大きいのかをまだ知らない、というものです。英語の原文では、Before those monumental eras begin, people often have no idea what's coming. と表現されています。
一見すると静かで何も起きていないように見える日常の中で、じつは次の時代を形づくる動きがすでに始まっているかもしれない。この視点は、不確実さの中を生きる現代の私たちにも、そのまま重なります。
改革開放期を生きたWeng Mingの青春
この言葉は、Weng Mingさん自身の歩みとも響き合っています。彼とその仲間たちは、中国の改革開放が進んでいく時期に大人になりました。社会のルールが変わり、未来の姿もはっきりしない中で、彼らは期待と不安の両方を抱えながら一歩を踏み出していきました。
当時の自分たちの姿は、本人たちから見ると「さまよっている」ようにも感じられたかもしれません。しかし振り返ってみれば、その模索こそが、新しい表現や仕事を切り開く「非凡な始まり」だったと気づきます。
「さまよい」に見える一歩が、後から意味を持つ
作品づくりに打ち込んでも結果が見えず、別の道に進んだ友人と自分を比べてしまう。そうした揺れは、日本を含む多くの国や地域の若い世代にも共通する経験ではないでしょうか。
Weng Mingさんの物語は、「今の自分には意味が見えなくても、その時間が後から大きな物語の一部になる」可能性をそっと示しています。歴史に名を残すような時代の変化も、当事者にとっては、小さな決断や迷いの延長線上にしか見えないのかもしれません。
いまを生きる若いクリエイターへのメッセージ
過去を振り返りながら、Weng Mingさんは、現在の若いクリエイターたちに静かなメッセージを送っています。それは、「開拓的な時代の始まりは、派手な瞬間ではなく、目立たないけれど勇気ある一歩から始まる」という気づきです。
この言葉から、次のようなヒントを読み取ることができます。
- 大きな時代は、ニュースになる瞬間から始まるのではなく、その前の、名もなき挑戦の積み重ねから生まれる。
- 「正解」が見えないことを理由に立ち止まるよりも、不安を抱えたまま小さく動き出すことに意味がある。
- 自分の選択が歴史の一部になるかどうかは、その場では分からない。だからこそ、目の前の仕事や創作に誠実であることが大切だ。
こうした視点は、アートやビジネス、研究など、どんな分野の人にも当てはまります。自分の時代をどう生きるかを考えるうえで、静かに背中を押してくれる言葉と言えるでしょう。
PAGE Xが伝える、本と時代のつながり
今回のエピソードが紹介されたPAGE Xは、多様な分野のゲストが、お気に入りの本から選んだ一節をもとに語り合うプログラムです。
ゲストの語りを通じて、視聴者は世界の知的な名著や話題作にオンラインで触れることができます。そして、読書の「時代を越える魅力」をあらためて思い出すきっかけにもなっています。
激しく変化する2020年代を生きる私たちにとって、「何が起きているのか、これから何が始まるのか」は、簡単には見えません。その不透明さを恐れるだけでなく、Weng Mingさんのように、本の一節や先人の言葉を手がかりに、自分なりの一歩を踏み出していくことが求められているのかもしれません。
気づいたときには、あなたがいま選んでいる小さな行動が、次の時代の物語の一部になっている。そんな想像力を持ちながら、日々の仕事や学びに向き合っていきたいものです。
Reference(s):
cgtn.com







