中国北部・大興安嶺のトナカイ 凍った森に息づく精霊たち
中国北部の最北端に位置する大興安嶺(だいこうあんれい)は、長いあいだ氷点前後の寒さが続き、1年のうちほぼ半分が雪に覆われる「凍った森」です。この厳しくも豊かな環境は、トナカイが生きる舞台として、いまも静かに息づいています。
凍った森と湿地、そしてオーロラ
大興安嶺一帯には、森林だけでなく、湿地や川が入り組むように広がっています。森と水辺が複雑に重なり合うこの風景は、ただの「冬の絶景」ではなく、多様な生き物を支えるゆりかごのような存在です。
雪に覆われる季節が長いため、空気は澄みわたり、まれな夜にはオーロラ(北極光)が姿を見せることもあります。遠く離れた都市からは想像しにくいかもしれませんが、ここでは夜空そのものが、静かなショーを繰り広げているのです。
冬のワンダーランドを超えた「トナカイの森」
とはいえ、大興安嶺は単なる「冬のワンダーランド」ではありません。この地は、寒さに完璧に適応したトナカイたちが暮らす場所でもあります。物語や絵本に登場するキャラクターとしてのトナカイだけでなく、実際に森を移動しながら暮らす「森の遊牧民」としての姿がここにはあります。
苔とキノコを食べ、山の泉を飲むトナカイ
この地域のトナカイは、苔(コケ)やキノコ類、そしてガノデルマと呼ばれる野生のキノコを食べながら暮らしています。雪に覆われた地面の下から、苔やキノコを探し出し、少しずつ口に運んでいきます。
飲み水は、山あいにわき出る泉や小さな沢(さわ)から得ています。冷たい湧き水は、長い移動のあいまにトナカイたちの体をうるおす貴重な水源です。苔とキノコ、そして山の泉――この組み合わせが、森で暮らすトナカイたちの日常を支えています。
中国で数少ない、トナカイに適した環境
大興安嶺のように、長期間雪に覆われ、森林・湿地・川が組み合わさった寒冷な環境は、中国のなかでも限られています。その独特の自然環境があるからこそ、この地域は中国で数少ないトナカイの生息に適した場所のひとつとなっています。
気温が氷点前後にとどまり続けること、雪が長く残ることは、人間にとっては厳しい条件にも見えますが、トナカイにとっては身を守り、食べ物を見つけるために欠かせない要素です。こうした条件がそろう場所だからこそ、トナカイは森の中を自由に行き来しながら暮らすことができます。
北の森から見える、もうひとつの中国北部
ニュースで語られる中国北部は、ときに都市や経済の話題が中心になりがちです。しかし、大興安嶺の凍った森とトナカイたちの世界に目を向けると、この地域が持つもうひとつの顔が見えてきます。
国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、遠い北の森で営まれている静かな生命のリズムを想像することは、「中国」という場所を立体的にとらえ直すきっかけになるかもしれません。忙しい日常の合間に、雪とオーロラに包まれた大興安嶺と、そこで暮らすトナカイたちの姿を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Meet the reindeer: Spirits in the frozen forest of China's north
cgtn.com








