ジャズが彩る中国伝統曲「彩雲追月」 CGTNスタジオの共演 video poster
ジャズピアニストのLiu Dongfengさんと、キューバ出身のドラマー Redy Cobas Hinojosaさんが、中国国際テレビ局CGTNのスタジオ番組 The Vibe に登場し、中国の伝統曲 彩雲追月 をジャズとAfro-Cubanリズムで再解釈する演奏を披露しました。異なる文化のルーツを持つ二人が、ジャズという共通言語を通じて、中国の旋律とキューバのビートをつなぎ合わせたセッションは、音楽が国境を越える力をあらためて感じさせます。
CGTNのスタジオから生まれたクロスカルチャー・セッション
今回紹介するのは、CGTNの音楽番組 The Vibe のスタジオで行われたクロスカルチャーなジャム・セッションです。Liu Dongfengさんの軽やかなピアノと、Redy Cobas Hinojosaさんの力強いドラムが向かい合い、中国の伝統メロディとAfro-Cubanビートが同じ空間の中で自然に溶け合っていきます。
番組では、ジャズを軸に、さまざまな地域の音楽を掛け合わせる試みが続けられていますが、このデュオのセッションは、そのコンセプトを体現する一場面といえます。鍵盤とドラムというシンプルな編成ながら、音の会話は豊かで、スタジオの空間が一つの小さな「世界の交差点」のように感じられます。
中国の伝統曲「彩雲追月」をジャズで描き直す
二人が取り上げたのは、中国の伝統曲として知られる 彩雲追月(Colorful Clouds Chasing the Moon)です。もともと情景の豊かさと叙情的な雰囲気で親しまれてきたこの曲を、彼らはジャズの語法とAfro-Cubanリズムで再構成しました。
演奏では、次のような要素が印象的です。
- ピアノが原曲の美しい旋律をなぞりつつ、ジャズらしい自由なハーモニーとアドリブ(即興)を重ねていくこと
- ドラムがAfro-Cuban特有のリズムパターンで土台をつくり、曲全体にうねるようなグルーヴ(躍動感)を与えていること
- 曲の進行に合わせて、二人が視線やフレーズで合図を送り合い、その場で音楽を組み立てていく「対話」のようなやりとりが見えること
結果として、彩雲追月は、原曲のイメージを保ちながらも、ジャズクラブさながらのスリルと温度を帯びた新しい姿に生まれ変わっています。
ジャズ・中国伝統音楽・Afro-Cubanビートが交わる意味
この演奏の鍵になっているのは、三つの異なる音楽的なルーツです。ジャズは、即興性と対話性に富んだ音楽として発展してきました。一方、中国の伝統メロディは、静かな抒情や情景描写を重んじる側面があります。そこに、リズムの強さと身体性が特徴のAfro-Cubanビートが加わることで、聴き手は「聞く」だけでなく「感じる」体験へと引き込まれていきます。
ジャズのフォーマットに、中国の伝統旋律とキューバのリズムが重なることで、どれか一つの文化が前面に出るのではなく、三つの音楽が互いの魅力を引き出し合う形になっているのも興味深い点です。二人の演奏は、文化が出会うとき、それが「混ざり合って薄まる」のではなく、「掛け合わさって豊かになる」可能性を示しています。
言葉を超える「普遍語」としての音楽
スタジオでのジャム・セッションについて、CGTNは、音楽が国境を越え、普遍的な言語として人々をつなぐ力を持つことを強調しています。今回のパフォーマンスもまさにその一例です。
ピアノとドラムだけのシンプルな構成であっても、リズムの高まりや静かな間合い、即興のフレーズの応酬といった要素を通して、言葉なしに多くのことが伝わってきます。視聴者は、音の変化から二人の呼吸や、その場の空気の揺れまで想像しながら聴くことができます。
グローバル時代のリスナーにとっての「聴く理由」
今回のようなクロスオーバーな演奏は、国際ニュースや文化に関心を持つ日本の視聴者・読者にとっても示唆的です。私たちはオンラインで世界中の音楽にアクセスできるようになりましたが、その分、「どこで生まれたのか」「どんな背景を持つのか」を意識しないまま音楽を流し聞きしてしまうことも増えています。
中国の伝統曲、キューバのビート、ジャズという語法が同じステージで交わるこのセッションは、一つの曲をきっかけに、異なる地域の歴史や文化に思いを巡らせる入り口にもなり得ます。忙しい日常の中であっても、こうした音楽から世界を感じ、自分の「当たり前」を少し広げてみること。それ自体が、グローバルな時代のささやかな学びの時間になりそうです。
「読みやすいのに考えさせられる」音楽ニュースとして
CGTNスタジオから届けられた彩雲追月のジャズ・バージョンは、ただ「かっこいいアレンジ」や「話題のコラボ」にとどまらず、文化と文化が出会う場としての音楽のあり方を静かに問いかけています。
ニュースとしてこの演奏を眺めるとき、焦点は二つあります。
- 中国の伝統音楽が、他地域のリズムやスタイルと交わることでどのようにアップデートされうるのか
- 異なるバックグラウンドを持つ演奏家同士が、言語ではなく音を通じてどのように対話しているのか
こうした視点を持つことで、一つのスタジオ・パフォーマンスが、国際ニュースや文化交流の文脈の中で立体的に見えてきます。スマートフォンの画面越しであっても、その向こうにある多層的な物語までイメージしてみることが、今の時代の「ニュースの楽しみ方」の一つなのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







