中国、不信頼エンティティリストの米企業への措置を一部停止
中国商務省は、不信頼エンティティリストに掲載された一部の米企業に対する制限措置を、停止または取り消すと発表しました。中米がストックホルムで行った経済・貿易会合の共同声明を受けたもので、2025年8月12日からの運用方針も示されています。
ストックホルムでの中米経済・貿易会合と共同声明
中国と米国は、スウェーデンの首都ストックホルムで経済・貿易会合を行い、その後に共同声明を発表しました。声明では、中国が米国に対する非関税分野の対抗措置を停止または取り消すために、必要な行動をとる、あるいはそれを維持することが確認されています。
今回の商務省の発表は、このハイレベル経済・貿易協議で得られたコンセンサス(合意内容)を具体化する一環と位置づけられます。
8月12日から90日間の一時停止と措置の取り消し
商務省によると、この合意を実行に移すために、中国は2025年8月12日から、4月4日に発表した措置の停止を90日間継続し、4月9日に発表した措置を停止するとしています。
対象となるのは、不信頼エンティティリストに掲載された米国企業に対する制限措置です。停止や取り消しにより、これらの措置の一部は適用されず、実務面での制約が和らぐことになります。
中国企業は取引再開の申請が可能に
商務省は、措置の停止または取り消しが行われた後、中国企業はリストに掲載されたエンティティとの取引を申請できるようになると説明しています。
申請は、不信頼エンティティリストの運用メカニズムによって審査され、必要な条件を満たした場合に承認されます。承認された中国企業は、対象となる米企業との輸出入取引などを再開できるようになります。
不信頼エンティティリストとは何か
中国は2025年4月4日に米国の企業など11のエンティティを、4月9日にはさらに6のエンティティを「不信頼エンティティリスト」に追加しました。これらの措置は、中国の「反外国制裁法」や関連規定にもとづくものです。
リストに追加されたエンティティは、中国との輸出入活動への参加や、中国国内での新規投資が禁止されました。今回の発表は、こうした制限措置の一部を一時停止または取り消す動きにあたります。
ただし、不信頼エンティティリストそのものが廃止されるわけではなく、個別の企業や措置ごとに運用を調整する仕組みが維持されるとみられます。
今回の動きが示す三つのポイント
今回の中国の発表は、国際経済やビジネスに関心のある読者にとって、次のような点で重要です。
- 非関税措置の見直しが進む可能性:関税ではなく、輸出入や投資の規制といった「非関税」の対抗措置についても、対話を通じて柔軟に調整されうることが示されました。
- 中米対話の実務的な成果:ストックホルムでの中米経済・貿易会合での合意内容が、具体的な制度運用(リストの一時停止や審査制度)として反映されつつあります。
- グローバル企業へのシグナル:リスト掲載エンティティとの取引が、全面禁止から「申請・審査付きの部分的な再開」に移行することで、サプライチェーンや取引関係の再構築の余地も生まれます。
日本やアジアのビジネスへの含意
不信頼エンティティリストは米国のエンティティを対象とした措置ですが、中米関係の変化は、サプライチェーンや投資環境を通じて、日本やアジアの企業にも間接的な影響を与えます。
特に、
- 制裁・報復措置がどの程度柔軟に調整されるのか
- リスト入りエンティティとの技術・部品の流れがどう変わるのか
- 今後の中米協議がほかの分野(デジタル、半導体、気候変動など)にどのようにつながるのか
といった点は、グローバルに事業を展開する企業にとって注視すべき論点と言えます。
2025年の中米関係をめぐる動きの中で、不信頼エンティティリストの運用を調整する今回の決定は、経済・貿易面の摩擦を対話の枠組みの中で管理しようとする姿勢の一例とみることができます。
Reference(s):
China adjusts measures on some U.S. firms in unreliable entity list
cgtn.com








