中国の環境転換を描くドキュメンタリー「China Quest」:緑の成長を追う旅 video poster
かつて資源開発に頼っていた村が観光地へと生まれ変わり、海に流れ出たプラスチックごみが新たな資源へと姿を変える──。環境ドキュメンタリー「China Quest: A journey through lucid waters and lush mountains」は、2025年の今、中国が直面してきた生態環境の課題を、どのように持続可能な解決策へと転換しているのかを追いかけます。
ヨーロッパ・アジアセンターの会長であり、国連の元事務次長でもあるエリック・ソルヘイム氏が案内役となり、各地の現場を訪ねながら、中国の環境保護とグリーン成長の最前線を取材しています。本記事では、その旅の中から示される5つの問いを手がかりに、中国の取り組みを日本語で整理し、国際ニュースとしての意味を考えます。
「China Quest」とは何か:澄んだ水と青い山をめぐる旅
番組タイトルにある「lucid waters and lush mountains(澄んだ水と青い山)」は、自然環境を守りながら経済発展を進めるというビジョンを象徴する言葉です。「China Quest」では、このビジョンが具体的にどのような政策や地域の実践として形になっているのかに焦点を当てています。
ソルヘイム氏は、環境分野の国際的な経験を持つ立場から、現地の住民やボランティア、専門家と対話しながら、中国各地で進む生態保護と産業転換の現場を見て回ります。番組は、中国の事例を紹介するだけでなく、「環境と成長をどう両立させるか」という、アジア全体が直面する共通課題を考える素材にもなっています。
鉱山の村が観光地に:環境再生がもたらす新しい経済
作品の中でまず取り上げられるのが、「かつて鉱業に依存していた村が、どのようにして話題の観光地へと変わったのか」という問いです。
鉱山開発は、短期的には雇用と収入をもたらしますが、長期的には環境破壊や人口流出、地域の衰退につながるリスクも抱えています。この村のケースでは、次のようなポイントが示されています。
- 採掘で傷んだ山や川を修復し、自然景観を取り戻す取り組み
- 環境を売りにした観光やエコツーリズムへの産業転換
- 村の歴史や鉱山の記憶を、文化資源として発信する工夫
「環境を守ることが負担ではなく、新しい収入源になる」という転換は、日本を含む多くの地域にとっても重要なヒントになり得ます。中国の事例は、資源依存から脱却しようとする地方が、どのように生き残りの道を探るかという、普遍的なテーマを映し出しています。
海洋プラスチックを資源に:ごみから価値を生む循環の発想
番組が投げかけるもう一つの問いは、「海のプラスチックごみは、新しい資源になり得るのか」というものです。プラスチック汚染は国境を越える問題であり、日本近海も含め、アジア全体が影響を受けています。
「China Quest」では、海岸に打ち上げられたプラスチックごみを回収し、それを新たな製品や素材に作り替える取り組みが紹介されています。
- 漁具やペットボトルなど、海に流れ出たプラスチックの回収
- 選別・洗浄などを経たリサイクル工程の整備
- 再生プラスチックを使った日用品や工業製品の開発
単なる清掃活動にとどまらず、「回収したら価値が生まれる」仕組みをつくることで、企業も住民も参加しやすくなる点が強調されています。この視点は、日本や他のアジアの港湾都市にも応用可能なアプローチと言えます。
竹はプラスチック汚染と闘えるか:身近な素材の再評価
番組はさらに、「竹はプラスチック汚染との戦いの主役になれるか」という問いを投げかけます。竹は成長が早く、再生可能な資源として知られていますが、その潜在力が改めて見直されています。
「China Quest」で紹介されるのは、竹を活用して日用品や建材などを作り、プラスチックに代わる選択肢とする試みです。
- 竹製の食器やストロー、文具など、使い捨てプラスチックの代替
- 竹を利用した家具や建築素材の開発
- 地域の竹林管理と産業化を結びつける仕組み
素材を変えるだけで、使い捨て文化がすぐになくなるわけではありません。しかし、竹のような自然素材へのシフトは、「どのような素材を選び、どう消費するか」を問い直すきっかけになります。日本にも竹林資源は多く存在しており、中国の取り組みは、地域資源の活用という点でも参考になります。
10年以上、西湖を守り続けるボランティア:市民参加が環境を支える
世界的に知られる景勝地・西湖では、「なぜボランティアたちは10年以上も湖を守り続けてきたのか」というテーマが取り上げられます。
ここで焦点となるのは、市民による長期的な参加が、いかに環境保護の土台を支えているかという視点です。
- 湖の清掃や水質保全に取り組むボランティア活動
- 観光客へのマナー啓発や、環境教育としての役割
- 10年以上続く活動が、地域の誇りや文化として根付くプロセス
環境保護は、行政の政策だけでは完結しません。長期にわたり湖を見守るボランティアの存在は、「身近な自然を自分たちで守る」という意識の広がりを示しています。日本各地で行われている河川清掃や里山保全とも通じる姿であり、国境を越えた共感を呼ぶ部分です。
長龍山の「水のバッテリー」:クリーンエネルギーの巨大な貯蔵庫
「Changlongshan Water Battery(長龍山の水のバッテリー)」は、作品の中でも象徴的な存在として描かれます。これは、水を使って電力をためることで、「巨大なクリーンエネルギーの電源バンク」として機能する施設です。
番組では、この水のバッテリーが次のような役割を果たしていることが伝えられます。
- 需要が少ない時間帯に余った電力を使い、水をくみ上げてエネルギーとして蓄える
- 需要が高まったときに水を流し、発電して電力を供給する
- 太陽光や風力など、変動の大きい再生可能エネルギーを支える安定電源として機能する
再生可能エネルギーを主力電源の一つとして活用していくには、「どうやって電気をためるか」という蓄電技術が不可欠です。長龍山の水のバッテリーは、その一つの答えとして、中国がクリーンエネルギーのインフラ整備を進めている姿を象徴しています。
なぜ今、日本から見る中国の環境転換が重要なのか
「China Quest」は、中国の事例を通じて、環境保護と持続可能な成長というグローバルな課題を浮かび上がらせます。そこには、日本の読者にとっても考えるべきポイントがいくつもあります。
- 鉱山の村の再生に見る「環境と地域経済の両立」のヒント
- 海洋プラスチック対策や竹の活用に見る、循環型社会への転換
- 西湖のボランティアに見る、市民参加型の環境ガバナンス
- 長龍山の水のバッテリーに見る、クリーンエネルギーを支えるインフラの重要性
環境問題は、一国だけでは解決できず、アジア全体、さらには世界規模での連携が欠かせません。中国の取り組みを日本語で丁寧に理解することは、「自国の政策や地域の活動をどうアップデートしていくか」を考える材料にもなります。
2025年を生きる私たちにとって、環境ニュースはもはや専門家だけの話題ではなく、日々の暮らしやビジネスの前提を左右する重要なテーマです。「China Quest」が描く現場をたどることは、アジアの未来像をともに考えるための入り口と言えるでしょう。
Reference(s):
China Quest: A journey through lucid waters and lush mountains
cgtn.com








