中国のグリーン転換はどこまで進んだ?習近平氏の理念と国民の実感
中国のグリーン転換はいまどこまで来たのか
中国で進むグリーン転換が、国のあり方そのものを変えつつあります。生態環境を重視する理念のもと、低炭素エネルギーの導入や産業構造の見直し、長江の禁漁措置など、さまざまな環境政策が進められてきました。2024年には、生態環境への満足度が91.24%に達し、4年連続で90%を超えています。
環境理念を方向づけた二つの瞬間
中国のグリーン転換を理解するうえで、二つの出来事がよく語られます。
一つ目は、2005年にさかのぼります。当時、中国共産党浙江省委員会書記を務めていた習近平氏は、浙江省の安吉県を訪れました。このとき、習氏は「澄んだ水と豊かな緑の山々はかけがえのない資産である」という考え方を示しました。この理念はその後、中国のグリーンな発展を導く重要な指針として位置づけられていきます。
二つ目は、2013年4月の海南省視察です。習近平国家主席はここで「健全な生態環境は、人々の幸福にとって最も包摂的な利益だ」と語りました。環境そのものを「最大の民生の福祉」とみなす視点は、その後の政策全体に一貫して流れています。
エネルギー・産業・都市で進むグリーン転換
こうしたビジョンのもと、中国は段階的にグリーン転換を進めてきました。国際ニュースの文脈でも注目される主な取り組みは、次のようなものです。
- 低炭素エネルギーの導入・拡大
- 老朽化した設備や環境負荷の高い産業能力の段階的な淘汰
- 自然保護を軸とした国家公園制度の構築
- 森林や河川、湿地など生態系の修復
- 長江流域での10年間にわたる漁業禁止措置
- 人が住みやすい、環境と調和した都市づくりの推進
これらは、単に環境汚染を減らすだけでなく、「環境保護を前提に成長を図る」という発想への転換を象徴しています。エネルギー、産業、都市政策が連動して動くことで、長期的なグリーン成長をめざす構図が見えてきます。
環境への満足度91.24%という数字
こうした取り組みが、人々の生活実感にどう結びついているのかも重要なポイントです。
中国国務院によると、2024年の中国における生態環境への満足度は91.24%に達し、4年連続で90%を超えました。環境への満足度が高い水準で安定していることは、政策の方向性が一定の支持を得ていることを示しているとも言えます。
もちろん、満足度という一つの数字だけで環境の実態をすべて判断することはできませんが、少なくともここ数年、生活者の目線から見て「環境が良くなってきた」と感じる人が多い状況が続いていることがうかがえます。
国際ニュースとして押さえたい3つの視点
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、中国のグリーン転換を理解するうえで押さえておきたいポイントは、次の三つです。
- トップレベルの長期的コミットメント
環境保護を「最大の民生の福祉」と位置づける発言や、「緑の山と清らかな水は資産」という理念は、短期のキャンペーンではなく、長期的な優先課題として環境をとらえる姿勢を示しています。 - 分野横断で進むグリーン転換
低炭素エネルギー導入、産業構造の高度化、国家公園制度、生態系の修復、長江の禁漁、住みやすい都市づくりなど、エネルギー・産業・自然保護・都市政策が連動している点が特徴です。 - 国民の満足度という「生活者の物差し」
2024年に生態環境への満足度が91.24%となり、4年連続で90%を超えたという事実は、統計としても、生活者の実感としても、このグリーン転換が一定の成果を上げていることを示す材料となっています。
2025年のいま、どう読み解くか
2025年12月の時点で振り返ると、中国のグリーン転換は、理念・政策・生活者の実感という三つのレベルが結びつきつつあるプロセスと見ることができます。
環境と経済の両立を模索する動きは、日本を含む多くの国と地域に共通する課題です。そのなかで、中国がどのようなアプローチで生態環境の保護と発展を両立させようとしているのかは、今後の国際的な議論にも影響を与える可能性があります。
国際ニュースを追う私たちにとっては、個々の政策の是非だけでなく、長期的な理念の変化や、人々の満足度といった視点も合わせて見ることで、中国のグリーン転換をより立体的にとらえることができそうです。
Reference(s):
cgtn.com








