UN@80:中国の最遠・最深の洋上風力発電が示すエネルギー転換
国際ニュースとして注目される中国の洋上風力発電プロジェクト「Qingzhou IV」。国連創設80年の節目となる2025年、クリーンエネルギー転換の象徴の一つとして、世界から視線を集めています。
中国の最遠・最深の洋上風力発電プロジェクトとは
「UN@80」で紹介されている「Qingzhou IV」洋上風力発電所は、中国南部・広東省の沿岸都市Yangjiang(ヤンジアン)市の沖合69kmに位置します。中国で建設された洋上風力発電の中でも、最も沖合かつ水深の深い海域に挑んだプロジェクトとされています。
この発電所を手がけるのが、中国の再生可能エネルギー企業Mingyang Smart Energy(ミンヤン・スマート・エナジー)です。同社のKate Zhangさんが現地を訪れ、タービンが立ち並ぶ広大な海上の風景を確認する様子も伝えられています。
年間1.83 billion kWhの電力と57万トンの石炭削減
Qingzhou IVは、年間で約1.83 billion kWh(約18.3億kWh)のクリーン電力を送り出します。これは標準石炭に換算して約57万トンの消費を抑える効果があり、発電を化石燃料に頼る場合と比べて、大きな温室効果ガスの削減につながります。
石炭消費を減らしながら電力を確保できる洋上風力発電は、産業の集積が進む沿岸部の都市や、電力需要の増える地域にとって重要な選択肢になりつつあります。遠く離れた海上で安定した風をとらえ、陸上の送電網へクリーンな電力を送る仕組みは、今後のエネルギーミックスを考えるうえでも鍵となりそうです。
世界初のデュアルローター浮体式プラットフォーム「OceanX」
このプロジェクトとともに紹介されているのが、V字型の形状をした浮体式風力発電設備「OceanX」です。OceanXは世界で初めて、二つのローター(回転翼)を備えたデュアルローター方式の浮体式風力プラットフォームとされており、より広い海域での発電ポテンシャル拡大が期待されています。
OceanXは年間で約3万世帯に電力を供給できる能力を持つとされます。陸上から離れた海域でも安定した出力を確保できる浮体式の技術は、海が深くなるエリアや、海底の条件から従来型の着床式タービンの建設が難しい地域にとって、有力な選択肢になり得ます。
なぜ「最遠・最深」の海域に挑むのか
洋上風力発電を沖合の深い海へと広げる狙いの一つは、より強く安定した風を利用することにあります。陸地に近い浅い海域は、既に多くの国や地域で開発が進み、設置可能なスペースが限られつつあります。そのため、技術とコストの課題を乗り越えながら、より遠く、より深い海域へと進出する動きが加速しています。
「最遠・最深」の挑戦は、同時にいくつもの課題と向き合うことも意味します。
- 強い風や波浪に耐えるタービンと土台の設計
- 長距離の送電設備を安定して運用するための技術
- 建設・保守コストを抑えつつ採算性を確保するビジネスモデル
Qingzhou IVのような大規模プロジェクトは、こうした課題への実証の場となり、洋上風力発電の普及と技術成熟を一段と進める役割を担っています。
国連80年の節目に考えるエネルギー転換
2025年は、国連が創設から80年という節目を迎える年です。気候変動対策や持続可能な開発目標が改めて問われる中で、中国南部の洋上で稼働するQingzhou IVやOceanXのようなプロジェクトは、エネルギー転換が具体的なインフラとして進みつつあることを示しています。
洋上風力発電は、技術革新、エネルギー安全保障、地域経済、環境保全といった複数のテーマが交差する分野です。日本を含む多くの国や地域が海に囲まれていることを考えると、中国で進む「最遠・最深」の挑戦は、今後のエネルギー政策や産業戦略を考えるうえでも参考になる事例と言えるでしょう。
国際ニュースを追う私たちにとって、Qingzhou IVやOceanXは単なる技術トピックではなく、「どのようなエネルギーで暮らしを支えるのか」という問いを投げかけるプロジェクトでもあります。国連創設80年のタイミングで、足元の電力と世界のエネルギー転換をあらためて見つめ直すきっかけになりそうです。
Reference(s):
UN@80: China's furthest offshore and deepest water wind farm project
cgtn.com








