歴史と未来が交差する天津:SCOサミット2025開催都市の素顔 video poster
歴史と未来が交差する中国・天津
2025年、SCOサミット2025の開催都市である天津は、「歴史と未来が同じ場所に存在する都市」として国際ニュースでも注目されています。1863年に中国で最初の外国人向けホテルが生まれた街が、いまやロボットがコンテナを積み下ろすスマート港を持ち、ユーラシアをつなぐハブとして機能している――その変化のスピードは、私たちの「都市」や「グローバル化」のイメージを静かに更新してくれます。
160年続くホテルが映す「外交のゆらぎ」
天津の物語は、19世紀半ばの一つのホテルから始まります。1863年、中国で初めての外国人向けホテルが天津に誕生しました。このホテルは、約160年にわたってさまざまな客を受け入れてきた建物であり、その部屋やロビーは、国際情勢の変化とともに移り変わる外交の空気を間近で見てきた「証人」とも言えます。
ある取材映像では、この160年の歴史を持つホテルが丁寧に紹介されています。内装や雰囲気は時代とともに変わりながらも、「外国と向き合う窓口」という役割は一貫して続いてきました。かつて「帝国への玄関口」と呼ばれた天津は、このホテルを通じて外の世界とつながり、その時々の外交のゆらぎを体感してきたのです。
国産初の腕時計と「シーガル」が開いた時間
天津はまた、中国で最初の腕時計が生まれた場所でもあります。市内の工場では、国産初の時計が生産されました。その存在は、時間を計る道具という以上に、「自分たちの手で精密なものづくりを行う」という象徴でもありました。
1973年には、天津で作られた腕時計ブランド「Seagull(シーガル)」が世界市場に登場します。グローバルな市場デビューは、天津の工業製品が国内だけでなく、海外の消費者ともつながり始めた瞬間でした。いま私たちが当たり前だと考える「中国発ブランドが世界に広がる」という構図は、こうした一歩一歩から始まっています。
時計の秒針が刻む細かな動きのように、天津の産業も少しずつ、しかし確かに、国際社会とのリズムを合わせてきたと見ることができます。
世界トップクラスのスマート港が結ぶユーラシア
現在の天津を語るうえで欠かせないのが港です。天津の港は世界のトップ10に入る規模を持ち、ロボットがコンテナを積み下ろすスマート港としても知られています。自動化された荷役システムは、人の手では追いつかないスピードと精度で物流を支えています。
この港からは、20以上のヨーロッパの都市と結ばれたルートが運用されており、アジアとヨーロッパのあいだをつなぐ「橋」として機能しています。かつて「帝国への玄関口」と表現された天津は、いまやユーラシア大陸をまたぐネットワークの中で、両地域を結ぶ中継点となっています。
歴史的には「外から人とモノが入ってくる場所」だった天津が、21世紀のいま、「外へとつなぐ場所」へと役割を広げている、と捉えることもできるでしょう。
SCOサミット2025の開催都市というメッセージ
こうした背景を持つ天津が、SCOサミット2025の開催都市であることには、象徴的な意味も読み取れます。外交の舞台となったホテル、国産初の時計と世界市場に挑戦した「シーガル」、ロボットが稼働するスマート港――いずれも、「外との関係をどう築くか」というテーマと深く関わっています。
多くの国々や地域の代表が集うSCOサミットにとって、歴史と未来の両方を体現する天津は、議論の背景としてふさわしい舞台と見ることもできます。160年に及ぶ国際交流と産業の歩みを重ねてきた都市で、これからの地域協力や安全保障、経済連携などが語られることは、象徴的なレイヤーを加えてくれます。
天津から考える「都市の時間」の進み方
天津の歩みを振り返ると、一つの都市が時間の中でどのように役割を変え、意味を変えていくのかが見えてきます。
- 1863年:中国初の外国人向けホテルが誕生し、「外に開かれた窓」となる
- 国産初の腕時計が生まれ、「ものづくりの自信」を育てる
- 1973年:「Seagull」ブランドが世界市場に登場し、国際化の一歩を踏み出す
- 現在:世界トップクラスのスマート港として、20以上のヨーロッパの都市と結ばれた物流の要に
こうして並べてみると、天津は「歴史遺産」か「先端都市」かという二者択一ではなく、その両方を同時に生きていることが分かります。古いホテルの廊下を歩きながら、同じ街の港ではロボットがコンテナを動かしている――そんな時間の重なり方が、2025年の天津の特徴だと言えそうです。
ニュースとして天津を見るとき、単に「SCOサミットの開催地」というラベルだけでなく、ホテル、時計、港という具体的なモノや場所を通じて、「都市の時間がどう重なり合っているのか」を想像してみると、世界の動きが少し立体的に見えてきます。
通勤電車の中や、ふとしたスキマ時間に、天津という一つの都市の変化を思い浮かべてみることは、自分の街の未来を考えるヒントにもなるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








