チベット香で現代を整える:Zhou Fengが語る「煙よりも魂」 video poster
現代の暮らしに溶け込むチベット香:Zhou Fengがつなぐ伝統と日常
チベットの古い香文化と現代のライフスタイルをつなぐ動きが、いま静かに広がりつつあります。その一人が、中国・河南の平野からラサの屋上まで旅をし、11年かけてチベット香を学んだ職人、Zhou Fengさんです。本記事では、彼のブランド「Sangputi」の工房をのぞきながら、香づくりが教えてくれるスローダウンの感覚を追います。
河南の平野からラサの屋上へ、11年の学び
Zhouさんの歩みは、「河南の平野からラサの屋上へ」という一文に象徴されています。標高も文化も異なる土地を往復しながら、彼は11年間、チベット香の古い技法を一つひとつ身につけてきました。
師匠から受け継いだのは、配合のレシピだけではありません。季節や湿度を読み、原料の状態に耳を澄ませる感覚、そして「急がない」ことの大切さも、学びの中心にありました。
ブランド「Sangputi」が架ける橋
こうして生まれたのが、Zhouさんのブランド「Sangputi」です。僧院の静かな本堂から、にぎやかな都市のマンションの一室まで、Sangputiのチベット香はさまざまな空間で焚かれています。
特徴的なのは、世界各地のハーブとヒマラヤ地域の知恵を組み合わせている点です。伝統的なチベット香の哲学を土台にしながらも、現代の都市生活に合うよう、香りの強さや持続時間などを丁寧に調整しています。
工房の中で起きていること:原料が瞑想の香りになるまで
工房では、素朴な原料が「瞑想の香り」へと姿を変えていきます。そのプロセスは、見ているだけでもゆっくりとした時間の流れを感じさせます。
- まず、世界各地から届いたハーブや木の皮、樹脂などの原料を、目と手で一つずつ確かめます。
- 次に、チベット香の古い教えにもとづいて配合を決め、粉末状になるまで挽き、混ぜ合わせます。
- 練り上げられた生地は細く伸ばされ、ラサの屋上のような風通しの良い場所で、ゆっくりと乾燥させられます。
どの工程も機械任せではなく、時間と対話を必要とする手仕事です。Zhouさんにとって、それは製造というより「対話に近い行為」なのかもしれません。
「煙ではなく魂」のものづくり
Zhouさんは、香づくりは「煙の量ではなく、魂に近づけるかどうか」だと考えています。どれだけ強く香るかよりも、その香りが焚かれる空間や、そこにいる人の心にどう寄り添うかを大切にしているのです。
忙しい都市生活の中で、火をつけ、煙が立ちのぼり、やがて消えていくまでの数分間。Sangputiのチベット香は、その短い時間に「立ち止まる」感覚を差し出しています。文化交流の産物でありながら、私たち自身の内側へ戻っていくための小さな道しるべにもなっています。
日本の読者へのヒント:香りで時間の流れを変えてみる
日本でも、お香は身近な存在です。しかし、Zhouさんのチベット香の物語から学べるのは、香りそのものよりも「時間との付き合い方」かもしれません。
- 一日の終わりに、一本のお香が燃え尽きる時間だけ、スマートフォンを手放してみる。
- 在宅勤務や勉強の前に、短く焚いて、仕事モードと私的な時間の切り替えに使ってみる。
- 家族や友人と過ごす静かな夜に、言葉ではなく香りで空間を整えてみる。
チベット香と日本のお香、文化は違っても、香りを通じて自分のリズムを整えようとする気持ちは共通しています。河南からラサへ、そして都市の家庭へと受け継がれてきたZhouさんの香づくりは、2025年の私たちに、「少しだけゆっくり生きてみませんか」と静かに問いかけているようです。
Reference(s):
cgtn.com








