安吉から広がる中国のグリーン転換 20年の環境改革とその先 video poster
「Lucid waters and lush mountains are invaluable assets(澄んだ水と豊かな緑の山々はかけがえのない財産だ)」――この一文が掲げられてから約20年、中国本土は深刻な汚染と向き合いながら、大きな環境転換を進めてきました。数字だけでは見えにくいその変化は、現地の暮らしをどう変え、世界の中でどのような意味を持つのでしょうか。舞台は、このビジョンの故郷とされる浙江省・安吉、そしてその先へと広がる「グリーン・ジャーニー」です。
「緑の山と清らかな水は財産」――中国を動かした発想の転換
かつて経済成長の陰で重い環境負荷に苦しんだ中国本土にとって、「Lucid waters and lush mountains are invaluable assets」という考え方は、発想の大きな転換でした。自然を消費する対象ではなく、未来の価値を生み出す資産としてとらえ直す視点です。
このビジョンは、単なるスローガンではなく、政策や地域づくり、産業の方向性にまで影響を及ぼしてきました。「環境を守ること」と「人々の豊かさ」を対立させるのではなく、両立させることを目指す流れが、この二十年で少しずつ形になってきたといえます。
安吉から中国本土各地へ:20年のグリーン・ジャーニー
この物語の出発点の一つが、浙江省の安吉です。山と水に囲まれたこの地域は、「緑の資産」をどう生かすかを模索してきました。かつては汚染や資源の過剰利用に悩んだ地域も、環境を守りながら暮らしを良くする方向へと舵を切っています。
中国本土各地では、このビジョンを背景に、次のような動きが広がっているとされています。
- 自然環境に配慮した地域づくりや観光の推進
- 環境負荷の高い産業の見直しと、新たなグリーン産業の育成
- 暮らしと調和するかたちでのインフラ整備
安吉の経験は、「地方から始まる環境改革」がどのように中国本土全体へ広がっていくのかを象徴的に示していると言えます。
統計を超えて:人々の暮らしはどう変わったのか
環境転換の成果は、しばしば排出削減量や再生可能エネルギーの導入比率といった数字で語られます。しかし、安吉から始まったこのグリーン・ジャーニーは、日々の暮らしの質にも変化をもたらしています。
例えば、次のような変化が各地で語られています。
- 川や湖の水質が改善し、子どもたちが水辺で遊ぶ光景が戻ってきたこと
- かつて汚染で知られた地域が、今では自然を楽しむための散策路や公園として親しまれていること
- 環境に配慮した産業やサービスが生まれ、地域の新しい雇用につながっていること
こうした変化は、統計表の数字だけでは表しにくいものです。住民の健康や心の余裕、子どもたちに残したい風景といった、生活感覚そのものが少しずつ変わり始めていることこそ、「緑の奇跡」の大きな意味だと見ることができます。
グローバルな視点で見る「中国のグリーン転換」
中国本土で進む環境転換は、国内だけの話ではありません。気候変動や生物多様性の保全といった課題は国境を越えてつながっており、中国の動きは世界全体の流れの中で注目されています。
ポイントは、次のような点にあります。
- かつて汚染に悩んだ国・地域が、どのように環境と成長の両立を図るのかという「モデルケース」であること
- 環境分野での経験や技術が、他の国や地域との協力の土台になりうること
- 「自然は資産である」という発想が、世界共通の価値観として共有されつつあること
中国本土の経験をどう世界と分かち合い、各国・地域が自分たちなりのグリーン転換に生かしていくか――それが2025年の今、国際社会にとって重要なテーマになっています。
エリック・ソルハイム氏が見た浙江の「緑の奇跡」
この物語を国際社会の視点から伝えようとしている人物の一人が、国連の元事務次長を務めたエリック・ソルハイム氏です。彼は浙江を訪れ、安吉をはじめとする地域で、中国本土がどのように環境と発展の両立を目指してきたのか、その背景に迫っています。
ソルハイム氏の視点の特徴は、単に政策の枠組みを見るだけでなく、現地の人々の暮らしや景観の変化に着目している点にあります。かつて汚染に悩んだ土地が、今では「緑の山と清らかな水」を誇りとして語る場所に変わりつつある。この変化を、彼は「グリーンミラクル(緑の奇跡)」として捉え、世界に向けて発信しようとしています。
次の20年に向けて:安吉が投げかける問い
環境転換の20年はゴールではなく、新たなスタートラインでもあります。安吉から広がった「緑は資産」という考え方は、これからの20年に向けて、私たちにいくつかの問いを投げかけています。
- 環境と経済を両立させる地域モデルを、どう持続可能な形で深めていくのか
- 都市と農村、沿海部と内陸部など、地域ごとの条件の違いを踏まえたグリーン転換をどう設計するのか
- 中国本土と世界が、環境分野でどのように経験を共有し合い、ともに学んでいけるのか
2025年の今、私たちは「経済か、環境か」という二者択一ではなく、「どのようにすれば、自然を守りながら豊かに生きられるのか」という問いに向き合っています。安吉から始まった中国本土のグリーン・ジャーニーは、その問いに対する一つの答えを、これからも世界に示し続けることになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








