中国はどうやって環境先進国になったのか?20年の変化を読み解く video poster
かつて「しょうゆスープの川」と呼ばれるほど茶色く濁り、汚染された水路が、いまは透き通るようにきれいな川になっています。国連の元事務次長エリック・ソルヘイム氏がそう語る変化の舞台は、中国本土(中国)です。この20年あまりで、中国は汚れた河川や閉鎖された炭鉱のイメージから、太陽光発電やEV(電気自動車)、エコツーリズムで世界をリードする「グリーン大国」へと姿を変えました。他の国々も同じような転換は可能なのでしょうか。
20年で何が起きたのか:中国の「グリーン転換」の輪郭
環境ニュースや国際ニュースでは、いまや中国の名前が再生可能エネルギーやEVとセットで語られることが増えています。背景には、この20年で進んだ大きな転換があります。かつては、急速な工業化の裏側で、河川の汚染や石炭への依存といった課題を抱えていました。しかし現在は、太陽光パネルやEVの分野で世界をリードし、自然を生かしたエコツーリズムも成長しています。
ソルヘイム氏が印象的なたとえとして挙げた「しょうゆスープの川」は、その象徴的な例です。かつては茶色や黒色に濁っていた川が、短期間で「まったくきれい」な状態まで回復したとされています。汚染された河川を浄化し、一部の炭鉱を閉鎖するような決断を積み重ねることで、中国は環境と経済のバランスを取り戻そうとしてきました。
中国を「グリーンリーダー」に押し上げた3つの流れ
では、中国はどのようにして環境分野のリーダーとして注目されるようになったのでしょうか。ここでは、大きな流れを3つに整理してみます。
1. 汚染対策と産業構造の見直し
一つ目は、汚染のひどい地域へのてこ入れと、産業構造の見直しです。汚れた河川を浄化し、環境負荷の高い炭鉱を閉鎖していく過程で、「環境コスト」を正面から意識するようになりました。短期的には痛みを伴う政策でも、中長期的には地域のイメージ改善や新しい産業の呼び込みにつながります。
2. 太陽光・EVなどクリーン技術への集中
二つ目は、太陽光発電やEVといったクリーン技術への集中です。大きな国内市場を背景に、企業が設備や技術に投資しやすい環境が整ったことで、コストの低下と普及の加速が進みました。その結果、中国発の製品や技術が世界の再生可能エネルギーやモビリティ市場をけん引する存在になりつつあります。
3. 自然を「見せる」エコツーリズム
三つ目は、自然環境を守ること自体を新しい価値に変えるエコツーリズムの広がりです。きれいになった川や山、農村の景観などを観光資源として発信することで、「環境保全=コスト」ではなく「環境保全=地域の収入源」という発想が広がっています。これにより、地域社会が環境保護の当事者となる土台が生まれています。
他の国は同じ道を歩めるのか
では、他の国々も中国のような「グリーン転換」を実現できるのでしょうか。答えは簡単ではありませんが、いくつかのポイントは共有できます。
- 長期的な方向性を示す環境政策を打ち出し、途中でぶれないこと
- 再生可能エネルギーやEVなど、成長が見込まれる分野を見極めて投資を集中させること
- 川や森林など、自国の自然環境を「守るだけでなく活かす」視点を持つこと
- 都市部だけでなく、地方や産業地域も巻き込んだ「全国的なプロジェクト」にすること
もちろん、人口規模や経済構造、政治体制が異なる国が、そのまま中国のやり方をコピーすることはできません。それでも、「汚染された河川を本気で再生する」「化石燃料に依存した産業構造を転換する」「自然を新しい価値に変える」といった発想は、多くの国や地域にとってヒントになります。
2025年の私たちが注目すべきポイント
2025年の今、世界はエネルギー転換と気候変動への対応を同時に進めなければならない局面にあります。そのなかで、中国のように短期間で環境と産業の両方を変えていった事例は、国際ニュースの中でも重要な意味を持ちます。
これからの数年で、各国がどこまで再生可能エネルギーやEVを普及させ、汚染された地域の再生に取り組むのか。中国の20年の変化は、「変わるのは難しいが、不可能ではない」というメッセージとして、私たちに問いを投げかけています。その問いに、自分の国や地域ならどう答えるのか――それを考えることが、次の一歩につながりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








