中国の李強首相、「生態文明」新時代へ グリーン転換と協力を呼びかけ
中国の李強首相は2025年12月5日(金)に開かれた国家生態日のメインイベントとシンポジウムで、環境と経済を両立させる「生態文明」づくりを一段と進める必要性を強調しました。キーワードとなったのは、「澄んだ水と豊かな山々はかけがえのない資産である」という考え方です。
李強首相、国家生態日で「生態文明」の新章を提唱
李強首相(中国の国務院総理)は、国家生態日のメインイベント開幕式と、その後に開かれた座談会で演説し、「澄んだ水と青々とした山々は何物にも代えがたい資産だ」とする理念をしっかり確立し、実践していく必要があると呼びかけました。
この理念は、人と自然の調和のとれた共生に向けた科学的な指針であり、持続可能な発展と生態文明の構築に向けて、中国ならではの考え方や解決策を提示するものだと位置づけています。また、グローバルな持続可能な発展への中国の貢献でもあるとしました。
キーワードは「澄んだ水と豊かな山々は資産」
李首相が繰り返し強調したのが、「澄んだ水と豊かな山々は、経済的な価値にも匹敵する重要な資産である」という発想です。従来のように、環境を犠牲にして成長を追うのではなく、自然環境そのものを長期的な価値として守りながら発展を図るというメッセージが込められています。
李首相は、この考え方が生態文明の構築や地球規模の持続可能な発展に向けた「中国のアイデア」として機能し得るとし、人と自然が調和して共存する社会の方向性を示しました。
中国は「質の高い発展」の段階に
李首相によると、中国の経済・社会発展は、グリーン化や低炭素化を加速させる「質の高い発展」の段階に入っています。そのなかで、エコロジー(生態)保護を最優先し、グリーンな発展の道を揺るがず歩むことが不可欠だと強調しました。
そのうえで、次の3つを重点として挙げました。
1. 生態系の多様性・安定性・持続可能性の向上
第一に、自然環境が持つ多様性と安定性、そして長期的な持続可能性を高めることです。生態系が健全に保たれることで、気候や水資源、食料など、生活や経済活動の土台となる要素が支えられます。
2. 産業のグリーン・低炭素転換
第二に、産業全体のグリーン化と低炭素への転換を「着実に」推進することです。エネルギー利用の効率化や排出削減に取り組みながら、新しい環境関連産業の育成も視野に入れた構造転換を進めていく方針が示されました。
3. 生態文明を支える制度・仕組みのイノベーション
第三に、生態文明の構築を支える制度や仕組みを革新することです。環境保護と経済発展を両立させるためのルールづくりや政策の調整など、制度面での工夫が重要だと指摘しました。
「美しい中国」から「きれいで美しい世界」へ
李首相は、エコロジー重視の発展は政府だけで成し遂げられるものではなく、「社会全体が積極的に行動する」ことが必要だと強調しました。国民一人ひとりや企業、地方政府を含む幅広い主体が参加し、「美しい中国」の建設に取り組むことで、世界全体の「きれいで美しい」未来づくりにも貢献できると述べました。
環境対策や気候変動への対応を、国内の課題にとどまらず国際社会への責任として位置づけた点も注目されます。
国際協力を呼びかけ、気候変動への対応を共有課題に
李首相は、「すべての関係者と手を携えてエコロジー環境を守り、気候変動に対応し、グローバルな持続可能な発展を共に推進していく」と述べ、国際協力の必要性を改めて強調しました。
このシンポジウムには、中国の国家発展改革委員会(NDRC)、自然資源部、生態環境部、北京市や浙江省の地方政府の担当者に加え、専門家や学者、国際機関の代表も参加し、それぞれの立場から意見を述べました。生態文明をめぐる議論が、国内政策の範囲を超えて、国際的な課題として共有されつつあることがうかがえます。
日本やアジアから見る「生態文明」メッセージの意味
環境問題や気候変動が国境を越える課題となるなか、中国が「生態文明」を前面に掲げることは、日本を含むアジアの国と地域にとっても重要な意味を持ちます。経済規模の大きい国がグリーン・低炭素転換を進めることは、サプライチェーンや国際ルールづくりにも影響し得るからです。
今回の発言は、環境保護を成長の制約ではなく、長期的な競争力の源泉と捉える姿勢を再確認したものともいえます。今後、中国がどのような具体策で産業のグリーン化や制度改革を進めていくのか、そして気候変動対策や持続可能な発展をめぐる国際協力の場で、どのような役割を果たすのかが焦点になりそうです。
今後の注目ポイント
- 産業のグリーン・低炭素転換が、どのような形で具体化していくのか。
- 生態文明の構築を支える新たな制度や仕組みがどのように設計されるのか。
- エコロジー分野での国際協力が、気候変動対策や持続可能な発展にどうつながっていくのか。
生態文明をめぐる取り組みは、中国国内だけでなく、国際社会全体の環境ガバナンスにも影響する可能性があります。日本やアジアの読者にとっても、今後の政策や協力の動きを追ううえで、今回のメッセージは一つの重要な手がかりになりそうです。
Reference(s):
Premier Li urges efforts to build ecological civilization in new era
cgtn.com








