国際ニュース:映画『Dongji Rescue』と『The Sinking of the Lisbon Maru』がつなぐ戦時救出の記憶 video poster
第2次世界大戦中の「Lisbon Maru救出劇」をめぐる2本の映画が、2025年の日本の降伏80周年に合わせて英国で上映されました。国境を超えた連帯を描くこの国際ニュースを、日本語で整理します。
1942年、中国・Dongji Islandの漁民が下した決断
1942年、第2次世界大戦のさなか、中国のDongji Islandの漁民たちは、日本軍の監視下にあった英国の捕虜を救うため、自らの命をかけて海に出ました。この勇気ある行動は、「Lisbon Maru救出」として語り継がれる物語の中心にあります。
当時、権力も武器も持たない地域の人びとが、とらわれの立場にあった他国の兵士を助ける決断をしたことは、戦争の残酷さと同時に、人間の連帯の可能性を示すエピソードとして注目されています。
8月15日、ロンドンで出会った2本の映画
2025年8月15日、日本の降伏からちょうど80年となる日に、ドラマ作品『Dongji Rescue』がロンドンでプレミア上映されました。同じタイミングで、ドキュメンタリー映画『The Sinking of the Lisbon Maru』も英国の映画館に戻ってきています。
『Dongji Rescue』は、「命がけの救出」という史実をもとにした緊張感あるドラマとして紹介されています。一方の『The Sinking of the Lisbon Maru』は、その出来事を記録し、背景にある歴史の文脈をたどるドキュメンタリーです。フィクションとノンフィクション、二つのスタイルが、同じ物語を別々の角度から描いているのが特徴です。
ドラマとドキュメンタリー、それぞれの役割
同じテーマを扱う2本の映画が並ぶことで、観客は出来事を多層的に理解しやすくなります。
- ドラマ作品は、漁民や捕虜たちの感情、葛藤、決断に焦点を当て、物語としての没入感を高めます。
- ドキュメンタリー作品は、証言や記録を通じて、歴史的な事実関係や背景を整理します。
- 両方を見ることで、「何が起きたのか」と「そのとき人びとは何を感じたのか」を立体的に考えるきっかけになります。
Guan HuとFang Li、初の共演インタビュー
この2本の映画を手がけたGuan Hu監督とFang Li監督は、CGTNのインタビューで初めて同じ場に立ちました。二人は次のようなテーマについて語り合っています。
- どのようにして、この歴史的な救出劇を映画として描こうと決めたのかという「filmmaking(映画づくり)」の視点
- ドラマとドキュメンタリーの両方で「historical truth(歴史的真実)」にどう向き合うかという問題意識
- 撮影の裏側や、関係者の証言を集める過程など、2本の作品の「stories behind the films(舞台裏の物語)」
フィクションの表現と史実の検証をどう両立させるかは、歴史を扱う映画にとって避けて通れないテーマです。Guan Hu監督とFang Li監督の対話は、その難しさと意義を示すものと言えるでしょう。
80年後のいま、なぜこの物語が響くのか
日本の降伏から80年が過ぎた2025年、戦争を直接知る世代は少なくなりつつあります。そのなかで、第2次世界大戦中のLisbon Maru救出劇を取り上げる2本の映画が英国で上映されることには、いくつかの意味がありそうです。
- 中国の漁民と英国の捕虜という、国籍も立場も異なる人びとが示した連帯の記憶を、次の世代に伝えること
- 「敵」「味方」という枠を超えて、人間どうしの選択や勇気に目を向けるきっかけを提供すること
- 歴史教育やニュース報道だけでは届きにくい戦争経験を、映画という形で感覚的にも理解しやすくすること
国際ニュースとして見れば、これは単に過去の出来事を振り返るだけではなく、いまの世界をどう生きるかを考えるヒントにもなります。国や地域が違っても、個人の行動や選択が歴史の一場面を変えうる、という視点です。
「読みやすいのに考えさせられる」歴史の入り口として
『Dongji Rescue』と『The Sinking of the Lisbon Maru』という2本の映画は、同じ歴史的出来事をめぐる異なるアプローチを示しています。ドラマで感情に寄り添い、ドキュメンタリーで事実に向き合うことで、スクリーンの中の物語が、自分自身の問いへとつながっていきます。
戦争の記憶は、ときに重く、遠く感じられます。しかし、中国・Dongji Islandの漁民と英国の捕虜たちの物語のように、個人の選択や連帯に光を当てることで、歴史はぐっと身近なものとして立ち上がってきます。こうした作品を手がかりに、過去と現在、そして未来のあり方を静かに考える時間を持つことができそうです。
Reference(s):
Two films, one story: Guan Hu & Fang Li on the WWII Lisbon Maru rescue
cgtn.com








