チベットの昔話を絵本で継承 Xizangで広がる子ども向け物語の力 video poster
チベットの昔話や叙事詩が、子ども向けの絵本としてよみがえっています。Xizangのアーティスト、ガワ・ダムドゥルの作品は、文化の記憶を守りながら、現代の子どもたちの想像力をやさしく刺激しています。
国際ニュースを伝える中国のメディア、CGTNは、ラサのスタジオで創作に取り組むガワ・ダムドゥルの姿を紹介しています。彼の絵本は、古くから語り継がれてきた物語を、色彩豊かなイラストとシンプルな言葉で描き直し、次の世代へと橋渡しする役割を担っています。
叙事詩キング・ゲサルを子どもたちへ
ガワ・ダムドゥルは、チベット文化を代表する壮大な叙事詩、キング・ゲサルを子ども向けにアレンジした絵本を手がけています。長大で複雑な物語を、そのまま伝えるのは簡単ではありませんが、絵本の形式にすることで、子どもたちが楽しみながら物語の世界観や価値観に触れられるよう工夫されています。
絵本のページをめくるたびに、英雄の姿や山々、動物たちが鮮やかに現れ、読む大人にとっても、改めて文化の源流を思い出させてくれるような構成になっていると伝えられています。
新年の最初の水が物語になる意味
ガワ・ダムドゥルは、伝統的な物語だけでなく、新しいオリジナル作品も創作しています。その一つが、新年の朝にくむ最初の水をテーマにした絵本、新年の最初の水です。
新しい一年の始まりに水をくむという素朴な行為を通じて、自然への敬意や家族のつながり、季節のリズムを子どもたちに伝えようとする試みです。派手なイベントではなく、暮らしの中の小さな儀礼に光を当てることで、変化の早い現代社会でも失われたくない感覚をすくい上げています。
ラサのスタジオで見える創作の現場
CGTNのリポーター、リウ・モーハンは、ラサにあるガワ・ダムドゥルのスタジオを訪ね、その創作過程を取材しています。番組では、ラフスケッチから完成した絵本のページへとイラストが形を変えていく様子や、物語の構成を練る真剣な表情が切り取られています。
インクや絵の具のにおいが漂う静かな空間で、何世代も語り継がれてきた物語が、子どもたちのための新しい本として生まれ変わっていく。そのプロセス自体が、文化継承の現場そのものだと言えるでしょう。
キツネの知恵と季節の儀礼が教えてくれること
ガワ・ダムドゥルの絵本には、賢いキツネが登場する昔話や、季節ごとの儀礼を描いた物語もあります。こうしたシンプルなストーリーは、子どもたちにとって分かりやすく、読み聞かせる大人にとっても、日常生活の中でどんな価値を大切にしたいかを考え直すきっかけになります。
- 困難に出会ったときにどう振る舞うかを学ぶ
- 自然や季節の変化に目を向ける
- 家族や地域のつながりを再確認する
こうした要素を物語として体験することで、何百年も語り継がれてきた知恵が、現代のXizangの子どもたちの日常と静かにつながっていきます。
次世代への贈り物としての絵本
ガワ・ダムドゥルの絵本は、子どもたちに人気のある読み物であると同時に、チベットの伝統や価値観を受け渡すための大切な道具として受け入れられています。家庭や教室でページを開くたびに、古い物語が現在の生活と結びつき、文化が生きた形で共有されています。
一冊の絵本が、過去と現在、そして未来の世代を静かにつなぐ。その様子を伝える現地からの報道は、物語の力と、文化を守り続ける人びとの創造性の大きさを感じさせます。
絵本が国境を越えて投げかける問い
ガワ・ダムドゥルの取り組みは、Xizangに暮らす人びとの文化を守るだけでなく、世界中の読者に、物語と文化の関係について問いを投げかけています。デジタル端末でいつでも動画やゲームに触れられる時代だからこそ、紙のページを開き、ゆっくり物語に浸る時間の価値が改めて見直されています。
日本でも、民話や昔話を絵本化した作品は数多くありますが、日々の忙しさの中で、家族や友人と物語を共有する時間はどれくらい確保できているでしょうか。ガワ・ダムドゥルの絵本づくりは、私たちに次のような問いを静かに投げかけているように見えます。
- 自分の地域や家族に伝えたい物語は何か
- それをどのような形で次の世代に渡すのか
- 物語を通じて、どんな価値観や視点を残したいのか
国際ニュースとして紹介された一人のアーティストの活動は、遠く離れた日本の読者にとっても、身近な文化や記憶の残し方を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








