中国新型ロケット長征10号が静的燃焼試験に成功 有人月面着陸へ前進
2020年代後半の有人月面着陸を目指す中国が、計画の鍵となる新型ロケットの試験で一歩前進しました。中国有人宇宙飛行工程弁公室(英語名略称CMSA)は、金曜日に行われた新世代大型ロケット「長征10号」の初の静的燃焼試験が成功したと発表しました。2030年までの有人月面着陸目標に向け、中国の有人月面探査計画は新たな段階に入っています。
金曜日に実施された静的燃焼試験とは
今回行われた静的燃焼試験は、ロケットを打ち上げずに地上でエンジンを実際に燃焼させ、推力や安全性を確認する重要な工程です。CMSAによると、試験は南部の海南省にある文昌航天発射場で金曜日の午後3時に始まりました。
- 対象となったのは、長征10号ロケット第1段の試験機
- 7基のエンジンを同時に点火し、標準的な条件と高負荷条件の両方で動作を確認
- 複数の予定された試験項目を無事完了し、必要なデータをすべて取得
- 推力は約1,000トン規模に達し、中国で実施された同種の試験としては過去最大規模
CMSAは、この静的燃焼試験が「完全な成功」であり、7基のエンジンが同時に安定して動作できることを示したと説明しています。大推力エンジンの同時運転を確認できたことは、有人月面着陸を支える運搬能力の裏付けとなります。
有人月面着陸を担う長征10号シリーズとは
長征10号シリーズは、中国の有人月面探査ミッションのために新たに開発されたロケットで、有人宇宙船や月着陸船を打ち上げる役割を担います。構成は大きく二つに分かれています。
- 長征10号:3段式ロケット+2本のブースター。直径5メートル、最大高さ92.5メートルで、有人宇宙船「夢舟(モンジョウ)」や月着陸船「攬月(ランユエ)」の打ち上げを担当。
- 長征10号A:再使用型の2段式ロケット。直径5メートル、最大高さ67メートル。第1段は回収・再使用が可能で、宇宙ステーションの運用・発展段階における夢舟や貨物船「天舟」の打ち上げに用いられる計画です。
開発を担当する中国運載火箭技術研究院(CALT)の長征10号シリーズ開発チーム総指揮者・徐洪平氏は、「長征10号と長征10号Aはいずれも、宇宙飛行士と貨物の輸送を担うことができる」と述べ、両機が有人宇宙輸送の主力として位置づけられていることを強調しました。
中国の有人月面探査計画はいまどこまで来たのか
CMSAは今回の発表の中で、中国の有人月面探査計画が「月面着陸段階」に入ったと説明しています。長征10号の静的燃焼試験の前にも、複数の重要な試験が行われてきました。
- 有人宇宙船「夢舟」の「ゼロ高度脱出飛行試験」の成功(打ち上げ直後の緊急脱出能力を検証)
- 有人月着陸船「攬月」による、月面での着陸・離陸を想定した総合試験の実施
これらに加え、海南省の文昌航天発射場では、有人月面探査のための新たな関連インフラの建設が進んでおり、CMSAによれば全体として順調に進行しているとされています。
CMSAは、長征10号シリーズのロケットと夢舟有人宇宙船を組み合わせて、地球と宇宙ステーション・月軌道との往復輸送システムをアップグレードしていく考えを示しました。中国は2030年までに宇宙飛行士を月面に送り込むことを目標としており、今回の試験はその実現に向けた技術的な土台を固める一歩となります。
なぜ今回のロケット試験が重要なのか
今回のニュースが注目される理由は、単に一つのロケット試験の成功にとどまりません。有人月面探査計画全体の中で見ると、いくつかの重要な意味があります。
- 大推力エンジンの実証:1,000トン級の推力試験に成功したことで、大量の物資と人員を月軌道まで運ぶための基礎能力が確認されました。
- 安全性と信頼性の向上:7基のエンジンを同時に制御する技術は難度が高く、静的燃焼試験でのデータ蓄積は、安全な有人飛行のために欠かせません。
- 再使用ロケットへの布石:長征10号Aでは第1段の再使用が想定されており、長期的には打ち上げコストの低減と打ち上げ頻度の向上が期待されています。
- 宇宙開発体制の拡充:文昌発射場での新インフラ整備は、今後の月面探査や宇宙ステーション運用を支える基盤強化でもあります。
今後の予定と、読者が注目したいポイント
徐洪平氏は、長征10号シリーズについて「今後の開発計画に沿って、技術検証のためのさらなる試験が予定されている」と述べました。具体的なスケジュールは公表されていませんが、今後数年にかけて、以下のような動きが焦点になりそうです。
- 長征10号および長征10号Aの追加の静的燃焼試験や、段階的な飛行試験
- 夢舟有人宇宙船と攬月月着陸船を用いた統合試験の進捗
- 文昌航天発射場の新たな発射施設・試験設備の完成時期
- 2030年までの有人月面着陸を見据えた、ミッション全体のタイムラインの公表
宇宙開発は長期にわたる国家プロジェクトであり、一つひとつの試験がその先のミッションの成否を左右します。今回の長征10号の静的燃焼試験成功は、中国の有人月面探査計画が「構想」から「実現に向けた具体的な検証段階」に移りつつあることを示す出来事だといえます。
国際社会全体で月や深宇宙への関心が高まる中、この動きが今後の宇宙開発の協力やルール作り、科学研究にどのような影響を与えるのかも、これから注目されるポイントです。
Reference(s):
China closer to manned moon landing goal after successful rocket test
cgtn.com








