成都ワールドゲームズを支えた「無名のヒーロー」ボランティアの素顔 video poster
国際ニュースではメダルや記録に注目が集まりがちですが、今年、成都で開催されたワールドゲームズの裏側には、静かに大会を支えた「無名のヒーロー」たちがいました。会場の隅々まで行き届いたボランティアの献身があったからこそ、この国際スポーツイベントはスムーズに進行し、世界と成都がより近い存在として結びつきました。
世界と成都をつなぐボランティアという橋
ワールドゲームズの期間中、競技会場や練習場だけでなく、空港や駅、市内の主要エリアのいたるところで、ボランティアの姿が見られました。彼らは単に運営を手伝うスタッフではなく、世界から訪れた選手団や観客と成都をつなぐ「橋」のような存在でした。
道に迷った外国人観客に英語や身ぶり手ぶりで道案内をしたり、会場での手続きに戸惑う選手をサポートしたり、時には不安そうな表情に声をかけて緊張を和らげたり。そうした一つ一つの対応が、成都の「友好」と「おもてなし」の印象をつくっていきます。
ボランティアの一日:見えない仕事の積み重ね
ボランティアの一日は、観客が会場に到着するよりも前から始まります。朝早く集合し、その日の競技スケジュールや注意点を共有。担当エリアごとに役割を確認し、開場と同時にそれぞれの持ち場へ向かいます。
- 会場入口での案内・セキュリティチェックの補助
- スタンドでの座席案内や観客からの問い合わせ対応
- 選手村へのシャトルバスの誘導や時刻確認
- メディア対応エリアでの動線整理や通訳のサポート
閉会時間が近づくと、忘れ物の確認やごみの分別、案内表示の片づけなど、目立たない後片づけの仕事が待っています。日が暮れる頃にようやく任務を終えることも多く、「一日中立ちっぱなし」というボランティアも珍しくありません。それでも多くのボランティアが「疲れよりも、やりがいの方が大きい」と語ります。
CGTNの取材が映し出した「日常」のドラマ
中国の国際メディアCGTNの王涛(Wang Tao)記者も、このワールドゲームズで活躍するボランティアの日常に密着し、彼らの姿を伝えました。カメラが追ったのは、特別なヒーローではなく、ごく普通の学生や社会人たちです。
授業や仕事の合間を縫ってシフトに入る学生、外国語は完璧でなくても笑顔と丁寧な態度でコミュニケーションをとろうとする若者、慣れない機器操作を何度も練習して競技運営を支える人。派手な演出とは無縁の、淡々とした「日常」の積み重ねの中に、小さなドラマがいくつもありました。
文化の壁を越える「おもてなし」の工夫
国際スポーツイベントでは、言葉や文化の違いが思わぬトラブルを生むこともあります。ワールドゲームズのボランティアたちは、その「壁」を少しでも低くするための工夫を重ねていました。
- 簡単な英語や中国語のフレーズ集を自作して持ち歩く
- スマートフォンの翻訳アプリを活用しながら丁寧に説明する
- ジェスチャーやピクトグラム(図記号)を組み合わせて案内する
- 宗教や食文化の違いに配慮した案内や情報提供を心がける
例えば、会場近くで食事場所を探していた外国人観客に対し、ボランティアがハラール対応の店やベジタリアン向けメニューのある店を地図アプリで探し、一緒にルートを確認しながら案内したことも紹介されています。こうした小さな気配りが、訪れた人の記憶に強く残っていきます。
成都を世界に伝える「街の顔」として
国際ニュースとしてのワールドゲームズを、日本語で追いかけていると、どうしても競技結果や政治・経済への影響に目が行きがちです。しかし、実際に外国から来た人にとっては、ボランティアとの何気ない会話や、街角でのちょっとした助けこそが、「成都とはどんな街か」という印象を左右します。
ボランティアにとっても、この経験は貴重です。海外からの来訪者と触れ合うことで、ニュースやSNSで見ていた「世界」が、具体的な「人」として目の前に現れます。国際スポーツイベントをきっかけに、自分の将来やキャリア、あるいは地域と世界の関わり方について考え始める若者も少なくありません。
見えない支えに目を向けるということ
大型の国際イベントだけでなく、私たちの日常生活も、多くの「見えない支え」によって成り立っています。公共交通機関を支えるスタッフ、災害時に備える人たち、地域イベントを運営する市民ボランティア。彼らが注目されることは多くありませんが、その存在が社会を静かに支えています。
成都のワールドゲームズで活躍したボランティアの姿は、私たちにそんな「見えない支え」に目を向けるきっかけを与えてくれます。スポーツの国際ニュースを日本語で追いかけるとき、次に画面を見るときには、選手だけでなく、その背後で走り回るボランティアの姿も、少し思い浮かべてみてもよいかもしれません。
華やかなスポットライトのすぐそばで、静かに、しかし確かに世界をつなぐ人たち。その物語は、私たち一人ひとりの足元にある「小さな貢献」の価値をあらためて考えさせてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








