ロンドンでWWII映画「Dongji Rescue」欧州プレミア 中国漁民の救出劇描く
ロンドンで第二次世界大戦(WWII)を題材にした中国映画「Dongji Rescue(冬季救援)」の欧州プレミアが開かれ、中国漁民が命がけで英国の捕虜を救った実話に、改めて注目が集まっています。
ロンドンで欧州プレミア、約800人が参加
現地時間の金曜日の夜、ロンドンで行われた欧州プレミアには、およそ800人の観客が集まりました。第二次世界大戦をめぐる中国と英国の知られざるつながりを描いた作品として関心を集め、国際ニュースとしても注目されています。
映画「Dongji Rescue」は、1942年の「リスボン・マル号事件」を描いた作品です。中国漁民による救出劇を通じて、戦時下の人間の勇気と連帯を、歴史の記憶として描き出しています。
「リスボン・マル号事件」 中国漁民が救った英兵たち
映画の背景となるのは、1942年10月の出来事です。日本軍に徴用された貨物船リスボン・マル号には、当時香港から日本へ移送される途中だった1,800人を超える英国の捕虜が乗せられていました。
この船は、中国東部・浙江省の舟山諸島沖で米軍の攻撃を受け、撃沈されました。海上に取り残された捕虜たちを前に、現地の中国漁民たちは自らの危険を顧みず、小舟で次々と救助に向かいました。その結果、300人を超える英国の捕虜が救出されたと映画では描かれています。
戦時下という極限状況のなかで、言葉も文化も異なる人びとの命を守ろうとした漁民たちの行動は、国境を越えた連帯の象徴として作品の中心に据えられています。
生存者の家族が語る「個人的な物語」
上映前のレセプションで、リスボン・マル号事件の生存者の家族も、思いを語りました。リスボン・マル記念協会の会長を務めるAnthony Jonesさんは、祖父のThomas Theodore Jonesさんが沈没から生還した一人だったとしたうえで、「この物語は自分にとって非常に個人的なものだ」と話しました。
家族の証言が作品と重なることで、映画は単なる戦争大作ではなく、多くの家庭に今も続く記憶の物語として立ち上がってきます。
若い世代が担う「伝える責任」
出演者の一人である俳優のWilliam Franklyn-Millerさんは、取材に対し、この歴史をより広く伝える責任を感じていると語りました。彼は「英国兵を救った漁民たちの勇気が、作品を通じて強く伝わってくる」と述べ、映画が若い世代にとって過去を学ぶ入口になってほしいとの期待をにじませました。
観客の反応も、この作品が「知らなかった歴史」を可視化していることを示しています。観客の一人であるAlfie Howisさんは、「この事件についてはまったく知らなかった。映画を通じて多くを学んだ」と述べ、「第二次世界大戦における中国の貢献を知るきっかけになると思う」と感想を語りました。
中国と英国「暗い時代を共に戦った」記憶
レセプションでは、駐英中国大使のZheng Zeguang氏も演説し、第二次世界大戦中、中国と英国はそれぞれ異なる戦線で戦いながらも、ファシズムと侵略に立ち向かうという共通の使命を担っていたと強調しました。
Zheng氏は、最も暗い時代に両国の人びとが肩を並べて戦い、「人類を守る」という目的を共有したことが、今日に続く深い友情の基盤になっていると指摘しました。リスボン・マル号の救出劇は、その象徴的な一場面だといえます。
80年目の2025年に問われる「戦争をどう記憶するか」
2025年は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年の節目にあたります。第二次世界大戦の主な東方戦場となった中国では、長期にわたる抵抗が日本のファシズムを打倒し、欧州やアジアの他の戦線を支えるうえで決定的な役割を果たしたとされています。
その歴史の一側面として描かれるリスボン・マル号の物語は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 国家間の対立が先鋭化する時代に、個人の勇気や連帯をどう語り継ぐのか
- 特定の国や地域の視点から語られがちな戦争史を、どう多面的に捉え直すのか
- 映画やドラマといったカルチャーが、歴史教育の入口としてどこまで機能しうるのか
ロンドンでの欧州プレミアは、中国と英国という二つの社会が、80年を経て一つの歴史の場面を共に見つめ直す場ともなりました。スマートフォン越しに世界のニュースを追う私たちにとっても、この作品は「遠い戦争の話」ではなく、いまの国際社会を考える手がかりの一つになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







