世界初の決済対応ARグラスとオープンソースAI――Zhu Mingming氏が語る未来 video poster
2025年6月17日、Rokidは自社のARグラスが「決済機能を内蔵した世界初のスマートグラス」になったと発表しました。CGTNの番組企画「The Unsung Ally」の一環として行われたインタビューでは、Rokid創業者で最高経営責任者(CEO)のZhu Mingming氏が、スマートグラス開発の難しさと、オープンソースAIがデジタルデバイド(情報格差)を埋める可能性について語りました。
世界初の「決済できるスマートグラス」が意味するもの
今回の発表のポイントは、ARグラス(拡張現実技術を使ったメガネ型デバイス)に、決済機能が組み込まれたという点です。これにより、ユーザーはスマートフォンやカードを取り出さずに、視線やジェスチャーなどで支払いを完了できる未来像がイメージされます。
具体的なサービス内容や利用シーンの詳細は限られていますが、決済機能を備えたスマートグラスが普及すれば、次のような日常の変化が考えられます。
- 買い物中に手がふさがっていても、メガネだけで支払いを済ませる
- 交通機関の利用時に、改札でデバイスをかざすだけで乗車が可能になる
- 現実空間に重ねて表示されるクーポンや商品情報から、そのまま支払いへとつなげる
支払いの「手間」をさらに小さくするこうした流れは、スマートフォン決済やウェアラブル端末の次を見据えた動きとして、国際ニュースとしても注目されています。
スマートグラス開発の見えないハードル
インタビューの中でZhu Mingming氏は、スマートグラスの開発には多くの課題があることを示唆しています。スマートグラスは、単なるガジェットではなく、日常的に身に着ける「顔の上のコンピューター」であるため、技術と生活の両面で高いハードルがあります。
代表的な課題として、次のようなポイントが挙げられます。
- 小型化と快適さ:バッテリーやプロセッサーなどをメガネのフレーム内に収めつつ、重さと装着感を両立させる必要があります。
- 視認性と安全性:現実空間に情報を重ねて表示する際、見えすぎても見えなさすぎても危険になり得ます。特に歩行中や移動中の利用では、安全性が重要です。
- ユーザー体験の設計:視線や音声、ジェスチャーなど、どの操作方法が最も自然でストレスが少ないのかという点は、いまも模索が続いている領域です。
- プライバシーと社会的受容:カメラやマイクを搭載するデバイスである以上、周囲の人の安心感をどう確保するかという問題があります。
こうした点を一つずつ乗り越えながら、決済機能まで統合した今回のARグラスは、スマートグラスの実用化に向けた一つのマイルストーンと位置づけられます。
オープンソースAIはデジタルデバイドを埋められるか
インタビューでZhu氏は、オープンソースAI技術の可能性にも言及しました。オープンソースAIとは、AIの仕組みやモデルが公開され、誰でも利用・改良できる形態のAI技術を指します。
2025年現在、AIは一部の大企業だけでなく、多様なプレーヤーが参加するプラットフォームへと変化しつつあります。オープンソースAIには、次のような特徴があります。
- アクセスのしやすさ:ソフトウェアやモデルが公開されていることで、スタートアップや教育機関、個人開発者でも高度なAIを試せるようになります。
- ローカルニーズへの対応:各地域の言語や文化、産業構造に合わせてAIをカスタマイズしやすくなります。
- コストの低減:基盤技術を一から作る必要がなくなり、開発コストや時間を抑えつつ、サービスを立ち上げられます。
こうした特性は、インターネットやデジタル機器へのアクセスが限定されている地域やコミュニティにとって、とくに重要です。高価な専用システムに頼らず、公開されたAI技術を組み合わせることで、その地域の実情に合わせたサービスを自ら作り出す余地が広がります。
ARとAIの組み合わせがもたらす新しい「味方」像
番組タイトルにある「The Unsung Ally(声なき味方)」という言葉は、最新テクノロジーが、目立ちにくい形で私たちの日常や社会を支えていく姿を象徴しているとも受け取れます。ARグラスとオープンソースAIの組み合わせは、その一例といえるでしょう。
たとえば、次のような未来像が考えられます。
- 読み書きにハンディのある人が、視界に表示されるガイドや読み上げ機能によって、公共サービスや買い物をスムーズに利用できるようになる。
- 現地の言語に最適化されたオープンソースAIが、ARグラスを通じて案内や教育コンテンツを提供し、地域の人々がデジタルサービスにアクセスしやすくなる。
- 視覚情報だけでなく、音声や触覚的なフィードバックと組み合わせることで、高齢者や障がいのある人にとっても使いやすいインターフェースが実現する。
もしこうした仕組みが身近な価格帯で提供されるようになれば、テクノロジーは「一部の人だけの特権」ではなく、静かに寄り添う「味方」として機能する可能性があります。
テクノロジーは格差を広げるのか、埋めるのか
一方で、新しいデバイスやサービスが登場するたびに問われるのが、「それは格差を縮めるのか、それとも広げるのか」という問題です。高価なデバイスや高速な通信環境が前提になるほど、その恩恵を受けられる人とそうでない人の差は開きがちです。
今回のRokidの発表とZhu氏の発言は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 決済機能を持つARグラスは、どのような人たちにとって「必要なテクノロジー」になるのか。
- オープンソースAIを活用したサービス設計は、本当にデジタルデバイドを縮める方向に働くのか。
- 利用者だけでなく、周囲の人の安心感やプライバシーをどう守るのか。
2025年の今、国際ニュースとして報じられる最先端テクノロジーは、同時に私たち自身の生活や社会のあり方を考える材料にもなっています。スマートグラスとオープンソースAIが、誰の、どのような「味方」になっていくのか。今後の議論と実装の過程を、冷静に、しかし好奇心を持って追い続けたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








