重慶爆撃を記録したドキュメンタリー『Kukan』復元 85年前の映像がよみがえる video poster
第二次世界大戦中の日本軍による重慶爆撃を記録した米国のドキュメンタリー映画『Kukan』が復元され、2025年6月にロサンゼルスでプレミア上映されました。85年前に撮影された戦時下の中国の姿が、いま改めて世界の前に開かれています。
重慶爆撃を命がけで記録した映像
1940年8月19日から20日にかけて、日本軍は中国・重慶の市街地に対して壊滅的な爆撃を行いました。この空襲の一部始終を、米国人記者レイ・スコット氏が命をかけてカメラに収めました。
その映像は、戦火の中で逃げ惑う人々や、爆撃によって破壊された都市空間など、当時の重慶が直面していた現実を生々しく伝えるものとされています。
しかし、撮影から長い年月が経つ中で、このフィルムは行方不明となり、歴史の闇に埋もれた作品と見なされてきました。やがて、長年にわたる探索と丹念な復元作業を経て、この映像は再びスクリーンに戻ってきました。現在、私たちは復元版を通じて、重慶爆撃の歴史を映像として目にすることができます。
ドキュメンタリー『Kukan』が映すもの
重慶爆撃の映像は、レイ・スコット氏が撮影したドキュメンタリー映画『Kukan』の一部です。この作品は、中国系米国人の劇作家リー・リンアイ氏の資金提供を受け、重慶や貴州、甘粛など、中国各地で撮影されました。
タイトルのKukanは、中国語で「苦しい戦い」や「懸命な努力」といった意味合いを持つ言葉に由来するとされ、第二次世界大戦期に日本軍の侵攻に抵抗する中国の人々の姿を映し出しています。
作品は1941年6月23日にニューヨークで公開され、第14回アカデミー賞では名誉賞を受賞しました。当時としても珍しい、アジアの戦場を正面から取り上げた米国製ドキュメンタリーだったことがうかがえます。
「失われた映画」から、再発見と復元へ
第二次世界大戦後、『Kukan』は長らく所在が分からない「失われた映画」と考えられてきました。しかし、中国と米国の研究者や映画関係者が協力し、作品の所在を追跡。共同の取り組みによって、フィルムは最終的に再発見され、復元作業が進められました。
こうして、戦時中の中国を記録した貴重な映像遺産は、国境を越えた協力を通じて、現代に甦ることになりました。
2025年、ロサンゼルスで復元版がプレミア上映
復元された『Kukan』は、2025年6月24日に米国ロサンゼルスのアカデミー映画博物館でプレミア上映されました。今年、重慶爆撃からおよそ85年を経て、作品はあらためて観客の前に姿を現したことになります。
映画館のスクリーンを通じて、観客は当時の重慶の街並みや、人々の表情、戦禍の中でも日常を続けようとする姿に触れることができます。テキストや写真だけでは伝わりにくい時間の質感や空気感が、映像だからこそ立ち上がってくると言えるでしょう。
戦争の記憶を映像で受け継ぐということ
重慶爆撃を記録した『Kukan』の復元は、歴史をどのように記憶し、次の世代に伝えていくのかという問いを、私たちに静かに投げかけます。
- 戦時下のアジアを、当事国だけでなく第三者のカメラがどう捉えたのか
- 国境を越えた研究者・映画人の協力が、どのように歴史資料を守りうるのか
- 映像資料を通じて、若い世代が過去の戦争をどのようにイメージし直せるのか
こうした視点は、国際ニュースを日々追いかける私たちにとって、歴史をただの昔話としてではなく、現在につながる問題として捉え直すきっかけになります。
85年前のカメラが捉えた重慶の空と人々の姿は、2025年の今を生きる私たちに、戦争と平和、そして記録することの意味について、改めて考える余白を与えてくれます。
Reference(s):
Restored documentary reveals Japanese bombing of Chongqing in WWII
cgtn.com







