上海ブックフェア2025、来場者28%増 Wuzhen共催で読書祭りが進化
2025年8月に開催された上海ブックフェアは、会場規模も売上も前年から大きく伸びました。浙江省の水郷・Wuzhen(ウージェン)が初めて共催に加わり、長江デルタ全体を巻き込む「読書のカーニバル」へと進化しています。
来場者38万人超、売上は書籍もグッズも好調
2025年の上海ブックフェアは、8月13日から19日までの7日間、上海展覧センターと上海書城の二つのメイン会場で開催されました。市内ではさらに16の区サブ会場と100の参加書店が連動し、街ぐるみの大型イベントとなりました。
期間中の来場者は38万2,000人以上とされ、前年から28.4%の増加となりました。書籍の売上は6,473万元(約8.9百万ドル)に達し、文化・クリエイティブ関連商品の売上も1,017万元(約1.4百万ドル)と、前年の倍に伸びています。読書とあわせてグッズや文具を楽しむスタイルが、都市の文化消費として定着しつつあることがうかがえます。
二つのメイン会場と市内全域で「街ぐるみフェア」に
今回の上海ブックフェアの特徴は、メイン会場だけで完結しない「分散型」の設計にあります。上海展覧センターと上海書城という二つの中心会場に加え、各区のサブ会場や100の参加書店がネットワークのようにつながることで、読者は自分の生活圏の近くでイベントに触れることができました。
スマートフォンで情報をチェックしながら、通勤帰りに最寄りの書店イベントに立ち寄る――そんな日常の延長線上で、読書体験を広げられる仕組みは、デジタルネイティブ世代のライフスタイルとも相性が良いと言えます。
Wuzhenが初共催 町全体が「流れる図書館」に
今年の大きな変化が、浙江省の古い水郷・Wuzhenが初めて共催地となったことです。上海に近い地理的な強みを生かし、歴史ある街並みと演劇文化に「本」を組み合わせて、読書祭を一体型の文化カーニバルへと変えました。
Wuzhenには現在、茶館やホテル、バー、食事処など、70を超える読書スペースが整備されています。町のあちこちで本を手に取れるこの風景を、ダブリンのジェイムズ・ジョイス・センターのディレクターであるダリナ・ギャラガー氏は「町全体が一つの大きな流れる図書館のようだ」と表現しました。
ギャラガー氏は、読者を主役に据えた運営姿勢に強い印象を受けたと語り、アイルランドの文学祭にも、この経験から得たアイデアを持ち帰りたいとしています。こうした場を通じた国際的な文化交流は、参加者にとっても主催者にとっても刺激となり、新たな読書のかたちを育てていくきっかけになりそうです。
長江デルタ全体に広がる読書ネットワーク
上海ブックフェアの影響は、すでに上海市内にとどまりません。今回のフェアには、上海を中心に、江蘇省・浙江省・安徽省から30を超える書店や販売業者が参加し、数万点におよぶ書籍や文化関連商品を提供しました。
長江デルタの複数の都市や地域が、本と文化を軸にゆるやかにつながっていくことで、同じ作品や作家をめぐって会話を交わす人が増えていきます。オンラインで国際ニュースや文化情報を追う読者にとっても、都市間の連携を通じて読書文化がどのように広がっていくのかを考える興味深い事例と言えるでしょう。
日本の読書イベントへのヒント
都市全体、さらには周辺地域を巻き込んだ上海ブックフェアの取り組みは、日本のブックフェスや文学イベントにとっても参考になりそうです。
- 複数会場と街の書店を連携させる「分散型フェア」
- 歴史的な街並みや劇場など、既存の文化資源と読書の組み合わせ
- 国際的な文学関係者を招き、読者との対話を重視する企画
こうした要素は、読書離れが語られがちな時代においても、本をきっかけに人と人、都市と都市をつなぐ仕組みとして機能しうるものです。2025年の上海ブックフェアは、長江デルタの読書文化が新しい段階に入りつつあることを示す象徴的な出来事だと言えるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








