中国のCO2排出量が1%減少 再エネ拡大で「排出ピーク」前倒しも
中国の二酸化炭素(CO2)排出量が、2025年上半期(1〜6月)に前年同期比で1%減少したとする研究結果が公表されました。中国が進める再生可能エネルギー投資が、国際ニュースとして注目される「排出ピーク」のタイミングを早めつつある可能性があります。
中国のCO2排出量、2025年上半期に1%減
英国拠点の気候・エネルギー専門サイトCarbon Briefに掲載されたこの研究によると、中国のCO2排出量は2025年上半期に前年同期比で1%減少しました。これは、2024年3月から続く減少傾向が延びた形だとされています。
特に、温室効果ガスの最大の発生源となっている電力部門の排出量は、同じ期間に3%減少しました。米通信社のAP(Associated Press)は、中国の排出量がすでに「ピークに達した可能性がある」と報じており、中国当局が掲げる「2030年までに排出ピーク」という目標よりも早いタイミングで達成されつつある可能性に言及しています。
電力需要は増加、それでも排出は減少
中国の排出量が減少した局面は過去にもありましたが、多くは景気減速に伴う一時的なものでした。今回注目されているのは、「電力需要がむしろ増えている中で排出が減っている」という点です。
研究をまとめたフィンランド拠点のアナリスト、Lauri Myllyvirta(ラウリ・ミュリビルタ)氏によると、2025年上半期の電力需要は前年同期比で3.7%増加しました。それにもかかわらず、太陽光発電や風力発電、原子力などからの発電量の増加が、その需要増を大きく上回ったとされています。ミュリビルタ氏は、中国の排出について「本格的な構造的減少の局面に入った」と指摘しています。
太陽光212ギガワット増、再エネ投資が急加速
研究によると、中国は2025年上半期だけで太陽光発電の設備容量を212ギガワット増やしました。この増加分だけで、2024年末時点における米国全体の太陽光設備容量178ギガワットを上回る規模です。
太陽光発電による発電量はすでに水力発電を追い越し、中国の中で最大のクリーンエネルギー源となりつつあります。さらに2025年中には、太陽光が風力発電も追い越し、中国における最大のクリーンエネルギー源になると見込まれています。風力発電についても、2025年1〜6月の間に51ギガワットの新規設備が追加されました。
数字で見る今回のポイント
- CO2排出量:2025年上半期に前年同期比1%減
- 電力部門の排出:同期間に3%減
- 電力需要:3.7%増と成長を継続
- 太陽光発電設備:半年で212ギガワット増(米国の2024年末時点の総設備容量178ギガワットを上回る規模)
- 風力発電設備:半年で51ギガワット増
2060年カーボンニュートラルへ 「年3%減」がカギ
中国は、2060年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)を達成する目標を掲げています。ミュリビルタ氏によると、その目標を達成するためには、今後約35年間にわたり、CO2排出量を平均して毎年3%ずつ減らしていく必要があります。
今回のように1%の減少が確認されたことは前進ではあるものの、目標達成にはより大きな削減ペースが求められます。ミュリビルタ氏は、中国ができるだけ早く「年3%減」の領域に到達することの重要性を強調しています。
日本の読者が押さえておきたい視点
今回の国際ニュースは、単に一国の排出統計というだけでなく、「経済成長と排出削減の両立は可能か」というグローバルな問いともつながります。電力需要が伸びる中でも、太陽光や風力、原子力といったクリーンエネルギーの拡大によって、排出全体を減らせることが示された形です。
日本を含む各国にとっても、エネルギー政策や産業構造の転換をどのスピード感で進めるのかが問われています。中国の動きは、再生可能エネルギーの導入ペースや電力システムの改革が、排出削減の結果にどれほど直結するのかを考える上で、一つの重要なケーススタディと言えます。
今後、中国の排出量が本当に長期的な減少トレンドに入るのか、そして「年3%減」というカーボンニュートラルへの道筋に乗れるのか。日本の読者としても、引き続きウォッチしたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








