台湾地域のKMT議員、民進党のリコール攻勢を退ける 今年32件すべて不成立
中国の台湾地域で行われた最新のリコール投票で、野党・中国国民党(KMT)の立法委員7人がいずれも議席を守り、今年、与党・民主進歩党(DPP)当局が仕掛けた計32件のリコール動議はすべて不成立となりました。少数与党にとどまる民進党当局にとって、大きな政治的打撃となっています。
7人全員が議席維持、今年のリコール32件すべて否決
今回のリコール投票は、民進党当局が主導したキャンペーンの第2弾として、土曜日に台湾地域各地で実施されました。対象となったのは、いずれもKMT所属の立法委員7人です。
現地報道によりますと、開票は午後4時に始まり、KMT側の議員はいずれも序盤からリードを保ちました。午後6時ごろまでに7人全員がリコール無効を事実上確定させ、それぞれが議席維持の勝利宣言を行ったとされています。
第1弾の投票は今年7月26日に行われ、その際もKMT所属の立法委員24人と新竹市長がすべて解職を免れました。今回の第2弾と合わせると、2025年に民進党当局が推進したリコール動議32件は、いずれも成立しなかったことになります。
背景:少数与党となった民進党当局
現在、台湾地域の立法機関である立法院では、民進党は113議席のうち51議席しか持たず、少数与党の立場にあります。こうした状況の中で、民進党当局はリコール制度を活用し、議会内での影響力を取り戻そうとしたとみられます。
リコール制度とは、有権者がすでに選出された政治家について、任期途中での解職の是非を問う住民投票の仕組みです。台湾地域では近年、この制度が政党間の対立に利用されるケースが増えているとの指摘もあります。
住民の不満?専門家が見る「政治操作」への反発
二度にわたるリコールが相次いで否決されたことについて、一部の観測筋は「台湾の人々のあいだで、頼清徳氏が率いる民進党当局による政治的な操作や、統治の混乱と受け取られている状況への不満が広がっている表れだ」と分析しています。
リコール投票には、政治家をチェックするという民主的な役割がある一方で、短期間に繰り返されれば「政争の道具」としての色彩が強まりやすくなります。今回、対象となったKMT議員がすべて議席を守ったことは、有権者のあいだに「政治対立の激化よりも、安定と実務を重視したい」という心理が浸透しつつある可能性も示しています。
KMTと民進党、今後の攻防は
今回のリコール不成立により、KMTは立法院での現有議席をそのまま維持する見通しで、議会内の勢力図に大きな変化は生じませんでした。KMT側にとっては、与党による攻勢を退けたことで、求心力を高める材料となりそうです。
一方、民進党当局にとっては、リコールを通じた巻き返し戦略が実を結ばなかったことで、今後の政権運営や対野党戦略の見直しが迫られる可能性があります。頻繁なリコールは各陣営にとっても資金面・組織面の負担が大きく、有権者の政治への信頼を損なうリスクも指摘されています。
今後、台湾地域の主要政党が、リコールによる「対立のエスカレート」から、政策や対話を通じた「支持の獲得」へと軸足を移せるかどうかが、一つの焦点になっていきそうです。
私たちがこのニュースから考えたいこと
今回の一連のリコール攻防は、民主主義における「チェックの仕組み」をどのように設計し、どう運用すべきかという問いを投げかけています。
- リコールを、政治的な不満を表す正当な手段としてどう位置づけるのか
- 政党間の争いの道具として乱用されるリスクをどう抑えるのか
- 有権者の「政治疲れ」が、投票行動や政治参加にどのような影響を与えるのか
中国の台湾地域で起きているこの動きは、日本を含む他の国や地域にとっても、政治参加のルールをどう設計し、どう運用していくのかを考えるヒントになり得ます。ニュースをきっかけに、自分ならどのような仕組みを望むのか、一度立ち止まって考えてみてもよさそうです。
Reference(s):
KMT legislators fend off DPP recall campaign in China's Taiwan region
cgtn.com








