SCO映画・テレビ週間が青島で開幕 光と影がつなぐ国際文化交流
上海協力機構(SCO)の映画・テレビ週間が、中国の沿海都市・青島で開幕しました。国際ニュースとしても注目されるこのイベントは、映画とドラマを通じてSCO各国の文化交流と協力を深める試みです。
青島で始まった「光と影」の国際イベント
今回のSCO映画・テレビ週間のテーマは、英語で「In Qingdao, the world meets through light and shadow(光と影を通じて世界が青島で出会う)」と掲げられています。会場となる青島は、海沿いのロケーションと撮影インフラが整った「映画の街」として、近年存在感を高めています。
イベントは、中国メディアグループ(China Media Group=CMG)と青島市人民政府が共催し、中国電影局が支援しています。SCO加盟国の映画監督やプロデューサー、CMG幹部、各国の外交・文化関係者、俳優や新メディアクリエイター、一般観客まで、多彩な参加者が青島に集まりました。
目的は大きく三つあります。
- SCO各国の映画・ドラマ作品を紹介し合うこと
- 共同制作や人材交流のきっかけをつくること
- 市民や視聴者が、映像を通じて異文化に触れる場を広げること
開幕式:ライブパフォーマンスと新作のお披露目
開幕式では、ライブパフォーマンスや上映作品ラインナップの発表、オープニング作品と特集作品の紹介に加え、世界向けメディアプロモーションキャンペーンのスタート、そして青島の映画産業資源のプレゼンテーションなど、多数の企画が一気に披露されました。
ビデオメッセージで登場した上海協力機構のヌルラン・エルメクバエフ事務総長は、SCOにとって文化交流が持つ重要性を強調しました。事務総長は、映画・テレビ週間が「感性を刺激する映像の祝祭であると同時に、加盟国同士の友情を深める貴重な場になる」と述べ、参加ゲストが有意義な対話と記憶を持ち帰ることに期待を示しました。
中国メディアグループ編集委員会メンバーの周振宏氏は、SCO地域の豊かな文化的背景が、数多くの映像作品を生み出してきたことに触れました。そのうえで、CMGは「映画とテレビを架け橋に、文化を絆にする」姿勢を掲げ、「上海精神」と呼ばれる協調の理念を大切にしながら、人々の距離を縮め、理解を深めていきたいと語りました。周氏はまた、「心を温める物語を世界と分かち合うことで、人類が共に未来を築くコミュニティづくりに貢献したい」と述べています。
オープニング作品「Red Silk」と越境ドキュメンタリー「Homeland」
開幕式では、オープニング作品となる映画「Red Silk」の制作チームが、企画から撮影に至るまでの舞台裏を紹介しました。ステンリー・トン監督をはじめとする中国の映画人、カザフスタンの女優アデマ・エルジャノワら6人の監督・俳優が登壇し、SCOが掲げる「多様性の中の調和」という理念について語りました。
議論のキーワードは「対話」「抱擁」「信念」の三つです。登壇者たちは、異なる文化や歴史を持つ人々が、映画という共通言語を通じて対話し、お互いを受け入れ、未来への信念を共有していくプロセスを、作品の中でどう表現しているかを具体的に解説しました。
さらに、中国と中央アジア5か国が共同制作したドキュメンタリー「Homeland」もお披露目されました。この作品は、長い時間をかけて育まれてきた地域の歴史的・文化的つながりを辿りながら、現代に受け継がれる絆を静かに映し出す内容だとされています。
ユネスコ「映画の都市」青島の強み
青島はユネスコが認定する「City of Film(映画の都市)」として、世界の映像制作の舞台に名乗りを上げています。開幕式では、中国初の原子力潜水艦をテーマにした映画「Operation Hadal: Special Edition」の制作チームが登壇し、作品の技術面と演出面でのチャレンジを紹介しました。
この作品は、青島東方影都(Qingdao Oriental Movie Metropolis)に建設された大規模なセットで撮影されており、ハイレベルな撮影設備とスタジオ環境が「青島印」として中国映画の成長を支えていると説明されました。
青島東方影都の孫恒勤総裁は、SCO各国の映画人に向けて「青島を、創造性と機会が出会い、映画の夢が形になる場所にしたい」と呼びかけ、今後の共同制作やロケ誘致への期待を語りました。
新メディアとの連携:「Light and Shadow Qingdao」
今回の映画・テレビ週間では、SNSや短尺動画といった新メディアを活用した企画も目立ちます。ロシア、ネパール、イラン、ヨルダン、トルコ、ベラルーシ、ジンバブエ、インド出身の9人の新メディアクリエイターが、グローバルキャンペーン「Light and Shadow Qingdao」をスタートしました。
彼らは短い動画コンテンツを通じて、青島の撮影スポットや街の雰囲気、映画・テレビ週間の舞台裏などを紹介し、世界の視聴者に青島の映像都市としての魅力を伝えていく予定です。SNSアクティブ層にとっては、現地の空気をリアルタイムで感じられる窓口となりそうです。
オンラインとオフラインをまたぐ「体験型」映画週間
今年のSCO映画・テレビ週間の特徴は、オンラインとオフラインを組み合わせた「体験型」の構成にあります。中国の動画アプリ「CCTV Video」では、24本のドキュメンタリーと8本の高品質ドラマが配信され、青島市内の3か所のワンダ・シネマでは、中国作品と海外作品を含む29本の映画が上映されています。
さらに、屋外上映会や文化観光イベントも行われており、「映画+観光+消費」の一体型モデルで、街全体を巻き込んだフェスティバルとして展開されています。
主な企画として、次のようなイベントが用意されています。
- SCOフィルム・アポイントメント:ステンリー・トン監督が、青島東方影都の撮影現場を案内し、映画制作の裏側を紹介
- ライト&シャドウ・サロン:中国の映画監督・顧長衛氏らが参加し、グローバルな映画産業の高品質な発展について語るライブ配信企画
- ファイアサイド・トーク:イランのプロデューサー、マフムード・ババエイ氏などが登壇し、各国の制作現場のリアルな声を共有
外交の場としての映画週間
開幕式には、モルディブの駐中国大使ファゼール・ナジーブ氏、カザフスタン文化情報省映画部のガニ・ムラトフ氏、ロシア大使館の文化担当官オレグ・ブリザト氏らも出席しました。映画・ドラマの祭典であると同時に、文化外交のプラットフォームとしても機能していることがうかがえます。
国同士の関係や価値観が揺れ動く時代において、映像作品は「一方的に語る」ではなく、「互いの物語を持ち寄る」メディアとしての役割を強めています。SCO映画・テレビ週間は、そうした流れを象徴する試みといえるでしょう。
日本の読者にとっての意味
日本でも国際ニュースとして中国や中央アジア、ロシアなどSCO関連の動きに関心が高まる中、今回の映画・テレビ週間は、政治や安全保障だけでは見えにくい「日常の文化」を知る手がかりになります。
どの国の作品が、どんな歴史や暮らし、価値観を背景に生まれているのか。短い動画から長編映画まで、多様なフォーマットで語られる物語は、私たちの固定観念を静かに揺さぶります。通勤時間やスキマ時間に、こうした国際ニュースや映像文化の話題をチェックすることで、世界との距離感を少し更新してみる――SCO映画・テレビ週間は、そのきっかけとなるイベントと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








