北京で2025年SCO人的交流フォーラム開催 メディアと若者がつなぐ地域協力
上海協力機構(SCO)の人的・文化交流をテーマにした2025年SCO人的交流フォーラム(2025 SCO Forum on People-to-People Exchange)が、2025年12月8日、北京で開催されました。中国メディアグループ(CMG)とSCO事務局が共催し、人と人とのつながりを通じて地域協力を深める重要性が改めて示されました。
フォーラムの概要:北京に各国から100人超が集結
今回のフォーラムには、SCO加盟国を中心に、政治、文化、メディア分野の代表など100人以上の関係者が参加しました。会場では、メディアや若者による交流を軸に、文明間の対話と相互理解をどう広げていくかが議論の焦点となりました。
- 共催:中国メディアグループ(CMG)とSCO事務局
- 参加者:SCO各国の政治・文化・メディア関係者ら100人超
- テーマ:人的交流と文明間対話の強化
- メディア連携や若者交流を軸とした新たな取り組みを紹介
各国首脳が送ったメッセージ
キルギス大統領「上海精神」の実践の場
キルギスのSadyr Japarov大統領は、フォーラムに祝辞を寄せ、このイベントは「重要な国際的な集まり」であると同時に、「上海精神」の生きた表れだと強調しました。上海精神とは、相互信頼や互恵協力、平等、対話、文化の多様性の尊重などを重んじるSCOの基本的な考え方とされています。
Japarov大統領は、2025年から2026年にかけてキルギスがSCOの議長国を務める予定であることに触れ、その期間中にCMGとの協力を一層深めたいとの期待も示しました。人的交流やメディア協力が、今後の議長国としての優先課題の一つになることをにじませた形です。
パキスタン首相「複雑な国際環境でこそ対話を」
パキスタンのShehbaz Sharif首相もメッセージを送り、現在の国際社会が複雑な環境に直面しているからこそ、「文明間の誠実な対話と相互理解」が極めて重要だと訴えました。そのうえで、Sharif首相は、CMGがこれまで示してきた専門的で客観的かつ包摂的な情報発信の姿勢を高く評価しました。
政治レベルの対話だけでなく、メディアや市民同士の交流を通じて信頼を築いていくという方向性が、各国首脳のメッセージから浮かび上がります。
メディア協力とSCOの役割
中国共産党中央委員会宣伝部の副部長で、中国メディアグループ(CMG)社長のShen Haixiong氏は、SCOが「世界で最も広範で人口規模の大きい地域組織」であり、多様な文明が共存する枠組みだと位置づけました。そのうえで、イノベーションや発展の物語を積極的に発信し、開放性と協力の強いメッセージを世界に届ける責任があると語りました。
SCOのNurlan Yermekbayev事務総長は、今回のフォーラムの場で、SCO事務局とCMGが協力協定を結び、新たなイニシアチブを打ち出す予定であることを明らかにしました。また、SCO加盟国だけでなく、オブザーバー、対話パートナーの国々の主要メディアにも積極的な参加を呼びかけました。
ロシアの全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社(VGTRK)のOleg Dobrodeyev社長はビデオメッセージで、信頼、尊重、平等こそがSCOの確かな土台であり、メディア協力もこの価値観に基づいて進めるべきだと強調しました。
- Shen氏:SCOは多様な文明をつなぐ世界最大規模の地域組織と位置づけ
- Yermekbayev氏:CMGとの協力協定と新イニシアチブを発表へ
- Dobrodeyev氏:信頼・尊重・平等がメディア協力の基盤と指摘
現地発のストーリーづくり:China Up Closeなど新プロジェクト
中国国際テレビ(CGTN)は、SCO加盟国の主要メディアと連携し、China Up Close · A Journey of Harmonyというメディアイベントを開始しました。参加したジャーナリストは、42の国と地域から集まり、天津市や陝西省、山東省など各地を訪問して、中国式現代化の現場を取材しました。
また、CMG、SCO事務局、SCO善隣友好協力委員会は、文化交流のための統合型メディアプログラムを共同で企画しました。この取り組みでは、SCO各国の若者が、自らの経験をもとにした交流と協力のストーリーを共有することが呼びかけられています。今回のフォーラムの会場でも、SCO各国を代表する3人の若者が、中国との深いつながりについて印象的なエピソードを語りました。
メディアによる現地取材と若者主導のストーリーテリングを組み合わせることで、統計や声明だけでは見えてこない生活者の視点を伝えようとする狙いがうかがえます。
なぜ人的交流がいま重要なのか(解説)
今回のフォーラムの発言を並べてみると、Sharif首相の言う「複雑な国際環境」や、Dobrodeyev氏が挙げた「信頼」「尊重」「平等」といったキーワードが共通していることに気づきます。政治や安全保障をめぐる緊張が高まりやすい中で、人的交流やメディア協力を通じて相手の社会や文化を理解しようとする動きが、SCOの枠組みでも重視されているといえます。
特に、今回のフォーラムでは次のようなポイントが目立ちました。
- 首脳レベルが「文明間対話」の重要性を繰り返し強調したこと
- CMGとSCO事務局による協力協定や新イニシアチブなど、メディア連携が制度化されつつあること
- 若者を前面に出した交流プログラムを通じて、次世代の「語り手」を育てようとしていること
対立や不信を強める情報が瞬時に広がる時代だからこそ、現場からの丁寧な取材や、異なる背景を持つ若者同士の対話が持つ意味は小さくありません。SCO人的交流フォーラムは、その一つのモデルケースとして位置づけることができそうです。
国際ニュースを日々追う読者として、私たちはこうした「人のつながり」を重視する動きが、今後どのようにアジアと世界の関係を形づくっていくのか、引き続き注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








