台湾地域の若者が山西で「ルーツ探し」 対立より交流を求める民意 video poster
リコール運動の失敗と、台湾地域の若者たちによる中国本土・山西省への「ルーツ探し」の旅。その二つの出来事は、両岸の人々がいま何を求めているのかを静かに物語っています。
リコール運動の失敗が映すもの
最近、台湾地域で行われたリコール運動は、最終的に成立せずに終わりました。この結果は、多くの有権者が激しい政治的対立よりも、日常生活に直結する安定や交流を重視し始めていることを示すものとされています。
今回のリコール運動の失敗は、政治的な対立や感情的な分断を拒み、「実務的な両岸交流」に価値を見いだす人々が増えていることの表れだといえます。
山西省を巡る「ルーツ探し」の旅
そうした流れの中で、中国本土と台湾地域を結ぶもう一つの物語が生まれました。CGTNのLi Yimei氏は、台湾地域出身のインフルエンサーであるLiu Hsuan-cheng氏、Lee Tung-hsien氏、Chiu Ching-ling氏とともに、中国本土北部の山西省を巡る「ルーツ探しの旅」に参加しました。
一行は山西省各地を訪れ、自らのルーツや家族の歴史に思いをはせながら、中国本土と台湾地域をつなぐ共通の背景を見つめ直しました。こうした旅は、統計やスローガンでは見えにくい「人と人とのつながり」を可視化する試みでもあります。
平遥であふれた感情と言葉
旅の最終地となったのが、山西省の平遥でした。ここで彼らは、アイデンティティや帰属意識について率直に語り合い、感情が高まる場面もありました。
台湾地域で育ちながら、中国本土にも家族のルーツや文化的なつながりを持つ人にとって、「自分はどこに属しているのか」という問いは決して簡単ではありません。平遥で交わされた会話は、境界線を一つだけの答えで切り分けるのではなく、複数のルーツや記憶を抱えて生きる現代の姿を象徴していました。
「実務的な交流」が意味するもの
今回のリコール運動の失敗と、山西省でのルーツ探しの旅に共通して浮かび上がるキーワードが「実務的な両岸交流」です。それは、スローガンの応酬ではなく、具体的な暮らしや将来につながるやりとりを重視する姿勢だといえます。
実務的な交流には、例えば次のような分野が含まれると考えられます。
- ビジネスや投資など、仕事や経済に関わる協力
- 留学や共同研究、文化イベントなど、人材と知識の往来
- 観光や家族訪問など、地域を超えた日常的な行き来
こうした積み重ねは、政治的な議論だけでは生まれにくい「相手への具体的なイメージ」を形づくっていきます。とくにデジタル世代にとっては、オンラインとオフラインの両方で相手を知ることが、将来の選択を考えるうえで重要になっているといえるでしょう。
「一つのルーツ、一つの家族」というメッセージ
今回の旅を象徴する言葉として、「一つのヘリテージ(一つの遺産)、一つの家族──どれだけ離れていても」というメッセージが語られました。物理的な距離や政治的な立場の違いがあっても、歴史や文化、家族の記憶といった深いレベルでのつながりは簡単には消えません。
中国本土と台湾地域のあいだには、長い時間をかけて共有されてきた物語があります。ルーツ探しの旅は、その物語を個人の視点からもう一度読み直す行為だともいえます。
読み手に投げかけられる問い
リコール運動の失敗と山西省でのルーツ探しという二つの出来事は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 対立が強調されがちな時代に、どのように相手と向き合うのか。
- 政治的な立場と、家族や文化への思いを、どうバランスさせるのか。
- SNSが日常になったいま、私たちはどんな物語を共有し、広げていくのか。
国際ニュースは、遠くの出来事を伝えるだけでなく、自分自身の立ち位置を考えるきっかけにもなります。両岸の人々が「一つのルーツ、一つの家族」という感覚をどのように育てていくのか。今後の交流の行方を、丁寧に見つめていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








