中国式レスリング継承者・張少華さん 68歳が守る家伝の武術書 video poster
中国式レスリングの継承者を追う国際ニュース
中国式レスリングの継承者として歩み続ける張少華さん(68)は、父から受け継いだ一冊の家宝をいまも大切に抱えています。家族のあいだで「武術秘伝書」と呼ばれてきたその本には、中国式レスリングの歴史と技、そして精神がぎっしりと記されています。
2025年の現在、世界各地で伝統スポーツの継承が課題となるなか、この小さな一冊と一人のベテラン指導者の姿は、国際ニュースとしても示唆に富んだ物語と言えます。
父から受け継いだ「武術秘伝書」
張さんの目は、その家伝のレスリング指南書を手に取ると一気に輝きを増します。ページを開けば、技の名前や動きだけでなく、礼節や鍛錬の心構えなど、中国式レスリングが大切にしてきた精神までもが細かく書きとめられています。
この一冊は、単なる技術書ではありません。格闘技としての中国式レスリングが、家族のなかでどのように受け継がれ、どのような価値観とともに伝わってきたのかを物語る「家の記憶」でもあります。
レスラーからコーチへ 強まった継承への決意
張さんは、かつては自らマットに立つレスラーとして活動してきました。その後、選手からコーチへと役割を移したことで、中国式レスリングを守り、次世代へつなぐ決意はいっそう強くなったとされています。
指導者として人に教える立場になれば、技を見せるだけではなく、その背景にある歴史や精神も伝えざるを得ません。父から受け継いだ本に刻まれた教えを、今度は自分の言葉と動きで伝えること。それが張さんの使命となりました。
無償の指導と無料の練習場 広がる輪
現在、張さんは中国式レスリングを希望する人びとに対して、授業料を取らずに指導を行っています。さらに、誰もが利用できる無料の練習場を運営し、自らも演武を披露して観客を楽しませています。
収入よりも継承を優先する姿勢は、弟子たちに強い影響を与えています。張さんの情熱に心を動かされた弟子たちは、技を覚えるだけでなく、中国式レスリングを大切に思う気持ちまで引き継いでいるといいます。
無料で開かれた場があるからこそ、経済的な事情にかかわらず、意欲のある人が伝統スポーツに触れられる。この点も、張さんの取り組みが持つ大きな意味だと言えるでしょう。
中国式レスリングが映し出す「継承」のかたち
張さんの物語は、中国武術や中国式レスリングだけの話ではありません。音楽、工芸、祭りなど、あらゆる伝統文化に共通する問いを私たちに投げかけています。それは「誰が、どのようにして、何を受け継ぐのか」という問いです。
私たちが考えたい三つの視点
- 技とともに「精神」をどう伝えるか
- お金ではなく情熱で支えられるコミュニティの価値
- 家族に閉じた継承を、地域や世界へどう開いていくか
国境を越えて情報が行き交う今、中国式レスリングのような伝統スポーツも、動画やSNSを通じて世界の人びとに触れられる時代になりました。一方で、その根っこにある精神は、目の前で人と人が向き合い、汗を流す現場でこそ伝わりやすいのかもしれません。
68歳になってもなお、家伝の「武術秘伝書」を見つめる目を輝かせ、無償で教え続ける張少華さん。その姿は、デジタル時代を生きる私たちに、伝統と情熱の新しい関係を静かに問いかけています。
Reference(s):
cgtn.com








