中国で新天然ガスパイプライン一部稼働 エネルギー安全保障はどう変わる?
中国で新たな天然ガスパイプラインが一部稼働しました。中国の重要エネルギーインフラである「第二・四川東部天然ガスパイプライン」の最初の区間が運転を開始し、中国全体の天然ガス輸送能力が年間30億立方メートル分拡大します。
中国で新パイプラインが稼働、エネルギー安全保障を後押し
パイプライン運営会社のPipeChinaによると、第二・四川東部天然ガスパイプラインの第一区間が月曜日に運転を開始しました。このプロジェクトは、中国のエネルギー安全保障を高める基幹インフラと位置づけられています。
全体では全長4,269キロメートルに及び、西南部の四川省瀘県(Luxian County)を起点に、東部の浙江省温州市までを結びます。今回稼働したのは、そのうち西側の一部区間で、稼働によって中国の天然ガス輸送能力は年間で約30億立方メートル増えるとされています。
今回動き出したのは「西部区間」の一部
新たに運転を開始した区間は長さ56.15キロメートル。四川省資陽市にある安岳ガス田(Anyue Gas Field)の受け入れ地点から、重慶市の銅梁区にある圧縮ステーションまでを結んでいます。
パイプチャイナ南西パイプライン公司重慶支社の責任者である李旺(Li Wang)氏は、次のように説明しています。
「中国石油の南西油ガス田分公司が運営する安岳ガス田・高石梯ブロックからの天然ガスが、この初期区間を通じて中衛–貴陽ガスパイプラインと接続できるようになりました。これにより国家レベルのガスパイプライン網に統合されます」
李氏によれば、この新たな通路によって、四川・重慶地域から外部への天然ガス輸送が強化され、同地域で進められている「年間1,000億立方メートル規模」の天然ガス生産基地の整備を後押しするとともに、沿線地域でのガス利用の改善にもつながるといいます。
二段階で建設、西は四川から湖北、東は浙江・福建まで
第二・四川東部天然ガスパイプラインは、西部区間と東部区間の二段階で建設が進められています。
- 西部区間:四川省–重慶市–湖北省
- 東部区間:湖北省–河南省–江西省–安徽省–浙江省–福建省
プロジェクト全体の完成は2027年が予定されており、完成時の年間輸送能力は200億立方メートルに達すると見込まれています。
計画では、このパイプラインが中国の主要な国家パイプライン網と接続し、四川盆地で産出される天然ガスを効率的に運び、中央部や東部地域のピーク需要に対応する役割を担います。また、沿線地域のエネルギー構成の転換、つまり石炭などからよりクリーンな天然ガスへのシフトを促すことも狙いとされています。
エネルギー転換の文脈でどう位置づけられるか
天然ガスは、石炭などに比べて二酸化炭素や大気汚染物質の排出が少ないとされる化石燃料です。そのため、多くの国で「移行期の燃料」として、電力や産業用の燃料転換に活用されています。
今回の第二・四川東部天然ガスパイプラインの整備は、こうしたエネルギー転換の流れの中で、中国が天然ガスの安定供給と広域利用をめざしてインフラを拡充している一例と見ることができます。
日本の読者にとってのポイント
日本から見ると、中国国内のパイプライン整備は一見、直接の影響が小さいニュースに思えるかもしれません。しかし、アジア全体のエネルギー市場は相互につながっており、中国の天然ガス需要やインフラ整備の動きは、液化天然ガス(LNG)価格などを通じて日本にも間接的な影響を及ぼし得ます。
今回のニュースから読み取れるポイントを整理すると、次のようになります。
- 中国で長距離天然ガスパイプライン網の拡充が進んでいること
- 四川・重慶地域が、天然ガス生産の中核拠点として位置づけられていること
- 2027年までに、中央・東部地域のピーク需要を睨んだ大規模輸送能力(年間200億立方メートル)が整備される見通しであること
- エネルギー構成の転換と、エネルギー安全保障の強化が同時に進められていること
エネルギー価格の変動や、脱炭素とエネルギー安全保障のバランスは、日本にとっても大きなテーマです。中国の動きを国際ニュースとしてフォローしていくことは、日本のエネルギー政策や企業の戦略を考えるうえでも、重要な材料になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







