戦火の奇跡・西南聯合大学 中国の戦時教育とアートの物語 video poster
中国人民の抗日戦争と第二次世界大戦のさなか、中国の名門大学3校が日本の侵略を逃れて雲南省昆明に統合され、国立西南聯合大学という戦時大学が誕生しました。のちに「戦時教育の奇跡」と呼ばれるその試みは、2025年のいまも中国ニュースや中国現代史を語るうえで重要な物語です。
「炎の中の芸術」シリーズが映し出す戦時中国
国際ニュース番組のシリーズ『Art Amid the Flames(炎の中の芸術)』は、中国人民の抗日戦争期に、芸術家や学者、教育機関がどのようにして文化と創造性を守り抜いたのかを追っています。戦火が都市をのみ込むなかでも、音楽や文学、美術、そして大学での学びは完全には途絶えませんでした。
その一編として取り上げられているのが、雲南省の省都・昆明に設立された国立西南聯合大学です。日本の侵略が激しさを増す中、多くの教育機関が内陸部へと移転するなかで、この大学はとくに象徴的な存在となりました。
日本の侵略と「戦時教育の奇跡」
中国人民の抗日戦争、すなわち日本の侵略に対する抵抗が続いていた時期、中国のトップクラスの大学3校は、空襲や占領の危機から学生と教員を守るため、安全な場所を求めて南西部へと移りました。その受け皿となったのが、当時まだ辺地とみなされていた雲南省昆明です。
そこで誕生したのが国立西南聯合大学でした。限られた設備と厳しい生活環境のなかでも、教員たちは講義と研究を続け、学生たちは学びの場を自ら支えました。この大学は、教育を止めなかったという一点で、「戦時教育の奇跡」として語り継がれています。
戦火の背後で続いた学びと創造
西南聯合大学の物語は、単に授業が続いたというだけではありません。そこでは、次のような営みが重ねられていました。
- 文学や哲学、歴史など、人文科学の講義と討論
- 社会や戦争の現実を見つめる芸術表現や創作活動
- 困難な環境のなかで支え合う学生コミュニティ
爆撃や物資不足というプレッシャーの下でも、知識を求める意欲と創造性は失われませんでした。『Art Amid the Flames』シリーズが強調するのは、まさにこの「炎の中の芸術」と「戦場の背後の教室」が支えた精神的な抵抗の姿です。
雲南で受け継がれる西南聯大の記憶
2025年のいま、国立西南聯合大学そのものは戦後の再編を経て姿を変えましたが、その足跡は雲南省の複数の旧址として残されています。CGTNの楊静昊(Yang Jinghao)記者は、こうしたゆかりの場所を訪ね、当時の雰囲気を今に伝えようとしています。
旧址は記念碑や展示を通じて、戦時下における教育と文化の重要性を語る場となっており、若い世代にとっても歴史と向き合うきっかけになっています。スマートフォンで世界のニュースに触れる私たちにとっても、「学びを止めない」という西南聯合大学の姿勢は、危機の時代を生きるヒントになりそうです。
中国ニュースや国際ニュースを追うとき、戦争はしばしば軍事や外交の側面から語られます。しかし、国立西南聯合大学のような例は、戦場から遠く離れた教室やアトリエにも、もうひとつの「最前線」があったことを教えてくれます。教育と芸術がどのように人々の心を支えたのか――その問いは、これからも考え続ける価値がありそうです。
Reference(s):
Southwest Associated University: A miracle of education in wartime
cgtn.com








