中国が衛星通信の新ルール 兆元市場めざす宇宙ビジネス
中国が衛星通信産業の新しいガイドラインを公表し、「兆元市場」とも言われる巨大な宇宙通信ビジネスの成長に向けて本格的に動き出しました。低軌道衛星インターネットや携帯電話の衛星直結サービスを後押しする今回の政策は、中国のデジタル経済と国際的な宇宙ビジネスの流れを読み解くうえで、注目すべき動きです。
衛星通信の新ガイドラインとは
中国の工業・情報化部が水曜日に発表した衛星通信に関するガイドラインは、産業の「高品質な発展」を掲げ、事業参入の条件や手続きを最適化していく方針を示しています。衛星通信サービスの立ち上げを促進し、商業宇宙分野でのイノベーションを刺激することで、新たな生産力の源泉を育てることがねらいです。
あわせて、中国を「製造強国」「サイバー強国」へと転換し、「デジタル中国」を構築する取り組みを支える基盤として、衛星通信を位置づけています。
2030年までのロードマップ
ガイドラインによると、中国は2030年までに衛星通信に関する管理体制や政策・法規を整備し、産業発展の環境を最適化する計画です。その一環として、次のような分野での一体的な発展を目指すとしています。
- 地上と宇宙をつなぐ通信インフラの整備
- 衛星や部品など産業サプライチェーンの強化
- 技術標準の策定と普及
- 国際協力の拡大
携帯直結など新ビジネスモデルの拡大
ガイドラインでは、携帯電話が衛星と直接つながる「携帯直結型」の通信サービスなど、新しいビジネスモデルを広く展開していく方針が示されています。こうしたサービスの利用者数は1,000万人を超えると見込まれており、日常生活レベルで衛星通信が身近になる可能性があります。
どこに投資と成長の余地があるか
市場関係者やアナリストは、衛星通信産業への事業参入が継続的に最適化されており、関連ライセンスの発給ペースが加速することで、ネットワーク構築と商用展開が一気に進むと見ています。産業は「転換点」に近づいており、次のような幅広い分野で投資機会が生まれると指摘されています。
- 通信サービスを提供する事業者
- 衛星や関連機器の製造
- 衛星運用や管理サービス
- 地上局やアンテナなどの地上設備
専門家は特に、低軌道衛星を多数組み合わせた「コンステレーション」(衛星群)、携帯電話向けの衛星直結サービス、宇宙空間の計算資源を活用する「宇宙ベースのコンピューティング」を、今後の成長をけん引する分野として挙げています。
民間企業と実社会での活用促進
中国は、低軌道衛星インターネットの開発を加速させるとともに、携帯電話やその他の端末による衛星直結サービスの応用を推進するとしています。また、新たな衛星通信ビジネスの探索を奨励し、民間企業に対する市場アクセスを拡大する方針です。
衛星通信の活用分野としては、農業、交通、エネルギー、都市ガバナンスなど多様な産業が想定されています。さらに、産業用インターネット、車両のネットワーク化、航空機などの「空の通信」といった次世代インフラとのクロスインテグレーション(相互連携)を進めることで、地上と宇宙をまたぐデジタル基盤を構築しようとしています。
標準化とエコシステムづくり
ガイドラインはこのほか、衛星通信に関わる中核技術の開発を強化し、オープンで共有可能な標準体系を整備することも打ち出しています。相互に利益をもたらす産業エコシステムを育てることで、多様なプレーヤーが参加しやすい市場環境をつくる狙いです。
宇宙インフラとデジタルインフラを重ね合わせる今回の動きは、中国国内の産業だけでなく、国際的な協力や競争のあり方にも影響を与える可能性があります。衛星通信をめぐるルールづくりと産業戦略が、今後の国際ニュースや経済動向を読み解く重要なテーマになりそうです。
Reference(s):
New satellite rules to drive China's trillion-yuan industry growth
cgtn.com








