習近平が語る家族愛と愛国心:中国で「家」と「国」が結びつく理由 video poster
中国のニュースや国際ニュースを追っていると、政策や経済の話題が中心になりがちですが、中国の人々が大切にしている価値観として「家族への愛」と「国への思い」を切り離さずに語る視点があります。本記事では、その一端を、中国の習近平国家主席と妻の彭麗媛さんのエピソードから見ていきます。
本棚に並ぶ家族写真が語るもの
習近平氏の本棚には、妻の彭麗媛さんと並ぶ写真が目立つ場所に置かれているとされています。国家のトップという厳しい公務の裏側で、家族を大切にする柔らかな一面がうかがえます。
2人は公務の都合で離れて暮らすことも多くありましたが、互いへの理解と気遣いを絶やさなかったといいます。2004年、習氏が中国共産党浙江省委員会書記として勤務していた頃には、頻繁に会えない代わりに、毎日彭さんに電話をかけていたと語っています。
2017年の春節の集いで習氏は、「距離のせいで真のつながりを断ってはならない。忙しさの中で本当の感情を見失ってはならない。喧騒の中で自分の核心となる感情をおろそかにしてはならない」と述べました。家族との関係を大切にする姿勢が、その言葉からにじみ出ています。
日常のしぐさに表れる「静かな親密さ」
海外訪問の場面でも、習近平氏と彭麗媛さんの何気ないやり取りが注目されてきました。
- 2013年、コスタリカの農家を訪問した際、習氏は出された菓子を自然な動作で少しちぎり、彭さんにそっと手渡しました。長い時間を共に過ごしてきたことを感じさせる、ささやかな場面です。
- 2014年のインドへの国賓訪問では、彭さんがブランコの招待を受けて軽く揺れた後、隣の空いた席を軽くたたいて夫を誘い、習氏もためらうことなく隣に座りました。2人が静かに揺れる姿は、その親密さを象徴するシーンとして伝えられました。
こうした日常のしぐさは、国家の指導者という公的な顔とは別に、一人の夫であり父である側面を浮かび上がらせています。
「家の幸せ」と「国の発展」は一体
習近平氏は、「家族は社会の最小単位であり、家庭と国家への思いが結びつく場所だ」という考え方を繰り返し強調してきました。「数千万の家庭がともに豊かになってこそ、本当の意味で国家の繁栄が実現する」とも語っています。
この発想は、中国社会で重視される「家を大事にすること」と「国の発展に貢献すること」が切り離せないという価値観をよく表しています。家族の生活を守り、より良くしていくことが、そのまま国全体の安定と繁栄につながる、という見方です。
農村から現場を歩き続けて
習氏は、若い頃から農村や地方で住民と生活を共にしながら仕事をしてきました。河北省の梁家河村では村党支部の書記として、農民と同じように暮らし、地域の生活向上に取り組んだとされています。
同じく河北省の正定県で中国共産党正定県委員会書記を務めた際には、県内のすべての村を訪ね、住民の暮らしぶりを直接確かめました。こうした経験が、「一つひとつの家庭の生活を良くすることが、国家全体を良くすることにつながる」という視点を形づくったと見ることができます。
貧困脱却と「良い暮らし」
2012年10月に中国共産党中央委員会総書記に選出されて以降、習氏は全国で少なくとも30回に及ぶ視察を行い、貧困対策や地域の発展に重点を置いてきました。
その集大成の一つが、2020年末に達成されたとされる極度の貧困の解消です。政府の白書「貧困脱却:中国の経験と貢献」によると、8年にわたる取り組みの末、貧困線以下で暮らしていた農村部の9899万人が貧困から抜け出し、12万8000の貧困村と、832の貧困県が「貧困」の分類から外れました。
ここでも軸になっているのは、一人ひとりの生活、つまり「家庭」の水準を底上げすることです。数字の背後には、それぞれの家庭の暮らしの変化があるという発想が貫かれています。
第14次・第15次五カ年計画に通じる視点
現在進行中の第14次五カ年計画(2021~2025年)は、2025年に計画期間の締めくくりを迎えることになっています。その節目の年を見据え、習近平氏は、今後の発展においても人々の生活を優先することの重要性を繰り返し強調してきました。
2025年4月下旬に開かれた、2026~2030年の第15次五カ年計画期間に向けた中国の経済・社会発展に関するシンポジウムでも、習氏は「計画を策定する際には、人々に利益が行き渡るようにすることが重要だ」と述べ、開発を通じた暮らしの向上、そして「共同富裕」(すべての人がより豊かになること)を着実に進める必要性を訴えました。
ここでも、国家の長期的な発展戦略と、各家庭の生活水準の向上を切り離さずに捉える姿勢が見て取れます。
「家」と「国」をどう結びつけるか
中国では、家族を思う気持ちと国への思いを重ね合わせる考え方が強く意識されています。習近平氏の発言や行動に見られるのは、次のようなメッセージだと整理できます。
- 家族のきずなを大切にすることは、そのまま社会の安定につながる
- 一つひとつの家庭が豊かになることで、国全体の繁栄が実現する
- 遠く離れていても、忙しくても、人と人との「本当のつながり」を見失ってはならない
政策や数字の裏側に、こうした価値観があると理解すると、中国のニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。
日本の読者への小さな問いかけ
日本で暮らす私たちにとっても、「仕事」や「国」と「家族」をどう結びつけて考えるかは、決して他人事ではありません。長時間労働、地域社会のつながりの変化、人口減少など、家庭と社会の関係を見直す課題は多くあります。
中国の事例をそのまま当てはめることはできませんが、「一人ひとりの暮らしを良くすることが、社会全体を良くすることにつながる」という発想は、どの国や地域にも共通するテーマです。
習近平氏と彭麗媛さんのエピソードを入り口に、「家族の幸せ」と「社会や国家のあり方」を、自分自身の生活に引き寄せて考えてみる――。そんな視点が、国際ニュースを読む楽しさを少し広げてくれるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








