中国武侠MMORPG「JX3」16周年 上海に15万人、ゲームと伝統文化の交差点
中国の人気武侠MMORPG「JX3」が2025年8月28日、上海で16周年を祝う大規模イベントを開催しました。約15万人のプレイヤーが集結した会場では、オンラインゲームと非物質文化遺産、そして広東オペラをつなぐ一連のコラボ企画が発表され、ゲーム文化の広がりを示しました。
この記事のポイント
- 中国を代表する武侠MMORPG「JX3」が2025年8月に上海で16周年イベントを開催
- 約15万人が参加し、泉州市の非物質文化遺産とのコラボなどが発表
- 広東オペラ作品『Fighting for the Great Tang Empire』が新作『Blaze: For the Glory of the Tang Empire』として再始動
16年続く武侠MMORPG「JX3」とは
「JX3」は、Seasun Gamesが16年間にわたって開発・運営を続けている武侠MMORPGです。武侠とは、中国の武術や義侠心をテーマにしたファンタジー世界観のことで、「JX3」はその武侠世界をオンライン上に再構築し、プレイヤーが没入できる場を作り上げてきました。
ゲーム内の舞台は、Jianghu(ジャンフー)と呼ばれる仮想世界です。そこは、武芸に長けた英雄たちが活躍し、同盟や勢力図が常に変化し、理想や美学が交差する詩的な空間として描かれています。単なるバトルやレベル上げにとどまらず、物語性や世界観の厚みが重視されている点が特徴です。
その深い文化的な背景と、プレイヤー同士の温かい人間関係が育まれてきたことから、「JX3」は中国のオンラインゲーム界で特に結束力の強いコミュニティを持つタイトルとして評価されています。16年間という運営の長さそのものが、その支持の根強さを物語っています。
上海に約15万人が集結 16周年イベントの熱気
2025年8月28日、上海には「JX3」を愛するプレイヤー約15万人が集まりました。オンライン上で出会い、日々一緒にプレーしている仲間たちが、現実世界で一堂に会する場は、ゲームコミュニティの「現場力」を可視化する機会にもなりました。
この16周年イベントは、単なる記念ライブや新コンテンツ発表にとどまりませんでした。会場では、ニュースとしても注目を集める複数のクロスオーバー企画が次々と明らかにされ、「JX3」というゲーム世界が、デジタルの枠を超えて広がりつつあることを印象づけました。
泉州の非物質文化遺産とオンラインゲームが出会う
発表されたコラボの一つが、中国南東部・泉州市の非物質文化遺産との連携です。対象となるのは、同市を代表する二つの伝統芸術、すなわち伝統的なマリオネット(糸あやつり人形)による人形劇と、zanhuaweiと呼ばれる花を使った精巧な頭飾りの技法です。
いずれも長い歴史を持つ地域文化の象徴的な存在であり、細やかな手仕事や舞台表現を通じて受け継がれてきました。それらが、16年続く武侠オンラインゲームとコラボレーションするという構図は、非物質文化遺産の新しい伝え方としても注目できます。
具体的な展開の詳細は今後に委ねられる面もありますが、ゲームの世界観と職人技や舞台芸術が出会うことで、伝統文化に触れるきっかけを持たなかった若いプレイヤー層が、自然とその魅力に近づく可能性があります。オンラインのコミュニティが、そのまま文化継承の入り口にもなり得るという点で、今回の連携は象徴的です。
広東オペラ作品が新章へ 『Blaze: For the Glory of the Tang Empire』
今回のイベントで、特に大きな話題を呼んだのが、広東オペラと「JX3」のコラボレーションです。もともとゲーム内のストーリーをもとに創作された広東オペラ作品『Fighting for the Great Tang Empire』は、若い観客からも高い評価を受けてきました。
その人気作が、新たな形で戻ってきます。新作タイトルは『Blaze: For the Glory of the Tang Empire』。16周年イベントの場で、正式にチケット販売がスタートしました。ゲームの世界から飛び出した物語が、再び舞台の上で命を吹き込まれることになります。
この新作を率いるのは、深セン広東オペラ劇団の団長兼主演俳優である彭青華氏です。彭氏は、中国で権威ある舞台芸術賞とされる梅花賞の受賞者であり、オリジナル版『Fighting for the Great Tang Empire』の共同発案者でもあります。今回も総合的な企画を担うチーフプランナーとして、そして主演俳優として、プロジェクトの中心に立ちます。
オンラインゲームの物語が広東オペラという伝統的な舞台芸術に翻案され、さらに新章へと発展していく流れは、単なるタイアップを超えた動きと捉えることができるでしょう。若いゲームファンが舞台を見に足を運び、そこから広東オペラの表現や音楽、所作に触れることになれば、観客層の裾野は着実に広がります。
ACGを超えて広がるカルチャーの循環
「JX3」の16周年イベントが示したのは、アニメ・コミック・ゲームといったいわゆるポップカルチャーの枠内にとどまらない、文化の循環の可能性です。オンラインゲームのIP(知的財産)が、非物質文化遺産や広東オペラといった伝統芸術と交わることで、新旧のカルチャーが互いに観客を送り合う関係が生まれつつあります。
プレイヤーコミュニティを大切に育ててきたタイトルだからこそ、現実世界のイベントで15万人もの人々が集まり、その場で伝統文化との新たな接点が生み出されるという展開にもつながりました。ゲームをきっかけに、どのような文化に出会えるのか。その問いに対して、「JX3」は一つの答えを示しつつあります。
2025年のこの取り組みが、今後どのような広がりを見せるのか。オンラインゲームと伝統文化の関係性を考える上で、引き続き注目しておきたい動きです。
Reference(s):
cgtn.com








