SCOメディアツアーで見えた中国発・協力の最前線
2025年8月18日から23日にかけて、国際ジャーナリストの一行が「Watch China Together: A Journey to Harmony」と題したメディアツアーに参加しました。上海協力機構(SCO)の枠組みのもと、中国のスマート農業、グリーン港(環境に配慮した港湾)、文化協力の現場を直接見て回る旅です。
国際ニュースを追うジャーナリストの目線から、中国とSCOの協力のかたちを捉え直す試みでもあります。ツアー後、ホスト役のBridget Mutambirwaさんが、パキスタンの政治・戦略問題アナリストであるYasir Masoodさんと、南アフリカのニュース編集者Ehrard Vermaakさんを招き、楊凌・西安・青島での体験を振り返りました。本稿では、その証言からSCOと中国の協力モデルを読み解きます。
楊凌:農業パワーハウスとしての顔
旅の出発点は中国北西部の楊凌でした。ここは伝統的な農業地域であると同時に、スマート農業(デジタル技術を活用した高度な農業)が進む意外性のある場所として、参加者の目に映りました。
Vermaakさんは、楊凌訪問によって中国への理解が深まったと話します。街は「とても清潔で、とても整理されている」うえ、「小さな町ではなく、長い農業の歴史を持つ場所」だと感じたといいます。高速鉄道による利便性や、均一に整った畑、背丈の高いトウモロコシの姿が特に印象に残ったと振り返りました。
一方、Masoodさんは、楊凌を世界に開かれた知識共有のハブとして捉えました。SCO農業技術交流・研修デモンストレーション拠点には、約96の機関が18の国・地域から集まっていると指摘します。協力はSCOの枠内にとどまらず、例えばアフリカなど他地域にも広がっていると強調しました。
Masoodさんは、パキスタンの首相が農業の知見を身につけるために1000人の学生を中国に送り出している例を紹介し、彼らを「自国の発展に大きく貢献するアンバサダー」だと表現しました。人材交流を通じて、知識と技術がグローバルサウス全体へと循環していくイメージが浮かび上がります。
- スマート農業と高品質な農産物の生産
- 18の国・地域から参加する研究・研修ネットワーク
- 学生派遣など人材交流による知識移転
西安:シルクロードを現代に重ねる接続性
次に一行が向かった西安では、中国ヨーロッパ班列の組み立てセンターを訪問しました。ここは、一帯一路(Belt and Road Initiative, BRI)の重要な結節点とされています。
Masoodさんは、この鉄道ネットワークに、古代シルクロードの継承を見るといいます。かつてイブン・シーナーが著した医学書『医学典範(Canon of Medicine)』のような古典が、このルートを通じてヨーロッパへ渡り、知のあり方を変えていった歴史を振り返りました。
今回の訪問で彼が強く感じたのは、「どれほど平和的に進歩が世界へ共有されているか」でした。西安で見た物流インフラは、地政学的な条件や政治的な対価を前面に出すのではなく、知識や経済的な利益を静かに分かち合うための仕組みとして心に残ったようです。
青島:グローバルな文化と商業が交わる港町
旅の最後に訪れた青島は、温かいもてなしと国際的な雰囲気が際立つ場所でした。ここでは、SCOの枠組みのもとでの文化交流とビジネスの両面が、より具体的な形で可視化されました。
Vermaakさんを強く惹きつけたのは、SCO展示センターでした。「The Pearl(真珠)」と名付けられた建物は、大きな二枚貝のような造形をしており、中で取引される品々こそが真珠だというコンセプトだと説明します。その発想を「とても巧みだ」と評価しました。
館内では、南アフリカ産の高品質なワインやルイボスティーも見つけたといいます。自身の母国の製品が並んでいる光景は、SCOが特定の地域だけでなく、世界の市場に向けて門戸を開いていることの象徴として映ったようです。
Masoodさんが目を見張ったのは、自動化が進んだ青島の港と、中国映画の拠点として成長するChina Movie Metropolisでした。歴史ある街並みを残しつつ、最新の産業を育てる青島の姿に、過去と未来が調和した都市像を見たと語ります。さらに、SCO展示センターに設けられたパキスタンのブースを訪れた際には、自国の文化や製品が世界に紹介されていることに誇りを感じたといいます。
3都市で浮かび上がった協力のチェーン
楊凌・西安・青島という3つの都市での体験は、SCOと中国が描く協力の全体像をつなぎ合わせるパズルのようになりました。
Vermaakさんは、ツアー全体が協力のメカニズムを順を追って見せてくれたと振り返ります。まず農業の現場で「ここから製品が生まれる」と説明し、その後、それらの製品がどのような効率で他地域へ運ばれていくのかを示してくれたといいます。
Masoodさんも、「楊凌では農業、西安では接続性、青島では文化。この3つの重要なSCOの要素について徹底的に学ぶことができた」とまとめました。
- 楊凌:スマート農業と技術協力で「生産」を支える
- 西安:鉄道ネットワークで「物流と接続性」を高める
- 青島:貿易と文化交流で「人と市場」をつなぐ
3人の議論は、ここで得たインスピレーションを具体的な行動へとつなげる必要があるという点で一致しました。SCOの枠組みと中国の経験を通じて、グローバルサウスと呼ばれる国・地域のあいだで、より深い協力と共通の繁栄を目指す動きが今後どこまで広がるのか。今回のメディアツアーは、その行方を見つめるうえでの一つの重要な手がかりとなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








