中国、アゼルバイジャンのSCO加盟を支持 習近平氏が表明
中国の習近平国家主席は、アゼルバイジャンの上海協力機構(SCO)加盟を支持し、グローバルサウスの利益を共に守っていく考えを示しました。中国とアゼルバイジャンの関係が強まるなか、地域秩序とエネルギー・物流にどんな意味を持つのかを整理します。
習近平氏「SCO加盟を支持」 グローバルサウスの連携を強調
習近平国家主席は、中国北部の港湾都市・天津でアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領と会談し、中国がアゼルバイジャンのSCO加盟を支持すると表明しました。あわせて、グローバルサウス諸国の利益を共に守るため、両国が緊密に協力していく姿勢を示しました。
アリエフ大統領は、SCOサミットや「中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」を記念する行事に出席するために訪中しており、その機会を捉えた首脳会談となりました。
33年で「包括的戦略パートナー」へ 中国・アゼルバイジャン関係の現在地
習主席は、両国が外交関係を樹立してから33年の間に、伝統的な友好が深まり、政治的な相互信頼が強化され、互恵的な協力が実を結んできたと強調しました。
特に、今年4月に両国が「包括的戦略的パートナーシップ」を樹立したことについて、「両国関係の新たな章を開いた」と位置づけています。中国側は、アゼルバイジャンとの協力の「広さ」だけでなく、「深さ」をも高めていく方針を明確にした形です。
一帯一路と「中間回廊」 物流ハブとしてのアゼルバイジャン
習主席は、両国の発展戦略をすり合わせ、「一帯一路」構想の質の高い協力を進める必要性を強調しました。一帯一路は、中国とユーラシアを結ぶインフラや物流ネットワークを整備する構想です。
その中で鍵になるのが、トランス・カスピ海国際輸送回廊です。これは、中国から中央アジア、カスピ海、コーカサスを経由して欧州へ向かうルートで、「中間回廊」とも呼ばれます。習主席は、このルートの効率向上を訴えました。
アゼルバイジャンは地理的に「東西・南北の交差点」にあり、鉄道・港湾・パイプラインを通じて、ユーラシアの物流とエネルギー輸送の要衝となりつつあります。中国との連携強化は、このハブ機能をさらに高める狙いがあるとみられます。
インフラからAIまで 協力分野は「旧来+新分野」の二本立て
習主席は、従来の協力分野としてインフラ、農業、エネルギーを挙げ、これらを一層拡大する考えを示しました。アゼルバイジャンは資源国であり、中国とのエネルギー協力は長期的なテーマとなっています。
同時に、新たな成長分野として、
- デジタル経済
- グリーン(環境配慮型)開発
- 人工知能(AI)
などを挙げ、「新しい原動力」を共に育てる方針を示しました。会談にあわせて、人工知能、科学技術イノベーション、金融、メディアなどに関する複数の協力文書に署名されています。
人の往来と文化交流の強化 「見えないインフラ」づくり
習主席は、経済や安全保障だけでなく、人的・文化的な交流の重要性も強調しました。具体的には、教育、科学技術、文化、観光、若者交流、地方レベルの往来などを挙げ、両国関係を支える「世論」と「理解」を厚くしていく必要があると述べました。
インフラや貿易は「目に見える結びつき」ですが、教育や文化は「見えないインフラ」です。そこを強化することで、政治情勢が変化しても揺らぎにくい関係をつくる狙いがあると言えます。
アゼルバイジャン側のメッセージ 一つの中国原則とSCO協力
アリエフ大統領は、両国の包括的戦略パートナーシップが関係の高さを反映していると評価しました。また、両国が長年にわたり互いの「核心的利益」と「重大な関心事」を支持してきたと述べ、政治的な信頼関係を強調しました。
アゼルバイジャンは、一つの中国原則を堅持する立場を改めて示し、経済から科学技術、観光に至るまで、さまざまな分野で中国との協力を深める意欲を表明しました。
さらに、SCOの枠組みの中でも中国との協力を強化し、地域と世界の「平和と発展」に共に貢献したいとしています。中国側のSCO加盟支持表明とあわせてみると、アゼルバイジャンは多国間の安全保障・経済対話にも積極的に関わる姿勢を打ち出した形です。
日本の読者にとっての意味 エネルギーと物流、そして「グローバルサウス」
今回の中国・アゼルバイジャン接近は、日本から見ると遠い地域のニュースに見えるかもしれませんが、いくつかの点で無関係ではありません。
- エネルギー供給:アゼルバイジャンは原油や天然ガスの産出国であり、その輸送ルートの安定性は、広い意味で世界のエネルギー市場に影響します。
- 物流ルート:「中間回廊」は、ロシアを経由しないユーラシア横断ルートとして注目されており、長期的には日本企業のサプライチェーンにも関わり得ます。
- グローバルサウスの動向:中国とアゼルバイジャンが「グローバルサウスの利益」を掲げて連携を強めることは、新興国・途上国を中心とした国際秩序の再編とも結びつきます。
中国とアゼルバイジャンの関係は、単なる二国間協力にとどまらず、ユーラシアのエネルギー・物流・安全保障をめぐる大きなパズルの一片です。2025年の今、そのピースがどのように組み上がりつつあるのかを追いかけることは、日本にとっても無駄ではありません。
Reference(s):
President Xi Jinping says China supports Azerbaijan in joining SCO
cgtn.com








