中国の抗日戦争記念施設に年間6,000万人 80周年で広がる戦争の記憶
中国各地にある抗日戦争(日本への侵略に対する抵抗戦争)関連の戦跡や記念施設に、年間およそ6,000万人が訪れていることが明らかになりました。2025年は中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80周年にあたり、中国社会が戦争の記憶をどのように次世代へ伝えようとしているのかが改めて注目されています。
年間6,000万人が訪れる抗日戦争の記念施設
中国では毎年、中国人民の抗日戦争をテーマにした展示会が500回以上開催されており、全国の戦跡や記念施設への年間訪問者数は6,000万人を超えていると、日曜日に開かれた記者会見で担当者が説明しました。
この数字は、抗日戦争に関する展示や施設が、中国国内で日常的に利用されていることを示しています。単に歴史資料を並べる場というだけでなく、多くの人が実際に足を運び、過去の出来事に触れる機会となっていると考えられます。
96カ所が国家級の愛国主義教育基地に
記者会見で説明したのは、中国の文化遺産行政を担当する機関であるNational Cultural Heritage Administrationの副局長、Sun Deli氏です。同氏によると、歴史的な戦跡や記念施設96カ所が、すでに国家級の愛国主義教育基地に指定されています。
愛国主義教育基地とは、国として重視する歴史や価値観を、市民や若い世代に伝えるための拠点です。抗日戦争に関する施設は、次のような役割を担っているとされています。
- 革命伝統教育の拠点
- 国防教育の場
- 学校などによるフィールドスタディ(校外学習)の受け入れ施設
ひとつの場所が、歴史の展示と追悼にとどまらず、教育カリキュラムや体験学習の場としても活用されている点が特徴だと言えます。
11地域で38の戦跡ルート 旅しながら学ぶスタイルも
Sun氏は、11の省級地域が戦争遺跡を巡る38本の旅行ルートを打ち出していることにも言及しました。各地の戦跡や記念施設をつなぐことで、旅行者が移動しながら抗日戦争の歴史を学べるようにする試みです。
こうしたルートは、いわゆる観光だけでなく、学校の研修旅行や企業研修、家族旅行などと組み合わせて利用される可能性があります。歴史を学ぶことと現地を訪れる体験を一体化させることで、より立体的に戦争の出来事を理解してもらう狙いがあるとみられます。
80周年の節目に強調される戦争の記憶
今回の記者会見は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年を記念する行事に関するものとして開かれました。節目の年に合わせて、戦跡や記念館の役割が改めて紹介された形です。
抗日戦争は、中国にとって20世紀の歴史を語るうえで欠かせない出来事です。年間6,000万人という訪問者数や、500回を超える展示会、そして教育基地としての位置づけは、この戦争の記憶が現在の社会や教育の中でも重視されていることを物語っています。
日本の読者が押さえたい3つの視点
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、このニュースは単なる数字以上の意味を持ちます。中国の取り組みを理解するうえで、次の3つのポイントを意識しておくとよさそうです。
- 規模の大きさ:年間6,000万人という訪問者数と500回以上の展示会は、抗日戦争に関する記憶の継承が、国内の文化・教育活動の大きな柱になっていることを示しています。
- 教育と観光の融合:96カ所の愛国主義教育基地や38本の旅行ルートなど、記念施設が学びの場と訪れる場を兼ねる形で整備されている点は注目されます。
- 歴史をめぐる対話の土台:戦争の記憶をどう語り継ぐかは、どの社会にとっても大きなテーマです。隣国がどのようなかたちで歴史を伝えようとしているのかを知ることは、今後の日中関係や市民レベルの対話を考えるうえでも、重要な手がかりとなり得ます。
国や社会が過去の戦争をどう記憶し、どのように共有しようとしているのか。そのあり方を知ることは、私たち自身の歴史観やものの見方を静かに問い直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Anti-Japanese aggression war memorials see 60 million annual visits
cgtn.com








