天津SCOサミットで「民俗さんぽ」 無形文化遺産を体感 video poster
北部の直轄市・天津で開催中の上海協力機構(SCO)サミット2025の舞台裏で、街の素顔と民俗文化を歩いて体感する「Folk vibes walk(フォーク・バイブス・ウォーク)」が、各国から集まった来訪者の注目を集めています。天津の豊かな歴史と文化を前面に出したこの取り組みは、国際ニュースとしてのサミットに、もう一つの物語を添えています。
天津のタイムレスな魅力を歩いて発見
「Folk vibes walk」は、天津の古くから続く生活文化や民俗芸能に触れながら街をめぐる散策コースです。歴史と文化の蓄積が深い天津ならではの空気感を、歩きながらゆっくり味わえるように工夫されています。
会場周辺や街なかのスポットでは、無形文化遺産の職人や芸人たちが、実演やワークショップを通じて来訪者を迎えます。国際会議の合間の短い時間でも、天津の「いつもの暮らし」にふれる小さな旅に出られるのが特徴です。
無形文化遺産を「見る」から「参加する」へ
今回のプログラムの軸になっているのが、天津の無形文化遺産です。展示を眺めるだけではなく、実際に手を動かし、言葉を発し、作り手と会話することで、文化を共有する場が生まれています。
クアイバン:リズムに乗せた語りの芸
まず体験の入り口として用意されているのが、クアイバン(kuaiban)です。クアイバンは、軽快なリズムに合わせて物語や世相を語る中国の話芸で、テンポよく刻まれる音と言葉の掛け合いが特徴です。
参加者は、基本的なリズムの取り方や簡単なフレーズを学びながら、短い一節を実際に披露します。聞き手だったはずの国際ゲストが、自ら声を出し、リズムを刻む側に回ることで、「見る文化」から「やってみる文化」への一歩を踏み出します。
蔡氏の羽根ぼうき、魏氏の凧、張氏の泥人形
散策ルートでは、天津を代表する三つの無形文化遺産も紹介されています。
- 蔡氏の貢品羽根ぼうき:細かな羽根を束ねて作る伝統的な羽根ぼうきで、生活道具でありながら工芸品としての美しさも備えています。
- 魏氏の凧:色鮮やかな意匠が施された凧づくりで、空に揚げてこそ映える軽やかなデザインが特徴です。
- 張氏の泥人形(Clay Figure Zhang):素朴な表情をもつ泥人形で、人びとの暮らしや物語を小さな立体作品として表現しています。
訪れた人びとは、職人の手さばきを間近で見たり、絵付けや組み立ての一部を体験したりしながら、それぞれの作品に込められた意味や歴史を学びます。完成した作品を手にしたとき、天津の文化は「買った土産」ではなく、「一緒につくった記憶」として残ります。
SCOサミット2025に彩りを添える文化の力
国際会議が開かれる都市にとって、参加者が何を見て、何を体験するかは、その後のイメージを左右する大切な要素です。天津が今回打ち出したのは、華やかなショーではなく、日々の生活から生まれた民俗文化を前面に出すアプローチです。
クアイバンや伝統工芸に自らふれることで、海外からのゲストは天津を単なる「会議の開催地」ではなく、人びとの息づかいが感じられる「文化のある街」として記憶するようになります。主催都市のこうした工夫が、SCOサミット2025そのものにも温度と立体感を与えていると言えるでしょう。
「傍観者」から「参加者」へ——これからの国際交流のかたち
「Folk vibes walk」が目指しているのは、世界中から集まった人びとを、文化の「傍観者」から「参加者」へと招き入れることです。言葉や国籍の違いがあっても、リズムに合わせて手を動かし、同じ素材に触れ、同じ空を見上げて凧を揚げるとき、共有されるのは複雑な理屈ではなく、身体で感じる体験そのものです。
こうした草の根の文化交流は、外交文書には残らなくても、都市と都市、人と人のあいだに静かな連帯感を生みます。天津で始まったこの試みが、今後ほかの国際会議や都市にも広がっていくのかどうか。SCOサミット2025の行方とともに、注目しておきたい動きです。
Reference(s):
cgtn.com








