習近平主席、SCOフォーラム開催と医療支援拡大を表明 video poster
中国の習近平国家主席は2025年12月8日、中国北部の天津市で開かれたSCOプラス会合で演説し、中国が上海協力機構(SCO)関連の3つのフォーラムを主催し、その成功に向けて責任を持って取り組む方針を示しました。また、今後5年間で他のSCO参加国の患者を対象に、先天性心疾患の治療や白内障手術、がん検診を行う医療支援計画も明らかにしました。
SCOフォーラム3本柱の内容
習近平国家主席が言及したのは、SCOの枠組みの中で政治、環境、医療をテーマとする3つのフォーラムです。いずれも中国が主催し、その成功を確保すると強調しました。
- SCO政党フォーラム:各国の政党間対話を通じて、政策や信頼醸成について意見交換を行う場
- SCOグリーン・持続可能な発展フォーラム:環境保護や持続可能な成長に関する協力を話し合う場
- SCO伝統医薬フォーラム:各国が持つ伝統医療や薬学の知見を共有し、医療協力の可能性を探る場
政党間対話、環境協力、伝統医療という3つの分野は、政治と社会の双方に直結するテーマです。中国がこれらのフォーラムを主導することで、SCO内の対話と協力の枠組みをさらに制度化しようとする姿勢がうかがえます。
5年間で心疾患・白内障・がん検診を重点支援
習近平国家主席は演説の中で、SCO参加国に対する具体的な医療支援の数字も示しました。今後5年間で、次のような計画を進めるとしています。
- 先天性心疾患の患者500人に対する治療
- 白内障手術5,000件の実施
- がん検診1万件の実施
対象となるのは、他のSCO参加国の患者です。心臓の先天性の病気や視力を失うおそれがある白内障、早期発見が重要ながんといった分野は、いずれも多くの人の生活の質に直結する医療課題です。
具体的な数値を示したうえで支援を約束したことは、単なるスローガンではなく、実務レベルの医療協力を進める意図を強く印象づけるものと言えます。
医療とフォーラム外交を組み合わせる狙い
今回の発表は、SCOという地域協力の枠組みを通じて、フォーラム外交と医療支援を組み合わせる動きとして位置づけられます。
政治・環境・伝統医療の3フォーラムは、各国の政策担当者や専門家が顔を合わせる対話の場となります。一方で、心疾患や白内障、がん検診といった具体的な医療支援は、SCO参加国の人々の生活に直接届く取り組みです。
こうしたソフトな分野での協力は、次のような効果を狙ったものと見ることもできます。
- 医療支援を通じて、SCO参加国との信頼関係を長期的に強める
- 環境や伝統医療といったテーマで、新たな協力分野を開拓する
- 政治対話だけでなく、人の移動や技術協力を含む総合的なつながりをつくる
私たちが注目したいポイント
今回の発表は、一見するとSCO内部の話に見えますが、日本を含む周辺地域にとっても無関係ではありません。医療や環境といった分野での協力は、国境を越えて波及することが多いためです。
特に注目したいのは、次のような点です。
- 地域協力の枠組みが、安全保障や経済だけでなく、人間の安全保障や保健医療にも広がっていること
- 具体的な患者数や検診数まで示したうえで支援を打ち出していること
- 伝統医薬という分野を通じて、各国の文化や知識の交流も視野に入れていること
今後、SCO政党フォーラムやグリーン・持続可能な発展フォーラム、伝統医薬フォーラムがどのように運営され、医療支援がどの程度実行されていくのかは、地域の協力のあり方を考えるうえで重要な指標になっていきそうです。
天津でのSCOプラス会合で示された今回の方針は、2025年以降の5年間にわたる地域協力の方向性を占う一つの手がかりと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com







