中国のVデー記念軍事パレード 抗日戦争勝利80周年と英雄の意味
2025年は、中国の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年の節目の年です。9月3日に北京で行われたVデー記念行事は、中国がどのように過去の戦争を記憶し、現在の国づくりや平和へのメッセージにつなげようとしているのかを示す象徴的な場となりました。
天安門広場で行われたVデー記念軍事パレード
9月3日、北京の天安門広場は再び厳かな追悼と祝賀の舞台となりました。中国は、中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年を記念する大規模な軍事パレードを行い、国内外の注目を集めました。
45個の部隊編成と航空編隊
中国メディアによると、この軍事パレードには45の部隊と航空編隊が登場しました。そのなかには、特に象徴的な一つの編成が用意され、古いものと新しいものを組み合わせた構成となりました。
古いと新しいをつなぐ象徴的な編成
この特別な編成で示された古いとは、抗日戦争期の部隊を源流とする部隊を指します。一方の新しいは、現在の中国軍の近代化された編成や装備を示すものです。
戦時の部隊の系譜と、現代の軍の姿を一つの隊列のなかで並べることで、中国は、戦争の記憶と現在の国防体制が断絶しているのではなく、連続した歴史の流れの中にあることを強調しようとしています。
過去の犠牲の上に今の国家と社会が成り立っているというメッセージは、中国国内の世論だけでなく、国際社会に対しても向けられたものだと見ることができます。
英雄をたたえ、犠牲を忘れないというメッセージ
習近平国家主席は、近年繰り返し、戦時に命を落とした人々への敬意と、抗戦精神と呼ばれる価値観を次の世代に受け継ぐ重要性を強調しています。
希望ある国に英雄は欠かせない
習氏はかつて、希望のある民族には英雄が必要だと述べています。また、侵略に抵抗した偉大な精神は、かけがえのないインスピレーションの源であり、中国人民があらゆる困難や障害を乗り越え、民族復興を目指す努力を、今後も力強く後押しするとも語っています。
ここで語られる英雄は、戦場で戦った兵士や指揮官だけでなく、背後で支えた人々を含む、広い意味での戦争被害者と貢献者を指していると考えられます。英雄をたたえることは、単に過去を振り返る儀礼ではなく、現在の社会にどのような価値観を共有させるかという政治的・文化的な行為でもあります。
7月7日、百団大戦記念館を訪問
今年7月7日、習近平氏は北部の山西省陽泉市にある百団大戦の記念館を訪れ、殉難者に献花し、黙とうを捧げました。
7月7日は、中国で七七事変の日として知られ、全国的な抗日戦争が本格的に始まった日から88年にあたる節目でした。このタイミングでの訪問は、戦争の記憶を風化させないというメッセージを国内に向けて発する狙いがあると受け止められています。
中国共産党が中流の役割を強調
百団大戦は、抗日戦争期に中国共産党の部隊が指導した大規模な軍事作戦として位置づけられています。習氏は現地で、この作戦が抗日救国の中流としての中国共産党の役割を十分に示したと強調しました。
また、抗日戦争の偉大な精神を世代を超えて引き継いでいく必要性を訴えました。これは、戦時の歴史を通じて、中国共産党が国と社会を支えてきたというイメージを、若い世代を含む国民に示す狙いがあると見ることができます。
戦争の記憶を平和の未来へどうつなぐか
2025年の戦勝80周年は、中国にとって、戦争の悲劇と教訓を改めて確認しつつ、現在の国づくりや国際秩序への関わり方を考える節目となっています。軍事パレードのような大規模な行事は、軍事力の誇示という側面だけでなく、過去の犠牲を忘れないという国内向けのメッセージも持っています。
一方で、戦争の記憶をどのような言葉で語り、どのような形で次の世代に伝えるのかは、どの国にとっても簡単ではありません。過去を忘れないことと、未来に向けて平和を築くことをどう両立させるのか――この問いは、中国だけでなく、戦争の歴史を持つ多くの国が共有するテーマでもあります。
80年という長い時間が過ぎた今、記念行事や指導者の発言は、単なる追悼にとどまらず、戦争と平和について私たち一人ひとりが何を考え、どのような世界を次の世代に手渡したいのかを考えるきっかけにもなっています。
Reference(s):
cgtn.com








