深セン・香港・広州が世界首位 WIPOイノベーションクラスター2025
国連の専門機関である世界知的所有権機関(WIPO)が今週公表した2025年版グローバル・イノベーション・インデックス(GII)のクラスターランキングで、中国の深セン・香港・広州イノベーションクラスターが世界1位となりました。アジアの技術地図を塗り替えるこの順位の変化は、広東香港マカオグレーターベイエリア(GBA)の存在感をあらためて浮き彫りにしています。
何が起きたのか:世界トップに立った深セン・香港・広州
WIPOのGIIクラスターランキングは、世界の主要イノベーションクラスター上位100カ所を選び、その活動の密度を比較するものです。今回の2025年版では、深セン・香港・広州クラスターが初めて世界1位となり、過去5年連続で2位にとどまっていた東京・横浜クラスターを上回りました。
上位の顔ぶれは次のとおりです。
- 1位:深セン・香港・広州(中国)
- 2位:東京・横浜(日本)
- 3位:サンノゼ・サンフランシスコ(米国)
- 4位:北京(中国)
- 5位:ソウル(大韓民国)
トップ100クラスターは世界33の経済に分布しており、このうち中国が24クラスターと最多、米国が22クラスター、ドイツが7クラスターとなっています。深セン・香港・広州は、こうした激しい国際競争のなかで頂点に立ったことになります。
GIIクラスターランキングとは何か
GIIクラスターランキングは、都市やその周辺地域におけるイノベーション活動の集積度を測る指標です。WIPOは次の3つの尺度を用いて、世界各地のクラスターを評価しています。
- WIPOの特許協力条約(PCT)を通じた国際特許出願件数
- 科学論文などの学術出版物の件数
- 今年から新たに加わったベンチャーキャピタル(VC)投資の取引件数
特許出願は技術の保護と事業化の意欲を、学術出版物は基礎研究の厚みを、VC取引はスタートアップ企業への資金供給の活発さを示します。研究・知財・資金という3つの流れが交わる場所が、イノベーションクラスターとして評価されていると言えます。
GBAのイノベーション力と香港の役割
香港特別行政区政府の報道官は、今回の1位という結果について、広東香港マカオグレーターベイエリアのイノベーション能力に対する国際的な高い評価が示されたと述べました。そのうえで、香港は今後もGBA内の姉妹都市と緊密に協力し、イノベーションとテクノロジーの発展をさらに進めていく方針を強調しています。
報道官はまた、香港がGBAと連携してイノベーションとテクノロジー分野を発展させることで、国家をイノベーション大国として築き上げ、人類の進歩に一層貢献していきたいとの考えを示しました。
深センのハードウェア産業や起業環境、広州の産業基盤や教育・研究機能、そして香港の国際金融センターとしての役割やコモンローに基づく法制度といった強みが結びつくことで、GBAは一つの巨大な実験場のような形をとりつつあります。今回のランキングは、そのシナジーが世界レベルで認知されつつあることを示しているとも受け取れます。
連続上位ランクインが映す中国のイノベーション風景
中国国家知的財産権局のZhang Zhicheng副局長は、深セン・香港・広州クラスターがここ数年、世界のトップクラスターの一角を占め続けてきたことを指摘し、中国におけるイノベーションの活力を映し出す結果だと評価しました。
中国科学技術省のChen Jiachang副部長は、香港には世界水準の研究機関、国際的な人材プール、そして強固な知的財産制度があると述べ、香港が世界のイノベーションネットワークにおける重要なハブであると位置づけました。そのうえで、中国の中央政府は香港特別行政区が国際的なイノベーション・テクノロジーセンターとしての発展を加速させることを全面的に支援していると強調しています。
世界のクラスター競争とアジアの存在感
長年1位の座にあった東京・横浜クラスターを深セン・香港・広州が追い抜いたことは、アジア太平洋地域に複数の強力なイノベーション拠点が並び立つ時代に入ったことを象徴しているようにも見えます。米国西海岸のサンノゼ・サンフランシスコ、北京、ソウルといったクラスターも上位に位置し、世界のイノベーション地図は一極集中ではなく、多極化が進んでいます。
トップ100のうち、中国が24クラスター、米国が22クラスターを占め、ドイツが7クラスターで続いています。研究開発やスタートアップをめぐる競争は、国家単位だけでなく、都市圏同士の静かな競争としても進んでいることがうかがえます。
これからの論点:VCが加わった意味
今年のクラスター評価に新たにVC取引件数が加わったことは、イノベーションの評価軸が「研究がどれだけ行われているか」だけではなく、「その研究がどれだけ市場につながっているか」へと広がりつつあることを示しています。
深セン・香港・広州クラスターは、技術を生み出す大学や研究機関、特許や商標を保護する知財制度、そしてそれを事業として育てるためのリスクマネーが、比較的近い距離で集中的に存在する地域です。今回の1位という結果は、そうしたエコシステムの完成度が世界的に見ても高い水準にあるという評価でもあります。
ランキングは数値に基づく一つのスナップショットにすぎませんが、クラスター間の静かな競争と協力が、次の技術やサービスを生み出す土壌をどのように形づくっていくのか。GBAをめぐる動きは、今後も国際ニュースとして注視されそうです。
(新華社の報道内容などをもとに構成しました)
Reference(s):
Shenzhen-Hong Kong-Guangzhou tops WIPO's innovation cluster list
cgtn.com







