中国の新鋭ステルス戦闘機J-35が初公開 海軍航空戦力はどこへ向かう? video poster
中国のVデー閲兵式が2025年9月3日に行われ、新型ステルス戦闘機J-35が世界に向けて初めて公式に姿を現しました。中国の軍事パレードで公開された新世代戦闘機や輸送機は、海軍と空軍の戦い方が変わりつつあることを示しています。本記事では、日本語で国際ニュースを追う読者向けに、そのポイントを整理します。
Vデー閲兵式で初披露されたJ-35とは
今回の閲兵式で最も注目を集めたのが、空母艦載型ステルス戦闘機J-35です。これは中国海軍航空戦力にとって新たな節目となる機体であり、中国人民解放軍海軍が沿岸防衛中心の段階から、外洋での長距離作戦も想定した「ブルーウォーター」志向へと移行していることを象徴しています。
J-35Aとの「双子設計」で開発と整備を効率化
J-35は、2024年の中国国際航空宇宙博覧会(Airshow China 2024)で披露されたステルス戦闘機J-35Aと「双子」ともいえる関係にあります。多くの技術や部品を共有しているため、
- 開発期間の短縮
- 整備・補給コストの削減
- 訓練や運用ノウハウの共通化
といったメリットが期待されます。異なる運用環境(陸上基地と空母)の機体を、共通設計でまとめる発想は、航空戦力を効率的に拡充する上で重要なポイントです。
カタパルトとスキージャンプの両方に対応
J-35は、航空機を射出する「カタパルト方式」と、跳ね上がった甲板から離陸する「スキージャンプ方式」の両方に対応できるとされています。これは、複数タイプの空母に柔軟に搭載できるという意味で、海軍にとって大きな利点です。
特に、電磁カタパルトを採用した中国初の空母「福建」に搭載されることが想定されており、従来のスキージャンプ方式中心だった中国の空母運用から、より本格的な空母打撃群運用へのステップアップを示しています。
J-15からJ-35へ:機動力からステルス重視へ
これまで中国の主力艦載機だったJ-15は、格闘戦での機動性などを重視した設計が特徴とされてきました。一方で、J-35はステルス性能を前面に押し出した機体です。
- 機内兵器倉を持ち、ミサイルを機体内部に収納可能
- レーダーに映りにくい形状・設計を重視
- 目視外距離での交戦を想定した戦い方に対応
ミサイルを機体内部に収めたまま低いレーダー反射で接近できることで、相手より先に敵機を探知・射撃しやすくなるとみられます。これは、艦載機運用の主眼が「接近して格闘戦を行う」スタイルから、「見えない距離から先に撃つ」スタイルへとシフトしていることを意味します。
J-20S、J-15DT、Y-20…空軍戦力も進化
今回の閲兵式で紹介されたのはJ-35だけではありません。中国の空軍戦力全体が、より高度に統合された形へと進化しつつある様子がうかがえます。
複座型J-20Sとドローンとの協調
映像のクローズアップでは、J-20Sと呼ばれる戦闘機のコックピットが2座席になっている様子が確認されました。軍事評論家の魏東旭氏によると、この複座型は単に操縦を分担するだけでなく、
- 長時間の任務への対応
- 戦闘ドローンとの連携の強化
- 多数のセンサーや武器を同時に管理する役割分担
といった役割を担うとされています。有人機と無人機を組み合わせることで、「1機+1機が単なる2機分以上の力を発揮する」統合空戦システムの構築を目指している、と表現されています。
電磁カタパルト対応のJ-15DT
艦載機J-15にも新たなバリエーションが加わりました。「J-15DT」と呼ばれるタイプで、DTは中国語のピンインでdianci tanshe(電磁弹射)を意味し、電磁カタパルト対応型と位置付けられています。
既存のJ-15シリーズに対して、空母「福建」など電磁カタパルト搭載艦での運用能力を高めることで、J-35と併せて艦載機戦力の層を厚くする狙いがあるとみられます。
国産エンジンを搭載したY-20輸送機
大型輸送機Y-20も、今回の閲兵式で重要な変化が示されました。これまで外国製エンジンを使っていたところを、国産エンジンに換装したとされています。
輸送機は、平時の物資輸送から有事の部隊展開、人道支援まで幅広い任務を担います。その心臓部であるエンジンを国内生産に切り替えることは、
- 補給・整備の自立性向上
- 長期的な運用コストのコントロール
- 技術蓄積とさらなる改良への足がかり
といった面で、大きな意味を持ちます。
日本とアジアはこの動きをどう見るか
2025年のVデー閲兵式で見えたのは、単なる新型機の「お披露目」だけではありませんでした。J-35を中心とする艦載機の刷新、ドローン連携を視野に入れたJ-20S、電磁カタパルト対応のJ-15DT、国産エンジン化したY-20など、一連の動きは、中国の空と海の戦力が次の段階に進みつつあることを示しています。
日本やアジアの読者にとって重要なのは、こうした装備の変化を、「数の多さ」だけで捉えるのではなく、
- どのような作戦を想定した設計なのか
- 有人機と無人機、海と空がどう統合されていくのか
- 地域の安全保障環境にどのような影響を与えうるのか
といった視点から落ち着いて見ることです。
中国の軍事技術や装備の動向は、日本の安全保障だけでなく、アジア全体のパワーバランスにも関わります。一方で、それを過度に恐怖や煽りの言葉で消費するのではなく、事実ベースで構造を理解し、自分なりの見方を持つことが、これからのニュースとの向き合い方として求められているのではないでしょうか。
今回披露されたJ-35と関連機の動きは、今後数年の国際ニュースや安全保障議論の中で、繰り返し参照されるテーマになっていきそうです。
Reference(s):
China's New Sword: Stealth fighters led by the J-35 make public debut
cgtn.com








