中国と国際チームが解明 火星にも地球と似た固体内核が存在か
火星の内部に、地球とよく似た「固体の内核」が存在する可能性が、中国の研究者と海外の科学者による国際チームの解析で示されました。火星の「地震」にあたる火震(マースクエイク)の地震波データから、火星の中心部が主に鉄とニッケル、そして軽い元素でできた固体の核を持つと考えられることが分かり、火星の磁場の歴史を探るうえで重要な手がかりになっています。
火星にも「固体の内核」 地球と似た構造が見えてきた
今回の国際ニュースの焦点は、「火星の内側がどのような構造になっているのか」という長年の疑問に、一歩踏み込んだ答えが示された点にあります。研究チームは、火星の内部にある核のうち、最も中心部が固体で構成されていると結論づけました。
発表によると、この固体内核は主に以下のような成分で構成されているとされています。
- 鉄(Fe)
- ニッケル(Ni)
- それに加わる軽い元素(シリコンや酸素、硫黄などとみられるグループ)
これは、地球の内核が主に鉄とニッケル、そして軽い元素からなると考えられていることとよく似ており、「火星の核は構造的に地球と似ている」という見方を後押しする結果です。
カギは火震(マースクエイク)の地震波
今回の発見の決め手となったのが、火星で観測された火震(マースクエイク)から伝わる地震波です。地球で地震が起きたとき、地震波の伝わり方を詳しく調べることで、プレートの動きやマントル、核の構造が分かるように、火星でも同じ原理が使われました。
研究チームは、火震によって生じた地震波が火星内部を通過する際の速度や、どのように屈折・反射するのかを詳細に解析しました。その結果、もし中心部が完全な液体であれば説明できない特徴が見つかり、「中心には固体の部分がある」というモデルの方がデータとよく合うと判断されたのです。
このように、地震波の「揺れ方」を読むことで、直接見ることのできない惑星内部の姿を描き出すことができます。火星の固体内核の発見は、観測技術とデータ解析の進歩がもたらした成果といえます。
地球との比較で分かる、惑星内部の「共通ルール」
火星に固体内核があるという結果は、「地球は特別なのか、それとも惑星として普遍的な一例なのか」という問いにも新たな示唆を与えます。地球と火星のように、岩石でできた惑星は、形成の過程で重い物質が中心に沈み、軽い物質が外側に分かれる「分化」と呼ばれるプロセスを経ると考えられています。
今回の研究結果は、火星も地球と同じように、
- 中心に鉄・ニッケルを主成分とした核があり
- その一部は固体として安定して存在している
という構造を持つ可能性を強く示しました。これは、惑星がある程度以上の質量と時間を持つと、似たような内部構造に収れんしていく「共通ルール」が働いているかもしれないことを意味します。
火星の磁場の歴史に迫る重要なヒント
今回の発見は、火星の磁場の歴史を理解するうえでも大きな意味を持ちます。地球では、外核の液体の金属が対流することで、現在も強い磁場が生まれています。一方、火星は現在、地球のような全球的な強い磁場を持っていませんが、過去にはより強い磁場が存在していたと考えられています。
固体内核の存在は、火星の核がどのように冷え、いつどのように状態を変えてきたのかを考える手がかりになります。
- 核がどのタイミングで固まり始めたのか
- その過程で、磁場を生み出す「ダイナモ作用(液体金属の運動)」が弱まったのか
- その結果として、火星の大気や表面環境がどう変化したのか
といったストーリーを、より具体的に再構築できる可能性が高まります。磁場は、太陽からの高エネルギー粒子から惑星の大気や地表を守る「盾」のような役割を果たします。火星の磁場がいつ、どのように弱くなったのかは、「火星に生命が生まれえたのか」「なぜ現在のような乾いた世界になったのか」を考えるうえでも避けて通れないテーマです。
なぜ今、この火星ニュースを押さえておきたいのか
2025年のいま、世界各地で火星探査や惑星科学の研究が進む中、火星の固体内核に関する今回の報告は、いくつかの点で重要です。
- 火星内部の理解が進むことで、将来の有人探査や基地建設のリスク評価にもつながる可能性がある
- 地球の核や磁場の仕組みを、別の惑星を通して「相対化」して理解できる
- 生命が生まれうる惑星環境の条件を考える際に、内部構造や磁場がどれほど重要かを再確認できる
地球から遠く離れた火星のニュースに聞こえるかもしれませんが、実際には「地球とは何か」「私たちはどんな惑星に住んでいるのか」を考え直すヒントが詰まっています。
3つのポイントでおさらい
- 中国の研究者と海外の科学者からなる国際チームが、火星に地球と似た固体の内核があると解析しました。
- 火震からの地震波データを詳細に読み解くことで、火星の中心部の構造がこれまでよりはっきりと見えてきました。
- この発見は、火星の磁場の進化、そして惑星内部の「共通ルール」を理解するうえで重要な一歩となります。
火星の内部構造をめぐる今後の研究が進めば、地球を含む太陽系の惑星がどのように生まれ、変化してきたのかを描く「宇宙の物語」が、さらに立体的に見えてくるはずです。
Reference(s):
Chinese, international scientists reveal solid inner core in Mars
cgtn.com








