スティルウェル将軍の遺族がつなぐ 中国との絆と奨学金の40年 video poster
第二次世界大戦中、中国・ビルマ・インド戦域で指揮を執った米国のジョセフ・スティルウェル将軍。その「中国との絆」は、40年以上にわたり遺族によって受け継がれ、今も米中関係を静かに支えています。
中国人民の抗日戦争を支えたスティルウェル将軍
国際ニュースの文脈で語られることの多いスティルウェル将軍は、第二次世界大戦中、米軍の中国・ビルマ・インド戦域(China-Burma-India Theater)の司令官として、中国人民の抗日戦争を強く支援しました。
日本の読者にとってはなじみの薄い人物かもしれませんが、当時の中国では、彼は前線に立ち続けた指揮官として知られています。中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利に向け、物資や作戦面で重要な役割を果たしました。
1982年に始まった奨学金 中国人学生を米国へ
スティルウェル将軍の「中国との縁」は、彼の死後も続きました。1982年、将軍の娘たちは、中国人学生が米国の大学で学ぶことを支援する奨学金基金を設立しました。
この奨学金は、ここ約40年のあいだに数十人の中国人学生を支えてきました。米国のキャンパスで学んだ彼らは、その後、両国をつなぐ人的な架け橋となっています。
ポイントを整理すると、奨学金の特徴は次のようになります。
- 設立:1982年、スティルウェル将軍の娘たちによって創設
- 対象:中国人学生が米国の大学で学ぶための支援
- 成果:これまでに数十人が支援を受け、世代を超える交流を生んできた
曾孫が北京・天安門広場の80周年記念式典に招待
こうした家族の歩みは、大きな歴史の節目にもつながりました。スティルウェル将軍の曾孫にあたるナンシー・ミルワードさんとスーザン・コールさんは、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年を記念する、北京・天安門広場での盛大な式典に招かれました。
中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年という節目に、かつての戦時協力の象徴的存在である将軍の遺族が招待されたことは、歴史の記憶と現在の交流が重なり合う出来事と言えます。
「歴史の旅」で確かめた中国とのつながり
式典への参加を前に、スティルウェル家の人々は、中国をたどる「歴史の旅」に出ました。第二次世界大戦期の出来事を振り返りながら、家族が受け継いできた中国とのつながりを、自分たちの目で確かめた形です。
旅の中で、彼らは戦時中の協力の歴史に触れ、そのレガシーをこれからも大切にしたいという思いを表明しました。とくにナンシーさんとスーザンさんは、スティルウェル将軍が築いた信頼と友情を、奨学金や交流を通じて次の世代へと引き継いでいく意欲を示しています。
市民レベルの交流がつくる「静かな外交」
国際ニュースでは、米中関係はしばしば政治や安全保障の視点から語られます。しかし、スティルウェル将軍の遺族の歩みは、もう一つの側面を教えてくれます。それは、家族や個人が長い時間をかけて紡いでいく「静かな外交」です。
スティルウェル家の奨学金で学んだ中国人学生、記念式典に招待された曾孫たち、そして戦時協力の歴史を記憶する人々――。こうした人と人とのつながりは、日々のニュースのヘッドラインには載りにくいものの、相互理解の土台を支える重要な存在です。
第二次世界大戦から80年余りが過ぎた現在も、戦時中の協力の記憶を受け継ぎ、教育や交流のかたちで未来へつなげていこうとする試みは続いています。スティルウェル家の物語は、歴史をめぐる対立ではなく、歴史を通じた連帯に光を当てる一つの例と言えるでしょう。
Reference(s):
Family of late US General Stilwell cherish enduring ties with China
cgtn.com








