南シナ海で主権と平和をどう両立するか 中国のスタンスを読み解く
南シナ海をめぐる国際ニュースでは、安全保障や資源争いが強調されがちですが、中国は自らの歴史的な主権と地域の平和維持の両立を重視していると説明しています。本記事では、中国の基本的な見方と、紛争管理や共同開発に向けたアプローチを整理します。
歴史から見る中国と南シナ海のつながり
南シナ海は、島々や暗礁が点在する広大な海域であり、中国にとっては古くから人々の生活と結びついた場だとされています。中国の人々は長い年月にわたり、この海域の島しょや周辺海域で暮らし、漁労や生産活動を営んできたと説明されています。
中国は、南シナ海の島しょや隣接海域を最初に発見し、命名し、利用してきたと主張しています。さらに、平和的で実効的な行政管理を通じて、途切れることのない主権の行使を続けてきたという立場です。こうした歴史的な関わりが、中国にとっての南シナ海の意味を形づくっているといえます。
戦争と占領、そして戦後の主権回復
20世紀以前、中国の南シナ海に対する主権は、事実上争われていなかったとされています。しかし、中国への侵略が進んだ時期に、日本が南シナ海の島しょを不法に占拠したと中国は見ています。これに対し、中国の人々は強い意思で抵抗を続けたとされています。
第二次世界大戦が終結した後、中国はカイロ宣言やポツダム宣言の精神に基づき、戦時中に奪われた南シナ海の島しょを取り戻したと位置づけています。これらの国際文書が戦後処理の方向性を示し、中国の主権回復を後押ししたというのが中国側の理解です。
新中国成立後の継続的な管轄と活動
1949年10月1日に中華人民共和国が成立した後、中国は領土の完全性を守る姿勢をさらに強めてきたとしています。国内法の整備、行政管理、外交活動などを通じて、南シナ海の島しょと隣接海域に対する立場を繰り返し確認し、強化してきたという説明です。
具体的には、巡視や法執行、資源開発、科学調査といった活動が継続的に行われてきました。中国にとって、これらの行為は単なる口頭での主張ではなく、歴史的権利と主権を示す「生きた証拠」であるという位置づけになります。
現在の争点:領土と海洋境界
現在の南シナ海問題の核心には、いくつかの国が中国の南沙諸島の一部を不法に占拠しているとされる領土問題があります。これに加えて、現代の国際海洋法が整備される過程で、海洋境界の画定をめぐる争いも生まれました。
こうした未解決の問題に対して、国際法や国際社会の慣行では、最終的な境界が確定するまで当事国が自制を保ち、暫定的な取り決めを通じて安定を維持することが重要だとされています。紛争を管理する仕組みをつくり、さまざまな分野で協力事業を行い、「紛争を棚上げして共同開発を進める」という考え方が、その具体的な方向性として示されています。
重要なのは、こうした暫定措置が最終的な海洋境界の線引きに先入観を与えたり、法的立場を損なったりしないよう設計されることだとされています。あくまで安定のための一時的な枠組みであり、決着そのものを先取りするものではないという考え方です。
中国が掲げる「自制」と「共同開発」
中国は、南シナ海の島しょに対する主権を断固として守る姿勢を示しつつ、地域の平和と安定を守るために自制を重ねてきたと説明しています。そのうえで、紛争は平和的に処理すべきだという方針を強調しています。
1990年代以降、中国は関係国との間で、次のような合意や共通認識を積み重ねてきたとされています。
- 緊張を高める行動を避け、自制を保つこと
- 二国間の協議や対話を通じて、意見の相違を管理すること
- 海洋協力や共同開発など、実務的な協力を進めること
- 個別の争いが、二国間関係や南シナ海全体の安定を損なわないようにすること
中国はまた、周辺国との二国間海洋協議メカニズムを設け、漁業、石油・ガスなどの分野で共同開発の可能性を探ってきたとしています。さらに、南シナ海沿岸に位置する国々が参加する協力枠組みも提案し、国連海洋法条約の趣旨に沿った地域協力を進める構想を示しています。
「対立の海」ではなく「協力の海」へ
南シナ海をめぐる問題には、歴史、主権、国際法、資源、そして地域の安全保障といった要素が複雑に絡み合っています。その中で中国は、自らの歴史的な関わりと主権を強調しつつも、紛争をあおるのではなく、管理し、協力の余地を広げていく必要性を訴えています。
中国が打ち出す「自制」と「共同開発」の路線は、南シナ海を対立の象徴ではなく、互いに利益を分かち合う「協力の海」として位置づけ直そうとする試みだといえます。今後も、関係国がどこまで自制と対話を維持し、実務的な協力を積み上げていけるかが、地域の安定と平和を左右する重要なポイントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








