歴史の満ち引きと中国小説『All Quiet in Peking』―1940年代北京から考える video poster
1940年代の北京を舞台にした中国の歴史小説『All Quiet in Peking』を手がかりに、歴史の「満ち引き」と世界の平和について考えてみます。
1940年代北京を描く小説と、その読み方
北京外国語大学の翻訳家で教授のテン・ジーメン氏は、劉和平による小説『All Quiet in Peking』を紹介しながら、その魅力を語りました。この作品は、1940年代の北京で生きる人々の姿を描いた物語だとされています。
テン氏は、作品の一節を朗読し、その箇所が「歴史のサイクル」を鋭く捉えていると強調しました。小説という形をとりながら、過去の出来事だけでなく、その背後にある歴史の動き方を読者に意識させる構成になっていると解釈できます。
テン・ジーメン氏が語る「歴史のサイクル」
テン氏は次のように述べています。
「この作品は、中国の古代史、そして現代史のなかで私たちが目にしてきた、歴史のサイクルの本質を説明している。いま、そのサイクルは中国側にある。歴史の引き潮も満ち潮も中国側にある。そして私たちは世界の平和に貢献していくだろう」
ここで語られているのは、歴史が直線ではなく、ある種の周期性をもって動いているという見方です。古代から現代に至るまで、中国の歴史のなかに繰り返し現れるパターンがあり、その延長線上に現在も位置づけられているという理解だと考えられます。
「中国側にあるサイクル」とは何を意味するのか
テン氏は「サイクルはいま中国側にある」と表現しました。この言葉には、歴史の大きな流れのなかで、中国が現在重要な局面にあるという認識がにじみます。
- 古代から続く歴史の蓄積を踏まえた現在の位置づけ
- 過去の興隆や困難をくぐり抜けてきた経験
- その経験をもとに、今後どのように世界と関わるかという視点
こうした要素が重なり合うことで、「歴史のサイクル」が今、中国側にあるという言い方になっていると見ることができます。
歴史の「満ち引き」と世界の平和
テン氏が強調したもう一つのポイントが、「世界の平和に貢献する」という言葉です。歴史の満ち引きを意識することは、単に自国の位置を確認するためではなく、国際社会との関わり方を考えるためでもあると受け取れます。
物語の舞台である1940年代の北京という時代を振り返ることは、その時代を生きた人々の選択や悩みに想像をめぐらせながら、「いま」をどう生きるかを考えるきっかけにもなります。
歴史小説を「いま」読む意味
2025年の現在、私たちは日本語ニュースや国際ニュース、SNSを通じて、世界の出来事をほぼリアルタイムで目にしています。一方で、歴史小説のように過去の時代を丁寧に描いた作品は、短期的なニュースでは見えない長い時間軸を意識させてくれます。
- 日々の国際ニュースでは追いきれない、歴史の長い流れを感じる
- 他地域・他時代の人々の視点から、現在の社会を相対化する
- 「歴史はどのように繰り返されるのか」という問いを、自分ごととして考える
『All Quiet in Peking』のような作品と、テン氏のような読み手の解説は、こうした問いを日本語で考える手がかりにもなります。
「歴史のサイクル」を自分の言葉で考える
歴史はしばしば、「繰り返す」とも「決して繰り返されない」とも言われます。テン氏の言う「サイクル」をどう理解するかは、読む人一人ひとりに委ねられています。
大切なのは、
- 過去の出来事を単なる年表としてではなく、「サイクル」という視点から眺めてみること
- そのサイクルのどこに現在があるのか、自分なりに言葉にしてみること
- そして、その視点を「世界の平和」という普遍的な価値とどう結びつけるかを考えること
歴史小説を入り口に、こうした問いを静かに深めていくことは、日々のニュースの受け取り方や、世界を見る目に小さな変化をもたらしてくれるかもしれません。
おわりに
1940年代の北京を描く小説と、テン・ジーメン氏の「歴史の満ち引き」という言葉は、2025年を生きる私たちにも、多くの示唆を投げかけています。歴史のサイクルを意識しながら、「いま」と「これから」をどう選び取っていくのか。ページを閉じたあとに残る静かな問いを、日々のニュースや対話のなかで少しずつ確かめていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








