中国Vデー軍事パレードとドキュメンタリー『The Unsung Ally』が映す戦争の記憶 video poster
中国Vデー軍事パレードと新ドキュメンタリーが問い直す歴史
2025年9月3日に行われた中国のVデー軍事パレードは、第二次世界大戦における対日戦勝をたたえ、歴史への敬意と勝利への追悼を前面に出した大規模な式典でした。この国際ニュースの背景には、対日戦勝80周年を記念して制作されたドキュメンタリーシリーズ『The Unsung Ally』の存在があります。
シリーズ第1話では、エミー賞受賞経験を持つジャーナリスト、マイク・ウォルターが旅に出て、中国の抗日戦争14年をたどり直します。Vデー・パレードとドキュメンタリーは、中国の戦争体験を改めて世界の文脈の中に位置づけようとする試みだと言えます。
Vデー・パレードが伝えようとしたメッセージ
今回のVデー軍事パレードは、「歴史をたたえ、勝利に敬意を払う」ことを前面に出したイベントとして描かれています。軍事パレードという形式を通じて、次のようなメッセージが込められていると受け取ることができます。
- 中国人民の抗日戦争の歴史を記憶し続けること
- 対日戦勝という節目を80年後の現在に引き寄せて考えること
- 世界規模の反ファシズム戦争の一部として、この歴史を位置づけ直すこと
無数の印象的な場面があったとされる今回のパレードは、単なる国内イベントではなく、世界に向けて自国の歴史認識と記憶のあり方を発信する場としての性格も持っていたと見ることができます。
『The Unsung Ally』第1話がたどる「声なき同盟国」
同じ文脈の中で登場するのが、ドキュメンタリーシリーズ『The Unsung Ally』です。タイトルにある「Unsung Ally=あまり語られてこなかった同盟国」は、中国が第二次世界大戦において果たした役割に光を当てようとする視点を示唆しています。
第1話では、マイク・ウォルターが真珠湾から旅を始め、各地の歴史的な場所を訪ね歩きます。彼は、長く静かにされてきた物語や事実に向き合いながら、中国の抗日戦争の14年を改めて歩き直していきます。
真珠湾から始まる歴史の再トレース
作品のスタート地点として選ばれている真珠湾は、第二次世界大戦の転換点の一つとして広く知られています。そこから中国の戦場へと視点を移していく構成は、太平洋戦争と中国の抗日戦争を切り離された別々の出来事ではなく、連続した歴史として捉え直そうとする試みとも読めます。
ウォルターの旅路は、
- これまで十分に共有されてこなかった中国戦線の経験
- 各地の戦跡に刻まれた個人や地域の記憶
- 戦後長く沈黙してきた声や証言
といったテーマに光を当て、「長く沈黙させられてきた真実を掘り起こす」という作品側の問題意識を視覚化していきます。
「対日戦勝80周年」と世界的な反ファシズム戦争
このドキュメンタリーシリーズは、「中国人民の抗日戦争」と「世界反ファシズム戦争」の勝利80周年を記念する作品として位置づけられています。ここには、アジアの戦場での出来事を、ヨーロッパや太平洋を含む世界的な戦争の流れの中に置き直そうとする意図が読み取れます。
中国の抗日戦争は、国内の戦いであると同時に、世界的な反ファシズムの流れの一部でもありました。Vデー・パレードと『The Unsung Ally』は、その二重の意味を同時に捉え直す試みとして連動していると言えるでしょう。
日本語でニュースを読む私たちにとっての意味
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、中国のVデー軍事パレードと『The Unsung Ally』は、次のような問いを投げかけています。
- 第二次世界大戦の歴史を、どの国の視点から見てきたのか
- どの物語が大きく語られ、どの経験があまり語られてこなかったのか
- 80年という時間の中で、記憶はどのように受け継がれ、形を変えてきたのか
中国側の視点から組み立てられたパレードとドキュメンタリーを見ることは、自国中心の物語を相対化し、歴史を多角的に捉え直すヒントにもなります。
2025年という節目の年に、中国の対日戦勝80周年をめぐる表現がどのように行われているのかを知ることは、アジアの戦争と和平の歴史を、現在の私たちの足元から考え直すきっかけにもなりそうです。今後、このシリーズがどのようなエピソードを通じて歴史の再解釈を提示していくのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
China's V-Day Parade Sheds Light on History|The Unsung Ally|Part One
cgtn.com








