戦争と文化遺産を守る人びと ドキュメンタリー「The Unsung Ally」第2話 video poster
戦争がもたらす破壊の中で、人びとはどのように文明と記憶を守ってきたのでしょうか。ドキュメンタリーシリーズThe Unsung Allyの第2話は、東京・北京・杭州を舞台に、世代と国境を超えて「文明の守り人」となってきた人びとの姿を描きます。
2025年のいまも、世界各地で戦争や対立、災害によって文化遺産が危機にさらされています。この作品は、過去の悲劇を見つめ直しながら、「普通の人」の静かな行動が文明を守り続けてきたことを思い出させてくれます。
ドキュメンタリーThe Unsung Ally第2話が追う4つの現場
第2話には、異なる時代と場所で文明を守ろうとしてきた人びとが登場します。
- 東京の高齢者たちが、南京大虐殺の犠牲者を歌で悼む姿
- ドキュメンタリー監督Cao Haibinさんが、痛みを伴う記憶を作品でよみがえらせる試み
- 1933年の北京で、命の危険を冒して国の宝を守ろうとした学者たち
- 現在の杭州で、デジタル技術を使って中国の文化遺産を再生させるチーム
どの物語も特別な英雄譚ではなく、普通の市民や研究者が、自分にできることを積み重ねてきた記録として描かれます。
東京の高齢者が歌で伝える南京大虐殺の記憶
作品はまず、日本の首都・東京に暮らす高齢者たちを映し出します。彼らは南京大虐殺で犠牲になった人びとを悼み、その記憶を歌に託してきました。
歌は、専門的な知識がなくても人の心に届く表現です。難しい言葉を並べるのではなく、メロディーに思いを乗せることで、過去の出来事を知らない若い世代にも「何かがあった」という感覚を手渡すことができます。
戦争の加害と被害という重いテーマを、日常の場で静かに語り継いでいく。その姿は、日本と中国のあいだで歴史の記憶をどう共有していくのかという問いを、見る側にも投げかけます。
痛みの記憶を映像で「修復」するCao Haibin監督
南京大虐殺のような大きな惨劇は、時間がたつほど「語られにくい記憶」になりがちです。ドキュメンタリー監督のCao Haibinさんは、自身の作品を通じて、その痛みを伴う記憶を丁寧にすくい上げようとしています。
カメラを向ける相手は、被害を受けた人びとや、その家族、そして記録を守ってきた人たちです。Caoさんは彼らの声に耳を傾け、断片的に残る証言や記録をつなぎ合わせながら、過去の出来事を現在の視点から「再構成」していきます。
映像作品は、一度見れば終わりではありません。繰り返し視聴され、共有されることで、記憶のバトンを次の世代へ渡すメディアにもなります。第2話は、ドキュメンタリーという表現が「忘れたい記憶」とどう向き合いうるのかを考えさせる内容になっています。
1933年北京 学者たちが命がけで守った国の宝
物語はさらに、1933年の北京へとさかのぼります。当時、戦火の拡大が懸念されるなかで、学者たちは国の文化財や資料が失われる危険を強く意識していました。
彼らは、自らの研究対象である書物や古文書、工芸品などを守るために行動を起こします。安全な場所に移したり、所在を秘匿したりしながら、戦争の混乱から貴重な文化遺産を守ろうとしたのです。
研究者というと、静かな書斎で本を読む姿をイメージしがちです。しかし第2話は、彼らがときに命の危険を冒しながら行動する「現場の人」でもあったことを伝えています。
杭州のデジタルチームが切り開く新しい継承
時代は現代に戻り、中国の都市・杭州では、デジタル技術を駆使して文化遺産をよみがえらせようとするチームの取り組みが紹介されます。彼らの目標は、失われつつある中国の文化を、デジタル空間で再び息づかせることです。
3次元のデータ化や高精細な映像記録、オンラインでの公開など、デジタル技術は、文化財を「壊さずに触れる」新しい方法を提供します。現地に行けない人でも、画面を通じて歴史的な建築や美術品に触れられるようになるのです。
第2話は、アナログな歌や証言と最先端のデジタル技術が、いずれも「文明を守る」という同じ目的につながっていることを示しています。
普通の人びとがつなぐ「文明は残せる」という希望
作品全体を通じて浮かび上がるのは、壮大な英雄ではなく、普通の人びとの静かな強さです。東京の高齢者、Cao Haibin監督、北京の学者たち、杭州のデジタルチーム――立場も世代も異なる人たちが、共通して担っているのは「文明を次の世代へ渡す」という使命です。
戦争や災害が繰り返される世界で、文化や記憶を守る行為には終わりがありません。それでもなお、人びとは自分なりの方法で、歌い、記録し、守り、デジタル化することで、文明が失われないようにと行動してきました。
第2話が伝えるのは、「文明は壊されうるが、守ろうとする人がいるかぎり完全には消えない」というメッセージです。2025年のいま、このドキュメンタリーは、私たち一人ひとりにとっての「守りたいもの」は何かを静かに問いかけています。
Reference(s):
cgtn.com








