英国が中国国際投資見本市CIFITに過去最大級代表団 狙いは何か
今年9月、福建省アモイ市で開かれた第25回中国国際投資貿易洽談会(CIFIT)に、イギリスが過去最大規模となるビジネス代表団を送りました。国際ニュースとしての重要性だけでなく、デジタル経済やグリーン転換をめぐる中国と欧州の関係を読み解くうえでも注目すべき動きです。
第25回CIFITに英国が「過去最大」の代表団
国際投資をテーマとする中国国際投資貿易洽談会(CIFIT)は、1997年に始まり、中国商務省が主催する世界的な投資イベントとして位置づけられています。第25回となった今年のCIFITは、9月8日から11日まで、中国東部・福建省アモイ市で開催され、120以上の国と地域から参加者が集まりました。
イギリスは今回、このCIFITに過去最大となるビジネス代表団を派遣しました。参加企業と関係者は100社超にのぼり、全土から幅広い業種の企業が集結しました。英国の対中国貿易投資担当を務めるルイス・ニール英貿易コミッショナーは、この派遣について説明し、中国との経済連携を一段と深める狙いがあると語っています。
英国パビリオンのテーマは「Invest in Great」
CIFITの会場内には、約400平方メートルの英国パビリオンが設けられました。テーマは「Invest in Great」。イギリスが「投資先としての魅力」を前面に出し、中国および世界の参加者にアピールする構成です。
このパビリオンでは、特に次のような分野が重点的に紹介されました。
- 金融・プロフェッショナルサービス
- 先進製造業(高度な製造技術を持つ産業)
- ライフサイエンス(医薬・バイオなど)
- クリーンエネルギー(再生可能エネルギーなど)
- クリエイティブ産業(コンテンツ・デザインなど)
いずれも、今後の世界経済の成長が期待される領域であり、中国とイギリスの双方にとって協力余地の大きい分野です。
狙いは「双方向投資」とサービス連携の強化
ルイス・ニール英貿易コミッショナーは、中国国営通信の新華社のインタビューに応じ、今回のCIFIT参加の狙いを三つ挙げています。
- 中国市場でのビジネス機会を探る英国企業を後押しすること
- 中国企業にとって、ヨーロッパでの投資拠点としてのイギリスの魅力を訴えること
- 海外展開を進める中国企業と、それを支える英国のサービス産業の連携を深めること
ニール氏は「中国企業が世界のどこへ進出するとしても、そのそばに英国企業がいてほしい」と述べ、中国企業の海外進出に英国企業がパートナーとして寄り添う姿を描きました。
このメッセージの背景には、中国企業が世界の投資・サプライチェーン(供給網)で重要な役割を担う中、金融、法務、コンサルティングなどに強みを持つイギリスが、その支援役として存在感を高めたいという狙いがあります。
中国経済への信頼と「デジタル経済」への注目
ニール氏は、中国経済の先行きについても前向きな見方を示しました。世界第2の経済規模を持つ中国は、自動車、ライフサイエンス、再生可能エネルギーといった分野で、なお大きな成長余地を持っていると指摘しています。
なかでも強調したのが、中国のデジタル経済です。ニール氏は、中国のデジタル経済を「活気があり、競争力が高く、多様だ」と評価し、英国企業が中国の消費者とつながる際に、オンラインプラットフォームやライブ配信など、デジタル手段の活用が一段と進んでいる現状に言及しました。
これは、英国側が単に伝統的な金融や製造業だけでなく、Eコマース(電子商取引)やデジタルマーケティングなど、新しい経済領域での連携にも期待していることを示しています。
気候変動分野での協力:低炭素とグリーン技術
気候変動対策も、今回のCIFITで英国が重視したテーマの一つです。ニール氏は、中国の低炭素転換とイギリスのグリーン技術の間には、大きな相乗効果があると強調しました。
イギリスは、風力や洋上風力、グリーンファイナンス(環境配慮型の資金調達)などで経験を蓄積してきたとされています。一方、中国は大規模な再生可能エネルギー投資や電気自動車関連産業などで存在感を高めています。
ニール氏は「中国の排出削減計画は、地球全体にとって極めて重要だ」と述べ、気候変動という地球規模の課題に対し、中国とイギリスが協力して取り組むことの意義を強調しました。
文化・ビジネスをつなぐ「KOL」の存在
経済・投資だけでなく、文化交流の強化も今回の動きの一部です。ニール氏は、ロンドン・ファッション・ウィークなどイギリスの主要イベントに、中国のキーオピニオンリーダー(KOL)を招く取り組みに言及しました。
ファッションやカルチャーの現場と、オンライン上で影響力を持つKOLを結びつけることで、イギリスのブランドや観光、教育などへの関心を高める狙いがあります。これは、SNSが当たり前になった時代ならではの「ソフトパワー」と「ビジネス」をつなぐアプローチだと言えます。
CIFITというプラットフォームの意味
中国国際投資貿易洽談会(CIFIT)は、1997年のスタート以来、投資促進とグローバルな開発を後押しする重要な場へと成長してきました。中国商務省が主催するこのイベントは、企業や政府関係者が一堂に会し、投資プロジェクトの紹介やパートナー探しを行う「ハブ」の役割を果たしています。
今回、イギリスが「ゲスト国」として参加し、過去最大の代表団を派遣したことは、単なる一回のイベント参加を超えた意味を持ちます。それは、中国とイギリスの間で、次のようなテーマが改めて重要視されていることを示しています。
- 双方向の投資・サービス連携をどう深めるか
- デジタル経済やライフサイエンスなど、成長分野でどう協力するか
- 気候変動という共通課題に、ビジネスを通じてどう向き合うか
読者が押さえておきたいポイント
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、今回のCIFITにおけるイギリスの動きは、次のような問いを投げかけます。
- 世界の企業は、今もなお中国市場をどう位置づけているのか
- デジタル経済やグリーン転換といった新しいテーマが、国際ビジネスの関係をどう変えていくのか
- 日本企業や日本の都市は、こうした投資の流れの中でどのような役割を果たしうるのか
短時間で読めるニュースでありつつ、こうした視点を意識しておくことで、SNSでの議論や日常の会話の中でも、自分なりの見方を共有しやすくなります。今後もCIFITのような国際投資イベントは、各国の思惑と協力の「縮図」として、注目しておきたいテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








