国際ニュース BRICSオンライン演説で習近平主席が示した3つの提案
2025年9月8日に開かれたBRICSオンライン首脳会議(バーチャル・サミット)で、中国の習近平国家主席が「連帯と協力で前進を」と題した演説を行い、多国間主義の擁護や開かれた世界経済の推進など3つの提案を示しました。
9月のBRICSオンライン首脳会議で語られたメッセージ
この国際ニュースは、世界の秩序や経済のあり方に関心を持つ読者にとって見逃せない内容です。習近平主席は北京からビデオリンクでBRICS首脳会議に参加し、急速に変化する国際情勢の中で、BRICSがどのような役割を果たすべきかを示しました。
冒頭、習主席は「100年に一度の変革」が加速していると指摘し、覇権主義や一方的な行動、保護主義が広がっていると懸念を示しました。特定の国による貿易戦争や関税戦争が世界経済と国際貿易ルールを大きく揺るがしているとしたうえで、BRICS諸国はグローバル・サウスの先頭に立つ存在として、連帯と協力を強めるべきだと呼びかけました。
習近平主席が示した3つの提案
演説の中心は、今後の国際秩序とBRICS協力の方向性についての3つの提案でした。それぞれを日本語で整理します。
1. 多国間主義を堅持し、国際的な公平・正義を守る
第一の提案は、多国間主義(マルチラテラリズム)を守ることです。習主席は、歴史を振り返ると多国間主義は人類共通の願いであり、世界の平和と発展を支える重要な土台だと位置づけました。
そのうえで、次のような方向性を示しました。
- 中国が提唱するグローバル・ガバナンス・イニシアティブを通じ、より公正で公平な国際ガバナンス体制を目指すこと
- 広範な協議・共同の貢献・共通の利益という原則に沿い、国連を中心とする国際システムと、国際法に基づく国際秩序を守ること
- 国際関係の民主化を進め、グローバル・サウス諸国の代表性と発言力を高めること
- 改革を通じて国際機関の仕組みを改善し、人類共通の課題により効果的に対応できるようにすること
ここで語られているのは、誰がルールを作り、誰が意思決定に参加するのかという、国際政治の根本的な問いです。
2. 開放とウィンウィン協力で国際経済・貿易秩序を守る
第二の提案は、開かれた世界経済と互恵的な協力を通じて、国際的な経済・貿易秩序を守ることです。習主席は、経済のグローバル化は歴史の流れであり、どの国も自国だけで繁栄することはできないと強調しました。
演説では、とくに次の点が強調されました。
- 国際環境がどう変わろうとも、開かれた世界経済の構築にコミットし、開放の中で機会を分かち合い、ウィンウィンの成果を追求すること
- 世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制を支持し、あらゆる形の保護主義に反対すること
- すべての国に利益が行き渡る包摂的な経済のグローバル化を推進すること
- 国際アジェンダの中心に開発を据え、グローバル・サウス諸国が対等な立場で国際協力に参加し、発展の成果を共有できるようにすること
貿易摩擦や関税措置が各地で問題となる中、開放か分断かという選択に対して、習主席は明確に開放路線を訴えた形です。
3. 連帯と協力で共通の発展の相乗効果を生む
第三の提案は、連帯と協力を強め、共通の発展に向けた相乗効果を高めることでした。習主席は中国のことわざ「良い鋼を鍛えるには、腕の良い鍛冶職人が必要だ」を引用し、外部の課題に対応するためには、まず各国が自らの課題にしっかり取り組む必要があると示しました。
BRICSについては、次のような点が挙げられました。
- 世界人口のほぼ半分を占め、世界経済の約3割、世界貿易の5分の1を担う存在であること
- 豊かな天然資源、大規模な製造業、多様な市場を抱えること
- 連携を深めれば深めるほど、外部のリスクや課題に対して、より強靱で創造的、効果的に対応できること
そのうえで、中国は他のBRICS各国と共にグローバル・デベロップメント・イニシアティブを実行に移し、一帯一路構想の高品質な協力を進めていく用意があると表明しました。ビジネス、金融、科学技術といった分野での実務協力を深め、BRICS協力の土台と原動力、影響力を強化し、各国の人々により多くの実益をもたらすことを目指すとしています。
グローバル・サウスの先頭に立つBRICSの役割
演説全体を通じて、習近平主席はBRICSをグローバル・サウスの先頭に立つ存在と位置づけました。これは、新興国や多くの途上国が、自らの声と選択を国際社会でどのように反映させるかという問題と直結しています。
多国間主義の擁護、開かれた世界経済へのコミットメント、そして連帯と協力による共通の発展。これら3つの提案は、それぞれ独立したテーマでありながら、より公正で包摂的な国際秩序を目指すという一つの方向に収れんしています。
揺れる国際秩序の中で、私たちは何を考えるか
習主席は演説の締めくくりで、強い風は草の強さを試し、激しい火は真の金をあぶり出すと述べました。厳しい外部環境だからこそ、責任を引き受け、互いに支え合うことの重要性を強調した表現です。
2025年12月の今も、国際秩序や経済のあり方をめぐる議論は続いています。9月のBRICSオンライン首脳会議で示されたこの3つの提案は、今後の国際協力の方向性を考えるうえで、一つの重要な視点を提供していると言えるでしょう。
どのような国際ルールが公正なのか。開発と安全保障、環境と成長をどう両立させるのか。BRICSやグローバル・サウスの動きは、こうした問いを私たち一人ひとりに静かに投げかけています。
Reference(s):
Full text of President Xi Jinping's speech at virtual BRICS Summit
cgtn.com








