太陽観測所を見守る男:ダオチェンのチベット人と最先端科学 video poster
2023年に稼働を始めた「ダオチェン太陽電波望遠鏡」は、世界でも有数の最先端太陽観測施設とされています。その白いアンテナ群のそばで暮らす一人のチベット人男性、Jamyang Chophel(ジャムヤン・チョペル)さんの物語は、山あいの地域に届きつつある科学技術の波を静かに映し出しています。
山の恵みで暮らしてきたチベット人男性
Jamyang Chophelさんは、山々に囲まれたダオチェン県で生まれ育った、どこにでもいるような普通のチベット人男性です。これまでの生計は、土地と山の恵みに大きく頼るものでした。季節ごとに山に入り、手に入るものを集め、家族の生活を支えてきました。
天候に左右されやすく、収入も安定しない暮らし。それでも、祖先から受け継いだ土地とともに生きることが、彼の日常でした。
白いアンテナが現れた日:太陽観測所との出会い
そんな生活のすぐそばに、2年前の2023年、突然「未来」が現れました。山あいの地平線に並んだ白いアンテナ群。これが「ダオチェン太陽電波望遠鏡」です。世界でも最先端の太陽観測施設の一つとされるこの観測所は、太陽から届く電波を捉え、その活動を詳しく調べるために建設されました。
かつては静かな山道だった場所に、研究者や技術者が行き交い、機械の音が響きます。Jamyangさんの目の前の風景は、一気に変わりました。
太陽観測所を「見守る」無名のパートナー
タイトルにあるように、Jamyangさんは「太陽観測所の見守り役」として描かれています。派手な役職名があるわけではありませんが、山の天候や土地のことを誰よりもよく知る彼の視点は、観測所にとっても心強い存在です。
山の暮らしを続けながら、毎日のように白いアンテナを目にし、その動きを感じる。彼の生活は、宇宙研究と地元の暮らしが同じ風景の中に同居する、少し不思議なものになりました。
科学技術は地方の暮らしをどう変えるか
太陽観測所の建設は、Jamyangさん一人だけでなく、地域全体にもさまざまな変化をもたらします。新しい道路や設備、人の往来。若い世代にとっては、これまで想像しにくかった進路や働き方を思い描くきっかけにもなっていくかもしれません。
一方で、急激な変化は、土地の文化や暮らしとのバランスをどう取るかという問いも生みます。山の恵みに支えられてきた生活と、宇宙を見つめる巨大な観測施設。この二つをどう共存させていくのかは、これからの重要なテーマです。
私たちがこの物語から考えたいこと
2025年の今、世界各地で大規模な科学施設の建設が進み、地方や山あいの地域が研究の拠点となるケースが増えています。ダオチェン県のJamyangさんのように、その最前線にいるのは、名前が報じられる研究者だけではなく、日々の暮らしの中で施設を支え、見守る人びとです。
国際ニュースとして科学技術の最先端だけを見るのではなく、その足元で静かに役割を果たしている「無名のパートナー」の存在にも目を向けること。そこには、社会がどのように変わり、どこへ向かおうとしているのかを考えるヒントがあるのではないでしょうか。
太陽観測所と山の暮らし。その間に立つ一人のチベット人男性の視線を想像してみることは、私たち自身の「科学との距離」を問い直すきっかけにもなります。
Reference(s):
cgtn.com








